ケニアスタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

152-154週目:日本→ケニア

ようやく仕事の調子が戻りつつある。

調子に乗って無茶をすると、その場は何とかなっても回復に時間がかかると新卒の上司に注意されたのを今更思い出す。

Do What It Takesが信条なので、経験、体調管理と体力づくりで、キャパシティを広げないといけない。

日本滞在は約1か月半、ほとんど自宅で過ごして外食をしていないにもかかわらず体重が+2キロ。

ケニアに帰ったらお茶漬け生活が待っている(本当にお茶漬けのもとを大量に購入している)。

 

クロージングから2か月たって、ほぼ忘れかけたころにEnvironmental Finance誌で、Impact Investment of the Yearに選ばれたとのニュースが飛び込んできた。

 

tombear1991.hatenadiary.com

 

 

評価されることはうれしいし、僕自身が仕事に人生を賭けている度合いが高いので、やりがいも感じる。

ブログでも書いた通り、賞をもらったのは結果であって、あくまでも本来の目的ではないので、淡々とやるべき仕事をしたい。

正直なところ、一番うれしいのは、このプロジェクトのためにいろんな難題と向き合ってくれたチーム(投資家側も企業側も)だと思う。

きっと良いプロジェクトになると信じてお願いして関わってもらった人に、きちんとお土産があるのは、日々大変な仕事を一緒にするなかで安心感になる。

難しい状況で「ついてこい!」と言える胆力も大事だけれど、それ以上についてきた人を不幸にしてはいけない。

新卒から新しい事業や投資をピッチし続ける生活をする中で、「信じていないものは売れ(ら)ない」という感覚がずっとある。

これからも大切にしたい感覚だ。

 

チームで仕事をしたり、業界に仲間ができたりすると、やりがいを感じる。

一方で、このやりがいに甘えている自分がいるのではないかとふと思って、慄然とした。

苦境の中でもがきながら何かを為そうとする気迫を自分に感じない。

苦労が報われて、色々な人が集まり、周囲の熱量が高まっているときこそ、今まで以上の熱量で仕事をしたい。

応援されているときこそ、甘えるのではなく、倍返しで応えたい。

辛いときに、「誰かが助けてくれればいいのに」とか「誰かが悩みを聞いてくれたらいいのに」などと期待するのも甘えだと思う。

自分から働きかけて、人を動かしていくのが原理原則。

ユリシーズの有名な一節、”Strong in will to strive, to seek, to find, and not to yield”という言葉で自分を励ましながら、ケニアでの生活に戻ろう。

Environmental Finance誌が選ぶImpact Investment of the Yearを受賞しました

IMPACT Awards 2020

 

グリーンファイナンスや、カーボン市場、ESG投資などの記事で知られる業界紙、Environmental Finance誌が選ぶ、Impact Awards 2020でKomazaのSeries Bが”Impact Investment of the Year”に選ばれました。

世界最大の森林保護NGOであるConservation Internationalのような森林領域の新興ファンドに加え、機関投資家のAXA、開発銀行のFMOといった、多様な投資家が参加したことが評価されたようです。

新興国テック投資や伝統的森林投資など、既存のアセットクラスに収まらない事業に対して、規模感のある投資を実現し、業界レベルのインパクトを出そうと取り組んできたので、嬉しいニュースです。

Komazaは、インパクト投資、Climate Finance、新興国ベンチャー投資、森林投資など、いくつものアセットクラスに接点があるからこそ、業界の想像力の限界を引き延ばす責任があるのだろうと感じています。

象徴的な案件、新しい案件をインスパイアできるようなディールを、投資家と事業の両側の架け橋になって作っていく所存です。

投資・応援して下さった方々の負託に応えるよう、これからも淡然と仕事をしていきます。

 

www.environmental-finance.com

"Scent of a Woman," "The Majestic,"「怒り」など

Series Bが終わってから数週間、深夜の電話会議がなくなった時間を利用して映画を観ていた。
アマゾンのレビューを見比べたり、知り合いにオススメを聞いたりしては、気に入った作品を観ていて、せっかくなので、簡単なレビューを書いてみる。
 
