Komaza 81週目:イースター休暇
先週末はEaster休暇ということで、金曜日から月曜日までお休み。
色々なことが過去数週間でひと段落したので、疲れが出てきたのか仕事のペースがいまいち上がらず、思い切ってモンバサに遊びに行ってきた。
エアコン(Kilifiは扇風機だけ笑)のある部屋で、本を読んだり仕事をしたり、夜中に目覚めることなく眠れたり、いい気分転換になった。
モンバサ市内はニューヨークのマンハッタンと同じように島になっている。
いつも空港を利用するだけで市内を歩いたことがなかったので、世界遺産になっているFort Jesusと旧市街をカメラを持って歩いてみた。
ケニアの沿岸部はひどい干ばつに見舞われており、去年なら今頃道路が水浸しになっているはずなのに、今年はまとまった雨が全く降っていない。
それもあって例年の気候よりも気温が高く、雨が降らずに湿気が空気に残っているので、湿度が高いのかもしれない。
農業は、総労働人口の64%、GDPの35%を担う重要な経済ドライバーなので、世銀はGDP成長率の下方修正をしている。
日本の昔話で雨乞いとか村の行事とか、こうして天候でGDPが直接影響を受けると聞くと、実感がわいてくる。
ましてや、湿潤な内陸部とは違い、年一回の雨期で一年分の食糧を確保しないといけない沿岸部の農家は本当に大変だ。
モンバサ旧市街
モンバサ新市街
就活を効率化する5つのコツ
1.客商売はファームのカルチャーと同じくらい対面業界のカルチャーが大事
2.競合の悪口こそ生の情報源
3.内定をもらって初めて決断できる
4.表面的な情報よりも、深い情報を求め、やってる感に満足しない
5.仕方のないことはあきらめる
Komaza 80週目:感情を整理する方法
Komaza 79週目:FAOでのプレゼン
今週は月曜日から水曜日までローマ出張、そこからナイロビ出張、という移動の多い一週間だった。
- アフリカ林業への投資額は、年間50兆円に上るClimate Financingの0.01%未満。人口増と経済成長、森林破壊という三重苦にあるアフリカの世界での立ち位置を考えると著しいUnderinvestment。
- Blended Financeの役割は、コンセプト検証とグロースの二段階に分けられる。Komazaの場合は植林を零細農家と長期パートナーシップを使って行う高リスクな取り組みをNGOとして寄付を中心に乗り切った。その結果として、モデルの実用性が証明された際に株式会社化することによって、NGO時代の寄付は「Derisking Facility」として機能していた。
- コンセプト検証後、Komazaは株式会社への改組を行った。この時点で、すでに完全な商業ベースへの移行を唱える声もあったが、結果的にはNGOとしての10年近い実績と商業ベースでのサステナブルなビジネス形態に注目が集まり、インパクト拡大をめざす投資家・ドナーからより高額の資金調達ができるようになった。また、ファイナンス目線の投資家が増えるにつれ、彼らからもより低コストな資金(寄付・低利融資など)を調達することへの期待が高まっている。結果として、グロース機関においても、Concessional Financeへの需要は下がるどころか増加しているということがKomazaの経験となっている。
- Constitutionalityについては、国際機関・開発銀行などから慎重論が唱えられているが、Climate Financeについては再生エネルギー投資を中心に莫大な公的資金が注入されている。一部の金融機関は、分散型ソーラー発電をはじめとする再エネ投資と同程度のFinancial Sustainabilityを求めてきているが、こうした投資案件も結局はアセット側で政府が電力の定額買取に公金を投入しているからこそできるものであり、厳密なFinancial Sustainabilityを林業セクターのみに求めるのは的外れである。
- 形だけのプロジェクトや資金提供はもちろん不要だが、Financial Sustainabilityを盾に資金提供を拒む姿勢は案件育成の観点からも産業育成の観点からもPublic Financeの役割に反している。事業側としては公的・民間の両方の株主の社会的・環境的・経済的インパクト期待に応えられるリターンを出せる「ストラクチャリング」を行っていくしかない。ソーシャルセクターにあるベンチャーにとって、High-Risk High-Returnの投資家は希少な存在であり、投資家の社会・環境的インパクトへの期待と経済的リターンへの期待をバランスするために異なる仕組みをつける必要があるのだ(下図参照)。
