ケニアスタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

論考

フライデーナイト理論

社会人になりたてで「自分はああなりたい、こんな仕事ができるようになりたい」などと仲間と血気盛んに議論していたころのこと。 研究、ボランティア、インターン、学生のうちは色々なことに関心を持つ人たちが、どうして社会に出て年月がたつと、あんなに熱…

何のために働くのか

30代に突入して、周囲の友人たちが世に言うところの「落ち着き」を持ってきた。 寝食を忘れて馬車馬のように働くことが求められたフェーズが終わり、下積みを活かして慣れないながらもマネジメントとして責任を担うようになる。家族ができたり、趣味に向ける…

216週目:「幸せか?」という問いについて

週末体調を崩していたので、今週は印象に残ったことだけ手短に。 余裕ぶって見えるらしいが、無理を重ねて心身共にギリギリなので、残りの1か月は気を付けて回したい。 一年余り続けてきたプロジェクトの発表があった。プロジェクトをリードする担当マネージ…

自信にまつわるパラドクス

総合商社出身の親しい友人から、キャリアについてアドバイスを求められた。 優秀な人がたくさんいる部署で成果を上げ、社内でも評価をされたうえで、ベンチャーに飛び込むのだが、投資銀行やコンサルのように「わかりやすい」トレーニングを受けていないので…

「自省録」批判:理性・文明・自己啓発の非力さについて

「自省録」が示す理性の痛み ストア派の哲学者が、理性によって自らを導き、人生の苦境や世間の浅薄に感情を揺さぶられることなく、魂を解放しようとしていた基本姿勢に、学生時代の僕は感銘を受けた。 同時に社会に出て仕事を通じて様々な人と出会うにつれ…

204週目:ソーシャルインパクトの求道者性

お金は主観を持たず、ただマーケットの判断で分配される。 価値判断の尺度としてお金が正しいかは別として、市場は明確かつ定量的に、「市場にとって」大切なものにプライスをつける。 一方、「インパクト」はどこかフワッとしていて、明確で客観的な外部指…

アセット系スタートアップにおける総合商社型財務の実践

AirbnbやUberといったシェアリングエコノミーや、フィンテックのような金融業では、スタートアップにおいてもアセット(バランスシート)の効率化が大切になる。 自分が今仕事をしている林業スタートアップのKomazaは、旧来の不動産所有型のプランテーション…

When Vision Fails 

インパクト投資やClimate Finance、アフリカベンチャーなど、未来志向な業界で仕事をしていると、ありとあらゆるビジョンに触れる機会がある。 起業家を支援したいという投資家もいれば、社会の理不尽を是正したいという起業家もいる。 志を持つのは、変化の…

インパクト投資業界に関する雑感 2021

Global Impact Investing Networkによると、2020年度のインパクト投資の投資総額(AUM)は2019年の5,000億ドル(約55兆円)から7,150億ドル(約80兆円)に40+%もの成長を遂げた。 主要なメディアや大企業、利益追求の権化と呼ばれたウォールストリートでさえ、SD…

気候変動がもたらす未来とスタートアップの新領域

サミットもあり、気候変動に注目が集まっている。 学校の授業やニュースで地球温暖化や異常気象について知っている人がほとんどでも、気候変動という大枠の詳細や、対策の選択肢や人類への影響について、体系的に学ぶ機会はほとんどない。 頭の整理として、…

不可能な納期で炎上案件をまとめる際の考え方

3か月後に予定されていた提出書類(専門家と共著する100ページ弱の分析資料、財務モデルなど)を3週間で提出しなくてはならない、という衝撃の通告を受け、チーム総動員で何とか無事満足のいくクオリティの仕事を提出した。 今後も同じことがあった時のため…

「NHKプロフェッショナル」から見える5つの行動原則

NHKの「プロフェッショナル」が好きで、夏から冬にかけて全作品を観返した。 仕事が大変な時に勇気をもらうこともあれば、悩んでいた課題のヒントをもらうこともあった。 料理人から経営者まで様々な人々が登場し、全然違う仕事をしているにもかかわらず、本…

ベンチャーで担当者が経営者的思考を手に入れる方法

年末のこの時期は振り返りとフィードバックセッションをするのだけど、新しくこの秋からマネージャーになったチームメンバーから、アソシエイトからマネージャーへの移行プロセスと学習すべき知識について質問をされた。 僕自身、単なる「若手」として可愛げ…

ラーメン屋のパラドクス

進学や就職、転職など人生の転機について、相談を受けることがある。 僕自身も一人の人間として悩んでいる内容だったりするので、確信をもって人様にアドバイスすることはできないものの、よくする話がある。 「ラーメン屋のパラドクス」と僕は呼んでいて、…

スタートアップの戦争論的発想と心理のゆらぎ

スタートアップで仕事をするようになって3年あまり、「スタートアップと一般的な事業経営の違いは何なのか?」ずっと考えてきた。 ブログや講演、書籍など、スタートアップにまつわる情報は大量にある一方、流行りのビジネスモデルやバズワードの解説、経験…

