気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

174‐175週目:絶賛格闘中

年初の決意で、忙しいのを理由にブログを休まない、を掲げたので、とにかく書いてみる。

まとまらない内容で申し訳ないですが、そんなときもあると生暖かい目で見守って頂けると嬉しいです。

 

仕事:

年初に仕込んでいた案件が上手くハマったり、ゆっくりしていた案件が急発進したりと、ガンガン仕事が動いている。

資金調達も継続しているので、日中は投資家とのコール、カーボンや証券化などのプロジェクトマネジャーとの打ち合わせ、チームが仕事をする上で必要な社内営業、取締役へのアップデート資料作成など、指示出しからピッチ、作業に至るまで、総動員の日々が続く。

新しくメンバーも増えて、去年ほど回っていない感はないのだが、ギリギリ無理な感じにストレッチされており、新卒アナリスト時代を思い出す。日々成長を実感している状況(やれやれ)。

仕事が進まなくて悩むよりも、進みすぎて悩む方がはるかによいので、コロナ禍で身動きが取れない業界の方のことなどを思うと、感謝すべきか。

そういえば、インパクト投資ファンド勢にも、欧米からの出張を解禁する向きがあるようで、弊社の投資家にもケニア・タンザニア訪問するVCが出てきたりしている。

1年くらいはZoomと書面で何とかなるかもしれないが、やはり対面での情報量にはかなわない、と言っていた。

 

その他:

CoachEdのコーチングが最終回だった。総じてとても良い経験だったし、3か月仕事をしながら毎週2時間弱のセッションをする中で、明確な対人関係の変化があった。ちょうど社内での役回りが変わったタイミングでもあり、今の仕事が何とかできているのは、CoachEdのお陰だと思う。

 

ボッシュ財団のGGF2035フェローの日本人メンバー2人とZoomで話す。前回のキャッチアップは昨年末だったのだけれど、相変わらずヨーロッパはロックダウンがきつそうである。来週は日本ネタでのプレゼンをすることになっているので、面白いことを考えたい。

 

情けないことに腰痛と肩こりと頭痛のトリプルアタックに1月末から悩まされている。年始に仕事のスタートダッシュをかけていて、不安とアドレナリンに突き動かされるまま走り込んだのが原因らしく毎週ストレッチやらマッサージをしてだましだまし仕事をしている。回復方向には向かっているものの、当分はフィジカルな無理は禁物。

173週目:

もう2か月くらい働いている気分なんだけれど、まさかの新年3週目でしかない。

三菱商事の後輩もとてもよく仕事をしてくれて、猛烈にタスクを巻き取られており、余剰キャパシティをガンガン再投資した結果、なかなか仕事量がしびれる感じである。

好奇心と根性を備えたチームメンバーを率いるからには、インスピレーションとエネルギーを常にチャージしておかねばならない。

ただ人一倍仕事をするだけでは、Moral Leadershipはとれても、本当の意味でチーム全員に分け与えられるべき成功を収めることはできない。

そう言い聞かせて反省する毎日が続く。

 

このところ、企画のレビューや計画立案のお手伝いが多かったのだが、しばらくぶりに自前の企画仕事を作ることができた。

正直時間がないのだけれど、だらだらやってもしょうがないので、月曜日からは猪突猛進でいくつもり。

 

週末はフェローシップ関連の作業を重点的にこなしつつ、新興国M&Aをしている知人とキャリアについて話をしたり、ナイロビのExpatの集まりに行ったり、Mutual Friendsが数十人いるなぜ今まであわなかったのかわからないメンバーでご飯に行ったりした。
Kilifiに赴任してからというもの、休日は誰とも会わないのがラグジュアリーという生活に慣れきってしまい、人付き合いが減っていたので、こうした機会をちゃんと持っていきたい。狭い世界だからこそ、ちゃんと参加しなければいけない。

 

あとは、芥川賞を若干21歳の著者が受賞して話題になった(らしい)「推し、燃ゆ」を読んだ。

著者の感性の若々しさよりも、鮮烈で直感的な感情描写が抜群であった。才気があふれていて、ぶっ飛んでいる。

なんだこれは!という感じの作品で、正直ジェネレーションギャップに文化人類学的な興味があった自分の期待をはるかに上回る作品だった。

日常の退屈さを、痛みとして切実に描きつつ、生き続ける痛みと向き合うためのアイドル(推し)の存在を多面的に分析している。

生易しく、考えさせられた、とか言えない感じ。「パラサイト」とか、「Joker」とか、「万引き家族」とか社会批評を含む話題作、衝撃作は極力見ているんだけれど、どれとも違う。

弱肉強食のグローバル社会で消耗戦をしている自分からすればSF以上に非日常的な世界観だった。

もうちょっと考えて書評を書いてみたい。

172週目:キャリアについて思うこと

今週は仕事も本格化しつつある中、何人か刺激的な出会い・再会があった。

大学時代に教師をしていたLearning for AllというNPOで同じチームで、その後、開発学の修士を取り、Post Confilict/Emergency Supportの第一線で働いている人。

戦略コンサル・MBAを経て、文字通り世界を股にかけている人。

開発とビジネスの両方の経験を活かし、アフリカのビジネスの第一線で働いている人。

など、図らずして豪華なキャッチアップが続いた。

 

学生時代はキャリアを頭でっかちに考えて、予測したり、分析したりしていて、社会人の大先輩から「リニアにキャリアを考えようとするな」とよく注意されていた。

生意気でとがっていた当時は「考えない行動に意味はない」くらいに思って聞き流していたのだけれど、ようやく意味が分かってきた気がする。

 

新社会人の数年は、どこにいってもガムシャラに食らいついて仕事をしないといけないが、一定の修業期間を経ると、今度は自分なりのアウトプットを求められたり、特異な軸を持つ必要が出てくる。