(出張恒例の食い倒れ、朝昼晩と仕事で埋まったので、間にカフェでうまいものを物色)
(エスプレッソ込み5ユーロなのに感激。住みたい笑)
Komaza 78週目:Principles of Impact Investing
いつもKomazaでお世話になっている創業初期からの投資家Jorisが、LinkedInで面白い投稿をしていた。
インパクト投資と呼ばれるアセットクラスは、2000年代から少しずつ成長が始まり、GIINの調査によると2018年には総額25兆円近いAUMを持つ一大セクターになりつつある。
さらにすごいのは、成長率で、2017年のAUMが12兆円程度だったことから、一年でアセットクラスが倍増するという驚異的なスピードで伸びている。
最近では、SDGsか気候変動関係で、これまでソーシャルセクターとは縁遠かった民間企業も新興国やBOP市場の観点で進出してきているし、かつてはソーシャル・ファイナンスの一大成功例と言われたマイクロファイナンスもフィンテックの一環としてクレジットカード会社やテック企業などが投資するようになっている。
こうした潮流をふまえ、新しい投資家やこれからインパクト投資をキャリアにしたい人の参考になると思うので、紹介してみたい。
Jorisによると、インパクト投資家がとるべき態度・アクションは5つに集約される。
(1) make sure you make a difference (possibly by being different);
>意訳:インパクト投資家は一般の金融投資家が取れないリスクを取りに行くことを目的にしている。それこそがAdditionalityになるのだから、起業家にとって適切なタイミング、方法で、(アーリーステージであれば)将来の事業仮説検証ができる形で投資をすべき。
(2) remember that things take time in East Africa;
>意訳:何をするにも時間がかかる。比較的きちんとした国の、まともな業界の有望なスタートアップでさえも投資回収に20年近い時間がかかることがある。10年未満のファンドは正直厳しい。
(3) accept that great implementation – always – beats a great plan (or app);
>意訳:実行段階で色々な障壁が出てくるのが東アフリカ。実行の部分を軽視してはいけない。
(4) be ready to suffer (a little);
>意訳:時間もかかるしハードシングスはあるから気持ちの準備をしておく。
(5) be clear-eyed about the trade-off between impact and financial returns.
>意訳:社会的リターンと経済的リターンのトレードオフを理解しておく。もちろん、経済的リターンをあきらめてよいわけではないが、先に述べたインパクト投資家の「金融投資家にできないリスクをとる」という定義からしてもわかるように、ほとんどの場合でSub-Commercialな経済的リスク・リターンになることはきれいごと抜きで考えておくべき。
And after all this? Enjoy and be proud of what you are doing
>意訳:せっかくやるなら楽しもうぜ!
当たり前といえばそれまでだけれど、インパクト業界で仕事していて思うのは、こうした「当たり前」がファンドの契約や組織の施策として一貫して反映されていないケースがほとんどということ。
一般投資家との差別化をうたいながら、裏側ではゴリゴリにコベナンツをつけてきたり、リターン期待値を北米VCとベンチマークしてきたり、Exit期間を最長5年しかなかったり、「成り立たないだろうな」という建付けがあまりに多い。
特に最近は国際機関からの数百・数千億単位での投資も増えて、毎年新しいファンドがローンチされているわけで、新しくファンドマネジャーとして旗揚げする元金融・開発プロフェッショナルの力量が大いに試されている。
その点、10年以上淡々と続いている本当のPatient Capitalistの役割は大きいし、彼らの率直な学びはもっと共有されてもいいんだと思う。