「Ford vs. Ferrari」
ヨーロッパ勢の独壇場であった、ルマン耐久レースにアメリカが誇るフォードが参戦した時の物語。
ドラマとしても、実話としてもエピソードが尽きない名作。
スリリングなレースシーンはさることながら、大企業病のフォードとレーサーとの駆け引きなど、見ごたえ抜群。
男くさい、戦後のアメリカ!という感じ。
 
「天気の子」
新海誠作品は秒速5センチメートルから観ているので、日本にいなくて見逃した本作をアマゾンでポチり。
東京の街並みの描写、とりわけ雨に降られた大都市の美しさというか情緒というか、情景描写は圧巻の一言。
一方、ストーリーは前作「君の名は」の方がよかった。
脚本はひねっているようで、人物の輪郭がいまいちはっきりしておらず、パーツや伏線が多いからといって深みが出るとは限らないんだと実感する。
 
「ノッティングヒルの恋人」
ラブコメディーの殿堂ということで有名な本作。
新海誠作品の「運命のめぐりあわせ」重視のファンタジーを観た直後だと、主人公のドタバタっぷりや惹かれ合いながらも立場が全く違う二人の食い違いに妙にリアリティを感じる。
とりあえず、ジュリア・ロバーツの笑顔がヤバい(語彙力)。
 
「The Majestic」
「いかにもアメリカ!」な映画。
赤狩りや第二次世界大戦、ハリウッドと政治など、歴史的なコンテキストを織り交ぜながら、最後はハッピーエンドという充実した構成。
経済成長でイケイケなアメリカの少し前、戦争や冷戦の傷跡が残る田舎町を舞台にしたストーリーは、とかく美化されがちな「古き良きアメリカ」とは少し違った味わい深さがある。
 
「Scent of A Woman」
アルパチーノの迫真の演技を観れただけでも幸せ、という一本。
限られた登場人物しかいないのに、はじめからおわりまであっという間に感じる作品。
アドベンチャー要素も多分にありがながら、思い出させるように主人公の絶望と怒りがテーマとして立ち顕れる。
冒頭と終盤で、アルパチーノ演じる盲目の元陸軍大佐とクリスオドネル演じる名門校の高校生の顔つきが全然違う。
単なる感動作に終わらせない、クライマックスの演説もなかなか見ごたえがある作品。
”Dead Poet Society”が好きだった人ならきっと刺さる。
 
「怒り」
狂気と正気がぐちゃぐちゃになって、とにかく揺さぶられる衝撃作。
3本の並走する悲劇それぞれが十分にひとつの物語になるくらい重いのに、それが組み合わさって全体を作る。
独特のストーリーを3本への並走させることで、個別のストーリー単体では作り出しえない一般性を獲得している。
 
登場人物ごとにいくつもの人生があり、それぞれに怒りや悲しみ叫びと赦しが混在している。
重層的で多面的な生をまとめて同時に突き付けられると、観る側としては特定の人物に共感さえする余裕がない。
一度観ただけでは、さらっと感想が書けない、感情のオーバードースという感じ。
 
映画の題名にもなっている「怒り」の別の一面として描かれるのが「信じる」というテーマ。
信じていた人に裏切られて怒る人、大切な人を信じることができなかった自分に怒る人、信じていなかった人を信じるようになることで怒りを乗り越える人、怒りと信頼という人と人の対照的なつながりが異なる設定・登場人物を通じて描き出される。
その点、個別の設定だけ見るとかなりどギツイものの、”American Psycho”のような挑発的な意図はなさそうで、一部のレビューにあるような沖縄問題等個別の社会課題への批判というわけでもなさそう(だとしたら、3本のストーリーを別に組まずに、統合だってできたはずだ)。
むしろ、人間を駆り立てる感情の波をありのままに肯定するヒューマニスト的な作品だと思う。
人は信じるからこそ怒るのだと訴えかけてくる。