そうなると、単なるガンバリズムが途端に機能しなくなる。大学時代からCompetitiveなOverachieverだった人で苦戦する典型的なタイプだ。

彼らは、マイルストーンやベンチマークを超えることだけを目指して立ち止まった時に、自分のはかなさ・無力感に耐え切れず、プレッシャーで意思決定をしてしまう。

 

偶発的に見えるつながりを拾ったり、人間としての幅を持たせたり、という自由度の高い意思決定を流れに身を任せながらするのは、一見「考えない行動」でありそうで、実は絶妙なコントロールを要求される。

キャリアにまったく後悔がない人は少ないかもしれないが、自分の得手不得手や好みと現実の折り合いをつけて行くバランス感覚は、新卒イケイケの時にはほとんど意識したことがなかった。

翻って、今週会った人々を見ると、経歴の見事さ以上に、人としての個性や魅力が際立っている。

グローバルなブランドを背負ってなお、個人としての魅力が先立つというのは、すごいことだと思う。

制約と可能性を理解して、思い切って決断する力。大変な時にも遊び心を忘れない余裕。見習うべきことが多い。

 

自分の場合は、思い切ってグローバルブランドを捨て、ローカルの個別具体的経験を重視してキャリアを選んできた。

思考と計算で設計通りに進めてきたところから、どうしたら人間として面白くなっていけるのか、考えてみたい。

仕事云々というよりも、一つの人生としての充実、がカギになるような気がしている。

171週目:2021年のリスクとシナリオ

4日から仕事始め。
今週は昨年末にとりまとめたToDoを休暇明けのフレッシュな頭で考え直す一週間。
キックオフと称してチームに大局観を示しつつ、僕自身もプライオリティを鮮明化していく。
仕事のスピードはまだまだだが、目の前の作業に埋没したい欲求を抑えて、じっくりと考える時間をとる。
昨年9月から開始したプロジェクト群において、本質的なボトルネックがある程度見えてきている今の時期に、根本的にリスクが高い部分を特定して、先行して手を打っていく必要がある。
同時に、来週からは昨年タネを播いて水やりして育ててきた案件をしっかりプッシュするタイミング。
時機を逸せず、課題を逃さず、かじ取りが難しい。とりわけ、チームの成功に自分の時間を割くと、自分が直接取り組んでいるプロジェクトが危うくなるので、線引きには要注意である。
いろいろツッコミたい部分はあるが、あくまでも自分を緊急対応専門と位置づけ、極力オペレーションレベルでの介入を減らしていく。
デリバリーの重要局面や危機的状況など、場面を限って戦力投入していかないと8本あるプロジェクトラインの総てを年内に完了することはできない。
またストレッチされる年になりそうで、ワクワクしてきている。
 
年初の恒例行事、Blackstone Byron Wienの10 SurprisesとEurasia Group Ian BremmerのTop Risksに目を通した。
今年はByron Wienの方がマーケットと米国を中心に絞ってきた印象で、Ian Bremmerの方がトルコの経済破綻、メルケルなきヨーロッパの混迷、COVIDで打撃を受けるラテンアメリカと幅広く地政学的リスクに言及している。
コロナが大々的に混乱を生んでいて、すべてがサプライズの現状では、Ian Bremmerの分析の方が局地的なリスクやCOVID以外の争点にも目を向けていて、得るものがあった。
特に印象深かった点は、以下の通り。
 
  • 中央銀行がMMTを前提とした施策を進める
  • 米債の10年利回りが2パーセントを超える
  • Biden政権下で米中国交の改善(修復)が行われる
  • アメリカは国民の半分がBidenを大統領として認めない、不安定な状況が続く
  • ヨーロッパは、メルケルという長期のリーダーを失い、安定性を欠く
  • ラテンアメリカ、トルコ、中東など、他の地域でも火種はくすぶっている
  • Climate Changeやデータビジネス、イノベーションなど新しい領域での国際競争が加速し、G-Zeroでの殴り合いになる。結果的に、米中の利害が対立する公算が高い。

グローバルに考えることがいっぱいある年だが、目の前の事業への集中力を切らさず、スタートダッシュを続けていきたい。

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170週目:仕事はじめ

いよいよ年が明けて仕事が始まる。

正月は毎年日本で家族と過ごしてきたので、今回は初めてのひとり正月。

大みそかから三箇日にかけて、集中して考え事をしたり、今年の計画を整理できた。

ケニアでの仕事も4年目のなかばとなる今年。

慣れ合いになりそうなものだが、この数日間仕事の優先順位などを考えていると、あっという間に緊張で体がしびれてくる。

「仕事にのまれない」と自分にいいきかせて、パソコンとノートに向かう。

資金調達にかぎらず、仕事は結果がすべて。

毎年期待値を超える仕事をしては、さらにハードな目標を設定する。

ぎりぎりを超えるゴールを設定して、粘り続ける。

ケニアに来た時の、新鮮で生々しい渇望を忘れず、Comfort Zoneの外に向かってフルスイングしていく。

自分は狙いすまして計画を進めていく弓道タイプなのだが、今年はサッカーのようにパスを前に出しながら、走りながら、臨機応変にやらないと目標の達成は難しい状況に自分を追い込んでみることにした。

新年の高揚感に力をもらって、今年も仕事にむきあっていきたい。

 

威勢のいいことを書いている今も、すでに胃がキリキリと痛んでくる。

知り合いから、

「この道より 我を生かす道なし この道を歩く」

という武者小路実篤の言葉を教わって、さっそくPCのモニターの横に張り出して自分を励ます。

今年はもっとふてぶてしくありたい。死力を尽くしてなお、泰然自若としているしぶとさが欲しい。

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