Zeitgeist

ケニアのスタートアップで企業参謀。留学した後の話。

やりたいことのある新社会人へ:3年で会社を辞める ために、入社前にできること

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日本では桜が咲いて、卒業シーズン真っ只中、ということで、4月から新社会人になる方向けの投稿です。
 
新社会人に会社を辞める方法論を贈るのはどうなのかと言われそうですが、日経新聞などでも3年で退職する若手が増えていることが取り上げられる昨今、新社会人でさえがむしゃらな新人時代を経ればすぐに次の人生の決断フェーズにはいってしまうのもまた事実です。
新しい環境に飛び込んで余裕がなくなる前の、今のうちに考えておいたほうがいいこともあるだろうと思い、あえてこの記事を書きました。
 
人生の節目を自分でデザインして、「今の職場に残るのか、新しい挑戦をするのか」をシビアに判断し続けることは、一本線のキャリアというものが存在しない中で、納得のいく職業人人生を実現する数少ない方法になるのではないでしょうか。
充実した学生生活を送り、就活ランキングの上位に名を連ねる超一流企業に入社した人たちには、「とりあえず3年」と言ったまま、気づけば30代という人や、会社のブランドと自分の能力を取り違えて、気づいたらどうにもならない(転職したくても市場価値がつかない、今の高待遇から動きたくなくなる, etc.)状況になっているケースも散見されるからです。
もちろん、一流企業でしかないビジネスの機会や経験もあるので、別に転職をしないといけないというつもりはありません。
僕自身も最初に就職した三菱商事で非常に多くを学び、貴重な体験をさせてもらいました。
ただ、もし真剣に将来起業をしたり、自分の中長期の目標に向けて、ファーストキャリアを確実なステップにしたいというのであれば、それに向けた準備をするのは入社前の今だと思うのです。
 
この記事では、新卒で三菱商事に入社することを決めた自分が、「5年後につまらなくてプライドだけ高いダメな大企業若手になっていたらどうしよう」とか「大学時代にこれほど情熱を持っていたインパクト投資のことをすっかり忘れていたらどうしよう」とか「まったく希望していない部署に配属されたらどうしよう」とか不安になりながら、考え出して実践した「ちゃんと辞める方法」を紹介しています。
新しい仕事への向き合い方や、新入社員としての務めを果たしながらどうやって人生のパッションを追い求めることができるか、悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。
 

その1:未来の自分に手紙を書く

内定を受諾した日、僕は3通の手紙を書きました。
1通目は、今回の仕事が自分の人生に果たすであろう意義(Investment Thesisについては過去記事参照)、自分の目標と決意について。
2通目は、1年後の自分に向けた手紙。1年目の結果はどうだったか、仮説は検証できたか、仕事の成果は上がっているか、次に向けたビジョンをきちんと考えているか、など進路の意思決定で悩んだことも含めて想いをぶつける内容です。
3通目は、5年後の自分に向けた手紙。これは、一言、「やりたいことは見つかりましたか?会社は辞めましたか?」としか書いていません。
 
最初からやる気がなかったわけでも、辞めたいのに会社に入ったわけでもありません。
行くからには最高の成果を上げて、最高の評価を得るということは大前提でした。
ただ、忙しい日常や目の前の仕事に圧倒されて、あっという間に20代が過ぎるという話をよく聞いていたので、未来の自分が人生を振り返る場を強制的に作り出すための仕組みとして準備しておきたかったのです。
 
自分の就活はかなり厳しい選択(基本的に受けた会社のほぼ全てからオファーが来て、一番リスクが高い決断をした)だったこともあり、1年後や5年後に自分が慣れきってダラダラしていたりしたら喝を入れてやろうという狙いもありました。
1通目と2通目は、職業人としての原点を忘れないためのリマインダーのようなもの。
5年後に「もう会社は辞めましたか?」と書いたのは、5年もいたのだからやりたいことを見つけて一歩を踏み出す選択をするのか、それともやりたいことを社内で見つけて「会社を辞めない」という選択をするのか、主体的に決断しているかどうかを問いたかったからです(辞めることを目的化する意図はありません)。
 
実際、この手紙のおかげで、本来5年かかるかもしれないと思っていたほぼ全ての項目を2年半で達成することができました。
この手紙を折に触れて見返しながら、自分が成し遂げたいことと次のステップに向けて必要なことを確認し続けた結果、上司や友人からのフィードバックを頼りに勉強するのではなく、自律的に進歩を重ねることができたことは、今振り返ってみても大きなプラス要素でした。
そもそも何のためだっけ?という問いは、フルタイムで仕事をしている時には厳しい質問で、何回かに一回は、「そんなのわからない!」とパニックになることもあります。
 
最初に何を考えていたかを明文化しておくことで、初期仮説に対してどう思うか内省し、短時間の振り返りで仮説を修正して磨き上げることができるようになります。
仕事をしていて時間がない中、毎度ゼロベースで考える内省では、基本的に似たようなことを毎度考えて終わりの堂々巡りをしがちで、1年たっても前年と同じ程度の議論をしてしまうリスクも高いわけです。
 
自分への手紙は、仕事自体が辛い時期に初心に返って、自分を励ますいいモチベーションツールにもなります。
あるいは、いわゆるブラックな職場で肉体的・精神的に追い込まれた時に、自分を守るために会社を去るべきか、それとも踏ん張るべきか、という決断も最初の目標と照らしてみれば、「必要な努力」なのか「無駄な苦労」なのかの区別もつきやすいでしょう。
 
 

