気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

スタンフォード26-29週目:逃げる自分をつかまえる

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ECO-SEIという夏休みに自由研究するためのフェローシップに合格した。これで、夏休みにインターンで生活費を稼ぐ不安から多少は解放される。ありがたい。

あとは、大学院3年目になるかもしれない、環境学の修士課程にも合格した。どこまでやれるか分からないけれど、Climateにいる以上、どのみち授業は受けることになる。

全部年末年始からの仕込みなので、慌ただしい。一息つくのもつかの間、今度は期末試験に向けた準備に追われる。

 

去年の9月には信じられなかったが、あらゆることが、想定以上のスピードで取り組んでいるプロジェクトに向かっている。僕は、今の人生を導いてはいない。

Agencyを持った生き方は、自分の思い通りの生き方ではない。良くも悪くも、あるがままを受け入れて、よりよい未来に向かって行動し続けた先にある結果である。

Forbesに掲載されたことをほめてくれたKnight Hennessy の同級生が、顔をしかめた僕を一瞬で理解して、「今評価されるのはいいことだけれど、評価されたのは過去の努力だってわかってるから、昔と同じ努力を続けないと意味がないよね」と声を掛けてくれた。

その通り、淡々とまっすぐに、自分を事業という形なり、研究という形なりで表現する。自分の人生はそこから生まれる。

そこに僕の意思決定はない。決意ではあるかもしれない。その二つは似て非なるものだ。

 

ありのままでいることが僕にはできるだろうか。

留学前に日本で大学生をしていた夏休み、「何のために生きたらいいのかわからない」と相談した僕に、「逃げる自分を捕まえられる日がいつか来る。それまで逃げ続けなさい」という言葉をかけてくれた人がいた。彼の言葉をかみしめている。

当時の僕は血気に燃えていた。何かを成し遂げなくてはならないという勝手な使命感を、自分の野心ではなく、公的な志か何かだと思い込んでいた。

自分は強くなれば、自らに打ち克つようになれば、きっと目標は達せられると信じて疑わなかった。

だからこそ、常軌を逸した生活を10年以上続けられたのだと思う。後悔はない。必要な過程だったと思う。

省みれば、強くなろうとする自分こそが、逃げる自分だったのかもしれない。

この数年は、強くなろうとすればするほど、自分の本当の姿が遠のいていく感覚に当惑していた。

正直に言えば、違和感を覚えながらも、まさか成果がようやく上がりつつある途上で立ち止まるわけにもいかず、ここまできてしまった。

 

力を抜くことの方が、力を入れることよりも、勇気がいる。

ああ、また逃げようとしているな、と自分を見つめながら、自分ではなく課題に向かい続ける粘り強さこそが、逃げない自分なのだ。

自分がやりたかったことが何なのか分からないままがむしゃらにやってきたからこそ、色々なピースがそろい始め、同じ方向に向かっていきつつあるこの数週間、課題だけに関心が向いている。

思い通りに自分がなるときも、ならないときもある。ただ、それは問いの前では関係のないこと。

スタンフォードに出発するときに、メンターから、「博く学び、審らかに問い、慎みて思い、明らかに辨じ、篤く行う」という中庸の一節を贈られた。

このプロセスの目的に自分は存在しない。自分はあくまでもMediumでしかない。ようやく、心穏やかに、地に足を付けて挑戦ができそうだ。

春休みも夏休みも、自分の研究のために使う。さて、何が出てくるのだろう。

 

今年のKnight Hennessy Scholarの最終選考兼基調講演はAl Gore。40年以上気候変動に対する人類の役割を解き続けてきたTruth Tellingの力。頭が下がる。この後のパネルに登壇して、最終選考に残った候補者の猛烈な質問の嵐にさらされた。自分の選考インタビューより難しい良問・難問の数々に1週間くらい考えさせれられてしまった。

 

StanfordのYouTubeでおなじみ、View From The Topに、Airbnb創業者のBrian Cheskyが登場。GSBにいる間のBucket Listだったスピーカーへの質問も無事完了笑

 

Teslaの元CTOでRedwood Materialsの創業者JB Straubelの講演。技術の力で世界を変えるとはどういうことなのか、高校時代のEV研究から、エネルギーインフラを含めた社会実装の過程に圧倒された。すごいの一言。

 

Knight Hennessy Scholarのメンバーで、Anderson Collectionのプライベートツアーを企画した。Anderson Familyの方ともつながれたりして、Artがぐっと身近になる。コレクションも、美術館もぎゅっと濃縮されていて素晴らしかった。

 

先週は期末試験期間だったのが、軽い交通事故にあってけがをしてしまい、なんだかんだ1週間弱延び延びになってしまった。冬休みはコロナになり、中間試験は足を捻挫して、今回もけがをしてしまっているので、強制的な休息にはなっているものの、いまいちトップスピードが継続できていない。この2週間ほどは満身創痍だったのがようやく回復しつつあるので、また今週後半から気合を入れ直していく。ただ、前進する度合いには満足しているので、あきらめずに、苛立たずに、続けていきたい。