ケニアから見たアフリカスタートアップでのキャリア形成

ケニアのスタートアップに限らず、成長する企業に欠かせないのが人材だ。 知り合いなどと「いいプログラマーはいないか」とか、「どこのヘッドハンターが優秀か」とかそんな話ばかりしていた時に、ふと外国人としてスタートアップに参画している自分も広い目…

事業における身体性

卓越した投資家・経営者と優れた投資家・経営者の違いは何か、という問いをこの15年くらい考えている。 事業を理解して、適切な判断を下していくためには、日常生活においいても常に事業とつなげて考える必要がある。 経営者や投資家の自伝などで、ふとした…

新興国スタートアップの財務を通じて学んだこと

Evernoteの整理をしてきたら、今年の3月ごろにコロナ禍の直撃を受けつつ、資金調達のクロージングに悪戦苦闘していた時期のメモが出てきたので、紹介してみたい。 結果的にアフリカの農林業系スタートアップとしては最大規模のSeries Bを調達できたものの、…

新興国のスタートアップが失敗する15のパターン

新興国でプレーするなら、まず現地で仕事をしてみることを勧めている。 日本での就職相談やキャリア相談とは違って、ケニアを始めアフリカは環境の変化が激しいし速い。 なので、1万キロ離れた日本にまして日本語で情報が伝わるころには、状況が変わっている…

142-143週目:新興国xソーシャルベンチャーの仕事で大切にしている3箇条

この2週間、冗談抜きで人生で最も大変な2週間だったのだけれど、不思議と心が軽い。 前回のブログでも書いた通り、この困難こそが僕が待ち望んできた試練だからだと思う。 試練を乗り越えた結果として、事業が次のフェーズに行ったり、不可能と言われたこと…

140-141週目:なぜこの仕事をしているのか

数年かけて取り組んできた仕事がようやく日の目を見ようとしている。 最後の勝負というと大げさかもしれないけれど、ぎりぎりのところで踏ん張る生活がこの2-3週間で続いている。 前回こういう感じになったのは、卒論の追い込みの時ぐらいで、その時のブロ…

COVID19後のインパクト投資:アフリカベンチャーから見た世界

COVID-19の流行で世界が活動を急停止してから、1か月半が経った。3月中旬のようなパニックはないものの、完全な収束までは2年かかるとのIMFの発表もあり、長期的に経済のあり方が一変することは間違いない。アフリカのスタートアップも社会の混乱で直撃を受…

参謀の仕事

大学時代から「人のために仕事をしたい」と言っていて、戦略コンサルに行った友人と話をしたら、「Trusted Advisorになるために経営者の下で働く意味はあるのか?」というテーマで議論になった。 その時はうまく言葉にできなかったのだけれど、スタートアッ…

新興国でリープフロッグを実現させるものは何か?

正月休みに「新興国でリープフロッグを実現させるものは何か?」という議論をしていて、初歩的ながら実は考えたことなかったと思うので、書いてみたい。 日本やアメリカから「社会起業」やら「ソーシャル・イノベーション」やら「スタートアップ」のお勉強を…

Komaza 106・107週目:新興国スタートアップの評価軸

先週・今週とあまり本業で話せる内容がないので、新興国スタートアップを評価するうえで、考えるべき論点について述べてみたい。 一般的なビジネスDDについては専門書がたくさん出ているので、そういう本に書いてあるBox Tickingな要素をいったん忘れて、ケ…

ハンズオンへのアプローチ

新興国に限らず、なんだかプロジェクトがうまくいっていない場合に、自分で泥をかぶって手を動かして解決する場面はよくある。 状況を判断し、短い時間でどこにどう介入するかを理解する必要がある。 もちろん、理想的にはその状況をよく理解している人に話…

いつ起業すべきなのか?

「いかに自分の市場価値を最大化できるか」という問いが、好景気を背景にした転職ブームもあってかあふれている。 いかに自分にユニークな価値をつけて、市場価値のある人材になれるかが強調され、独立しろとか副業しろとか起業しろとか、煽られまくるのが、…

Komaza 85週目:芸風について

TokyoSwingさんの芸風に関するブログ(「超優秀な若手の悩みと芸風」)がかなり刺激的だったので、感想と合わせてブログを書いてみた。 以前のスキル偏重、Box Tickingなキャリア観(通称「スキル君」)批判に続き、スキルの対立概念として「芸風」を掲げる…

就活を効率化する5つのコツ

新卒で社会人になってから5年以上がたつのに、時々知り合い経由で就活の相談を受けることがある。 学生時代は、海外にいたこともあり、ボストンキャリアフォーラムという一世一代の大博打だけに絞って就活をして、いわゆる外資からこてこて日系総合商社まで…

恐怖と向き合う

このところ恐怖というものについて考えることが増えてきた。 何かと不安になり、几帳面なわけでもないのに潔癖でどうしてもイライラしてしまう。 落ち着かなさゆえに、無謀と言われた留学をしたり、卒論を書いたり、海外大生が遠慮する日本の大企業で仕事を…