スタンフォード8週目:優先順位、トレードオフ、パラドクス
中間試験とプロジェクト
スタンフォードのMBAというと学内では飲み会ばっかりやっているChillなイメージがあるのだが、最初の学期は思いのほか忙しい。
理由は3つで、
①最初の学期はクラスの数が多い(8クラスくらい)
②難易度が難しいクラスになるとそれなりに頭を使ったり調べ物をしないといけない
③Chillに見えていても、Academic Smartな学生が多いので、大変に見えていないだけ
というあたりだと思う。授業で20時間くらいとられて、準備や課題などであっという間に20時間はとられて、On Topでソーシャルや就活など考えると、フルタイムで働いていた時と同じような慌ただしさになってしまう。
自分は、MBAでは頑張らない、ゆっくりすると決めているので、睡眠時間は一切削らないことにしている。
となると、さらに自由時間がないわけで、よくよく考えて時間を使わないといけない。
MBAでの優先順位付けのパラドクス、見せかけのトレードオフ
GSBでは、中間試験が終わる11月まではクラブ活動とキャンパスでの就活が禁止されている。
学生が生活になじむまでは気持ちのスペースを作っておくべき、というシステムなのだが、それでも毎日同じ時間に3つか4つは参加したいイベントがある。
突然クラスメイトからディナーに誘われることもあるし、アカデミックな成功が周囲の評価に直結しないMBAにあっては、自分の時間にせよ勉強の時間にせよ、死守するのが難しい。
そんな生活も2か月弱が立つと、慣れてくるもので、ランチタイムと夕食時間帯にいくつかい行きたいイベントがあっても、丸ごと切れるくらいの胆力はついてきた。
最終的には「ビル・ゲイツとの少人数ランチ」くらい重要でなければ、また機会はあるとあきらめることにしている。
スタンフォードには様々なリソースやネットワークが集中しているので、一見すると参加するイベントの取捨選択にはトレードオフがあるが、実際のところはGSBのネットワークでほかの方法でつながることなんていくらでもできるので、当日にMiss Outしてしまっても、後日Follow Upすれば回収可能なのではないかと思っている。
見せかけのトレードオフに心を悩ませるのではなく、日々集中して考えていきたい。
逆説的だが、MBAの本質的価値は、有名人との時間ではなく、自分との時間の方にある。
伏線の回収や有名人との時間は、MBA後半戦でいくらでもできるので、まずは自分の軸を見定めることに注力したい。
インポスター症候群と勝ち筋
最初の数週間は、よくこの話になった。
様々な領域で成果を上げた人たちが集まる大学院は、学部以上に、周囲と自分を比べて劣等感を感じてしまいがちである。
ただ、フォーカスがあれば、それなりに軽減可能な辛さのように思われる。
自分が何者か、何を軸として価値を持つのかを理解していれば、全方位的に他者と自分を比べる必要はなくなる。
見るもの、聞くもの、あらゆることを比較対象にしてしまえば、あらゆる領域で世界のトッププレーヤーが集まる場で、自分の価値を肯定することは構造上不可能だ。
加えて、能力そのものでさえ、あるレベルを超えてしまえば、比較そのものが無意味になっていく。
テストの点数を比べていいのは、あくまでも自分が追いつく先のある、ギャップの明確な「お勉強」をしていたときの話で、自分のテーマをもって実務なり学問の世界で新境地を開こうというときに、成果以外の比較は意味がない。
領域によっては、そもそも比較すべき成果の評価さえ、自分の時代には起きないかもしれないのだ。
したがって、自分の境地を開けるか否かという問いに、周囲の評価はあまり重要ではない。
誠実に自問自答を重ね、その過程で生まれる課題を周囲と解決していく、閉じたプロセスを続けていく。
オープンイノベーションのきっかけやサポートするエコシステムは開いていても、イノベーションを現実にもたらしていくのは、Laser Focusedな閉じた努力だと思う。
スタンフォードやMBA、Knight Hennessy Scholar、シリコンバレーといった異なるエコシステムに身をさらしながら、自分なりのスタンスを見極めている。
頭で考えるだけではなくて、心の中で整合性が取れて、身体感覚としてSink Inするまでは、気持ちが悪くとも待たねばならない。Trust the process.というやつだ。
いちいち刺激が強いので、振り回されそうになりながら、これというバランスを見極めたい。
そこからは、自分のスタンスで物事を進められた人間が成果を上げていくんだろう。
(今日はHalloweenということで、Storytellingのワークショップも皆さんドレスアップしていた笑マスコットの恐竜Kawaii。)