ケニアスタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

144-145週目:シリーズBを調達しました

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財務責任者をしているKomazaがアフリカのベンチャーとして最大規模となる30億円(28百万ドル)のシリーズBを調達しました。
アフリカにおけるベンチャー企業の資金調達としては、インパクト投資、環境投資、森林投資、零細農家プラットフォームなど様々な分野で最大規模であり、シリーズBという一般的にはアーリーステージでありながら、機関投資家のAXA Investment Managers、アフリカ森林投資の老舗で開発銀行のFMO、国連傘下の環境ファンドLand Degradation Neutrality Fund、シリーズAのリード投資家Novastar Venturesと、素晴らしいパートナーに参画頂きました。
クロージングに至るまで、何人もの方にアドバイスやご支援を頂きました。改めて御礼申し上げます。
 
ケニアに来た当初から、投資家ではなく、スタートアップの側からファイナンスを使って成長をドライブすること、社会的・環境的インパクトのある事業をInvestableにするのをミッションに、起業家と二人三脚で非線形的な仕事をすることを掲げてきました。
2017年にKomazaに入社して以来、CEO直属のなんでも屋さんとして、NGOからの転換、PEなど投資プロフェショナルで構成される専属の戦略・財務チームの設立、森林の証券化、拡大戦略・パートナーシップ支援など、様々な仕事に携わってきましたが、すべてが結実しています。
入社3か月後にCEOに直談判してゼロから始めたチームも、新興国投資の優秀なプロフェッショナルが集まって、一丸となって取り組んできました。
 
インパクト投資という言葉こそ有名になりましたが、その中身はまだまだ混とんとしているのが現状です。
投資される事業の側も投資家と同じくらい頭と足を使って新しいプラクティスを積み重ねていかねばならないと思い飛び込んで、ケニアに行くのも初めて、新興国での生活も初めて、CEOに会うのも初めて、何よりもベンチャーが初めてという初めて尽くしの挑戦でした。
実際に仕事を始めてみると、新興国市場ならではの”Missing Middle”(アーリーとレイトステージ投資家はいるが、間がいない)や開発業界特有の投資条件など、「お勉強」してきた課題に突き当たりながら、なんとかして生き延びる毎日に鍛えられました。
アセットクラスがまだ黎明期であることもあり、前例や定型がほとんど存在しない中で、投資家と事業側の両社でほぼゼロからディールを作っていくプロセスは大変でしたが、やりがいのある仕事です。
投資家にとっても、「森林xスタートアップ」企業のバリュエーション、コロナ下での現地訪問なしでのDD、機関投資家と開発銀行のCo-Lead、LP投資家による直接投資案件など、ありとあらゆる「初」が詰まっていて、侃々諤々議論して合意形成していく過程はとても勉強になりました。
 
学生時代も含めると、これまで10年ほどインパクト・社会起業との接点を持ってきて、「本当に足りないのは何か?」という問いをその都度ぶつけては、新しいプロジェクトにしていくのを繰り返してきました。
今回のシリーズBを通じて、SmallholderやForestry、Climateなど様々なアングルから見て新しい事例を作れたことは、素直に嬉しいですし、ここから職業人として新しい地平が開けるのを感じています。
 
クロージングのセレモニー(オンライン)で、「ファイナンスのプロフェッショナルである以上に、事業に対して熱量とビジョンを持ったイントレプレナー」というCEOの言葉は、たぶん一生忘れません。
社会人になってから教えてもらったり助けてもらったりするばかりですが、ようやく自分の仕事を通じて社会に少しは価値を還元できたかもしれません。
遅ればせながら職業人としてのスタートラインに立った心境です。
 
発表直後から、メンターの方々、接点のある投資家、前職の先輩、果てはペイパルマフィアまで、あらゆる方からお祝いのメッセージを頂き、Africa PE NewsやImpactAlpha、Quarts Africaといったメディアでも紹介されました。
Komazaにきてから定期的にブログを書くようになって3年近くが経ち、一過して積み重ねてきた仕事が形になったことは、事業開発やファイナンスに携わる人間としてとても充実感があります。
 
一仕事終えてこれでゆっくり夏休み、と言いたいところですが、クロージングからの2週間ほどは、これまで通りの通常稼働でクロージングに手いっぱいで溜まっていた仕事や、次のフェーズへの仕込みに費やしました。
資金調達はあくまでも始まりでしかなく、COVID19含め厳しい市場環境でいかにこの資金調達を長期の成長にぶつけていけるか、は相応に難易度の高い挑戦になります。
まだまだやるべきことが山積みですが、今後とも精進して参ります。
 

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(クロージングセレモニーはリモート開催)