ケニアスタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

2021年は「実行の年」から「飛躍と準備の年」へ

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2020年「実行の年」の振り返り

20代最後の年、面白い一年でした。
 
とりわけ印象深かったのは、7月にクロージングしたシリーズBです。
投資委員会の直前にコロナが直撃し、現地DDが中止になるなど、絶望的な状況のなか手探りでの実行となりました。
結果的に、アフリカの林業・スタートアップという敬遠されがちなジャンルにおいては業界初という象徴的なディールとなり、インパクト投資家ではなく本流の機関投資家や開発銀行からの直接投資はImpact Investing of the Yearにも選ばれました。
年初はカリフォルニアと欧州を往復して、投資家の現地DDのときだけケニアに戻る生活をしていましたが、PEやストラクチャードファイナンス、ヘッジファンドなどバラバラのバックグラウンドの投資家を相手にした交渉では、「新しいアセットクラスをつくる」という挑戦の難しさを痛感させられます。
ときには、投資家のInvestment Thesisそのものを再定義するような突っ込んだ提案もしながら、起業家と投資家双方の対話で案件をつくる過程は、この仕事の大変なところでもあり醍醐味でもあるのかもしれません。
 
限界を超えてストレッチされ、危機を克服する経験、というのは天命と努力の両方がないと得られないものだと思います。
その点で、三菱商事を退職した3年前に誓った、ファイナンスを使って事業・社会に際立った成果を上げること、起業家と投資家の双方と対話すること、テクニカルな知識を駆使してベストな解を模索すること、という当初の目的は達成できました。
「これは自分のチームで成し遂げた仕事だ」と胸を張れる最初の案件は、その過程と同じくらい、プロフェッショナルとしての成長に欠かせない通過点のような気がします。
 
加えて、9月からは資金調達の重要な投資テーマであった海外進出や、カーボンクレジット、証券化、レポーティング、ESG対応などのプロジェクトを並行して立ち上げ、マネージャー級の人材を数人抱える社内最大のチームが生まれつつあります。
ファンドレイズでは、時間との闘いだったこともあり、CEOと自分が司令塔となって枠組みと中身の両方を指示し、チームは作業に注力という不健康な状況が続いていました。
きちんと情勢判断ができていればよいのですが、いっぱいいっぱいで目の前の危機に向かっていた自分にはチームをEmpowerする余裕がなく、ゴリ押しで乗り切ったというのが正直なところです。
今回ようやく時間軸を仕切ったプロジェクトが立ち上がることになり、マネージャーがプロジェクトのオーナーとなり、自分は成功支援に注力するという、あるべき姿で再編を行いました。
結果として、レポーティングラインは5人となり、素晴らしいメンバーのリーダーシップのもと、着々と進歩が生まれています。
同時に、マイクロマネジメント型ではない形でいかに成果を最大化できるか、という点は十分改善の余地があるとみており、2021年には突っ込んだ勉強をする予定です。
9月には資金調達モードからチーム育成へと舵を切るための転換点としてコーチングを始めて、いい感じに効果が出始めています。
 
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2021年は「飛躍と準備の年」

2021年は「飛躍と準備の年」です。
 
資金調達はあくまでも始まりでしかありません。
調達した資金をいかに事業価値に換えていけるかが、実際にベンチャーの経営陣が答えなければならない問いであり、そのためにまだ出来る仕事があります。
2019年・2020年は実質的にはCFO的な仕事が中心でしたが、ここからはファンドレイズと投資実行の2面にのみ特化した攻めの仕事に注力していきます。
 
3年以上この仕事をして、自分の仕事が単なるファイナンスやファンドレイズではなく、事業の成長可能性を最大化するためにビジネスモデルや新規事業を含めて積極的に会社に提案をしていく、企画業であると思い至りました。
事業のキャッシュフローを変えていくことで、積極的に投資を行い、リスクを管理する。言うは易く行うは難し、というこのパズルを一つ一つ解いては積み重ねていくのが、2021年の主なテーマになります。
カーボンクレジットやM&Aなど新しい技法にも取り組みながら、イノベーティブなビジネスモデルを最大限生かせるファイナンスを実現していきます。
グロースフェーズに突入しつつある会社に働きかけて変化を起こす、ハンズオンとイシューの読み切りの両方が求められる一年になりそうです。
チームとしても次のレベルに飛躍することが、大切なゴールです。
 

20代から30代への転換

2021年は、30歳になる年です。もはや若者ではなく、かといって経験豊かというわけではない、危うさと面白さがちょうど半分半分に差し掛かる時期でしょうか。
20代は、留学、日本での就職、ケニアへの転職と、徹底して考えて、大胆に決断することの繰り返しでした。
世界の全体像、物事の動き方とあるべき姿、自分に合った勝ち筋を丸ごと理解できる、いわば、プロフェッショナル版のリベラルアーツプログラムとして、地域も業界も対照的なチャレンジを組み合わせてきました。
日本、アメリカ、アフリカと、それぞれの場所で納得のいく成果を出しながら、貪欲にインプットを重ねてきて、10年経ってようやく暗闇から抜け出す道筋が見えてきました。
着地点こそ見えないものの、10年間成果にコミットして出してきた実績と、意思決定のプロセスへの自信がじわじわと効いています。
ソーシャルセクター、投資、ベンチャーと業界をまたいで見えてきた世界観のようなものを、応用して仕事に換えていくのが僕の30代になりそうです。
 
20代と2020年で共通の反省点もあります。
没頭してしまうタイプで、延々と考えたり、あれこれ投げ出して目の前の課題に突入したり、周りが見えなくなることが何度もありました。
没入感が成果につながっていることもあり、これまでは必要悪のように考えていましたが、30代こそむしろ「遊び」を大切にしていく必要がありそうです。
確か5月だったと思いますが、Space Xが有人宇宙飛行を成功させた実況中継を見たときに、いかに自分の想像力が狭窄していたか、眼前の仕事やインプットにばかり意識を奪われていたかを痛感しました。
未来を見るというのは、観察や分析を超えて、自分の主観をフルに使った想像力が問われる分、単なる器用貧乏にならないように注意が必要です。
 
この1年だけで見ても、インプットの量がアウトプットの量を左右するレベルの仕事が確実に減ってきました。
メタレベルの問題解決、新しい事業に対する想像力、他者・自分に対する理解、多くの可能性がある意思決定など、経験の深さと広さが思考と行動の質に響いてくる場面では、長時間を机の前で過ごすだけでは超えられないインスピレーションが求められます。
練習でも学習でもなく、体験に基づく世界観というのは、仕事においても人生においてもますます大切になり、作業や仕事に逃げてはならない、そう直感しました。
不確実性が高い、未来志向の仕事をするからこそ、未来に対して頭を柔らかくして、日々五感で世界と接していなければならない。
未来は本にもレポートにも書いていないので、自分の感覚を頼りにリスクを取っていくしかない。
プロフェッショナルとしての経験やスキルは、うまくやる確率を上げこそするが、本質的なゴール設定はあくまで一人ひとりの人生から出てくるもの。
このあたり、深堀りをしていきたい、その意味で2021年はパワフルな30代のための「準備の年」です。
 

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