その2:四半期レビューをする

四半期に一度は自分の状況をリビューしていました。
 
スキルセットや仕事への姿勢(プロフェッショナリズム)だけではなく、この仕事からいかに自分のキャリアのテーマを見つけていけるのか、現時点の最善解は何か、どうやって人とは違う事業をすればいいのか、いま関わっている業界構造からの学びは何か、などなど、「そもそも自分は何をしたいのか」という問いをより具体的にした問いを自分に投げかけて内省の材料にします。
ほとんどの場合、答えは出なかったですし、正直最初の一年は強制的にヤバイ環境(※海外大卒でフリーダムに慣れきった自分が、日本の最もコンサバな総合商社の新入社員をしている状況)でどこまで戦えるか、挑戦してみること自体が目的だったので、すぐに会社を辞めたり起業したりということは考えませんでした。
 
ただ、間違いのないことは、こうした本質的な問いを答えが出ないなりに自分に突きつけ続けることで、少しずつ自分のキャリア観がはっきりしていくこと。
そして、仕事をしていても、友人と遊んでいても、常にそのヒントを探すようになることです。
小さな違いのように見えて、数年単位で見ると結構違いが出てきます。
新入社員研修で同期に話した内容と、数年後のフォローアップ研修で話す内容が同じレベルというのは、わりとよくある話です。
 
ほとんどの人は、人生の節目にキャリアを考えるといいますが、僕はそれは遅すぎると感じています。
「節目」はたまたまできることも多いですが、その節目での正しい戦略判断を支えるのは、節目と節目の間の準備だと思うからです。
尊敬する経営者、藤田田は「心眼を開け、好機は常に眼前にあり」と言っていますが、節目の存在に気付くアンテナを研ぎ澄まし、それをきちんと活用する準備をするために、定期的な振り返りは有効ではないでしょうか。
 

その3:運命と仮説について考える

人生には無限の可能性がある。ということは、可能性の数だけ決断をせまられることになります。
とはいえ、筋の悪い方向に行けば破滅してしまうけれど、大まかな流れさえ見誤らなければ、あとは決断後の工夫や努力でなんとかできてしまうというのもまた真実でしょう(そもそも困難がない選択など存在しない)。
つまり、キャリアにおいて決めることのウエイトは、決めた後の努力などに比べれば、たいしたものではないのかもしれません。
 
コンサルのケース面接みたいに大上段のマクロ分析から絞り込む必要はありません。
たまたま担当になった案件を眺めてみる、たまたま見つけた事業を見てみる、「運命的」というほどドラマチックではないかもしれないが、偶然の中に面白いものがないか、というのは大切な視点です(じゃないと「世界経済の動向」とか「アプリ業界の変遷」を分析しているうちに、現実世界も変わっていってしまう)。
リベラルアーツで学ぶ「点をつなげてストーリーにする力」さえあれば、綺麗な説明なんていくらでもできてしまうわけで、正直なところ決断はもっと直感的でもいいんだと思います。
世の中の全ての可能性を検証する時間もリソースもない以上、出会って好きならそれでいい、というのが基本スタンスになるのです。
たまにキャリア相談をすると、「MECEじゃない」とかいってマウンティングしてくる人がいますが、MECEなキャリアの決断をするには人生がいくつあっても足りません笑
 
好きなフィールドや、大好きほどではなくとも興味を持ったフィールドがあったら、現場に行ってみたり、話を聞いてみたりしながら、業界観やその世界の未来、21世紀に与える歴史的意義など自由に妄想してみる。
そこで、「ああ、今面白そうだけど、ここからは下り坂だろう」とか「今はそんなに評価されていないけれど、確実にチャンスがありそうだ」とか「若手で活躍するのは難しい、出来上がったマーケットだ」とか、想像を膨らませていくと、自ずから可能性のある分野が見えて来きます。
 
今回のケニアの林業スタートアップという選択肢も、最初は仕事で森林投資ファンドを扱ったり、新興国投資のファンドマネージャーと会話をしたりしたところがきっかけで、そこからは面白いと思ったVCに飛び込みで話を聞きに行ったり、海外の投資カンファレンスに休暇を利用して参加したりして、徐々に見えてきたものです(休暇のたびに足を運んだ先で出会った面白い人や事業の話をするので会社の人からは、「熊平はいつ本当の休暇をとるんだ」と笑われていました)。
自分の足を使って、面白いものを探していくことは、キャリアの選択肢を広げる(=ソーシング)ことにもつながります。
決められないと思ううちは、歩き回って選択肢を広げることに専念するのも有効です。
その上で、ある程度の節目(大企業の若手だと数年で1000万くらい稼げるようになって、足腰立たなくなっちゃう人が多い)を先に決めておいて、そこでしっかり決断する、という方が、一気呵成に転職先を探して意思決定するよりも無理がないのかもしれません。
無理やり決める必要も、転職を絶対視する必要もないので、視野を社外に広げつつ、自分のタイミングで納得のいく決断(残るか転職するか)をすればいいのではないでしょうか。
 
進路のことは漠然と悩んでしまいがちですが、「要は決めの問題」という状況、つまり、決めること自体よりも早く決めて仮説を検証することの方が重要な場合も少なくないので、そこは以前のブログ記事も参考に、考えてみていただければと思います。
 
結局、キャリアの決断も、所詮は仮説検証のプロセスでしかありません。
「こういうキャリアにしたい!そのためにはこういう道がある!」という仮説をいかに実行しながらアップデートできるか、そのスピードと精度が、終身雇用も会社によるアイデンティティの担保もない不確実な現代で、自己実現への近道になるはずです。
 
長文になりましたが、新社会人のみなさんのご活躍をお祈り致します!
 

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