気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

Komaza 45週目:ソーシャルxベンチャーxケニアで苦労したことTop10

数ヶ月かけてきた戦略の仕事が週末でようやくひと段落。
日本にいる友人から、「ブログ見てるといつも楽しそう、ベンチャーは忖度とか悩みとかがなくて羨ましい」というコメントがきたのですが、書いていないだけでもちろんしんんどいです笑


日本のベンチャー界隈は採用難のようで、起業家はみんなnoteとかTwitterで和気藹々とした投稿してますが、あれはリクルーティング戦略としてやっているだけで、ベンチャーに向き合っている人たちは身を切るような切迫感を持ってやっているんだと思う。


多分に洩れず僕自身もストレスがご褒美的な性格ではあるものの、「ベンチャー最高・起業最高・アフリカ最高」みたいなお花畑投稿だけするのも読者の皆様に不誠実だと思うので、今回はソーシャルxベンチャーxケニアxファイナンスで大変だったことをつらつら書いてみたい。
(追記:やばい、筆が止まらない。。。)

1. 仕事がない

大企業の仕事をやめて、ファイナンスのキャリアも宙に放り投げて、入社した初日に「Job Description何も決まっていないんだけど笑」とCEOに言われる。人事がなってないとかそういう話では決してなくて、プロなら若手でも自分でスキルと経験を説明し、できることをCEOに理解してもらいながら仕事を自分で定義する必要がある。これは会社にいる限り、永遠に続く。常に会社のニーズを理解し、CEOの意図と思考を先読みし、自分の職域を定義する。まずは自分の役割を仮説ベースでも良いのでCEOと握り、成果を出して信頼を勝ち取り、必要であればチームを組成する。与えられることを前提としない。自分のスキルや経歴が会社に価値を提供できるかどうかは、日々試される実力主義で、なおかつ役割はその時々でガラリと変わる。必要な機能を先読みして、実装して、CEOの咀嚼可能な形でタイムリーに説明することができなければ、このポジションは明日にも消えてしまう。

 

2. 全部重要・全部緊急

法務部も会計ファームも専門家がほとんど社内リソースで賄える大企業とは対照的に、何でもかんでもFigure Out(なんとかする)ことが求められる。信頼できる社外アドバイザーを見つけたり、時間とコストを意識しながら、何が重要でそうでないかを判断する毎日は9時5時のサラリーマン生活とは無縁(やったことないけどw)。


3. 誰もマネジしていないフリーフォール案件

無数のプロジェクトが走る社内。誰よりも手を動かし、多くのディレクターと話をしていると気づいてしまう、手付かずになってしまった重要案件。指摘すれば、自分の仕事がさらに増える。でも指摘しなければ、プロとしての倫理を問われる。というほど大げさじゃないにせよ、フリーフォール案件の仕切り直しとかは以外と厄介だったりする。うまくいけばお手柄だけれど、手柄を掴むためには嬉々として地雷原に飛び込まないといけない。


4. データ信頼性ゼロからの絶望のクリーンアップ

メール一本で取り寄せるデータが全て信用できないとしたら、どうなるだろう。たとえ善意のある、仲の良い同僚からデータをもらっても、それがそのまま使えることはほぼゼロに近い。担当者が変わっていたり、定義の理解にズレがあったりして、ほぼ必ずクリーンアップか加工が必要になる。そもそもデータが存在しなかったり、必要なデータを作るためのサーベイ、モデル構築、分析までしないといけないこともある。大企業やプロフェッショナルファームでは、出てくる資料や情報をある程度信用できるかもしれないが、そんな世界は夢のまた夢。担当する分析は基本的に投資家候補によるDDに使われるので、変なミスや作為的な編集は法的責任を問われかねない。Welcome to startup! 訴えられるのではと日々怯える。


5.「なんとかしろ」案件

ファイナンスや事業計画はどの事業部門も共通に欲している機能。本来は各事業部が個別に事業計画を立てて、ファイナンスも考えるべきなのだけれど、ここは大企業の世界ではない。必要に応じて、個別案件にパラシュート降下して、短期間でWorkableなモデルを組んだり、論点整理をしたりすることになる。毎度勉強になるので、個人的には好きな業務だけれど、猛烈なスピードでキャッチアップして案件をリードするのは体力・気力的に消耗するのも事実。


6.(エレベーターがないのに)エレベーターピッチ

CEOはとにかく忙しい。よって、CEOへのバリュー提供は、「単にいい提案とエクゼキューションができたか」のようなふわっとしたものではなく、「最小限の時間で必要な判断を下し、情報を共有し、ブレストを行い、次の方向性を確認し、その後フォロースルーができたか」という殺伐としたものになる。基本的に前日までにGoogle Docでアジェンダを共有し、文書ベースで論点や参考資料を示し、コメントで返答可能なものは時間を使わない、という戦術を駆使して週一時間でアジェンダを網羅する。時間管理もイシュー管理も胃が痛くなるんだけど、慣れればエレベーターピッチの拡大版みたいで楽しい。ちなみにキリフィの街にはエレベーターは一台しかない笑

 

7. 政治と忖度

「スタートアップって忖度ないんでしょ」というのは典型的な誤解だと思う。大企業のようにポジションを前提とした所属団体や経歴ベースの差別とかはないにせよ、ガバナンスストラクチャーもなければ、意思決定系統も曖昧(というか組織の成長に合わせて日々変わっていく)中で、無数のステークホルダーを束ねたり動かしたりするのは、大企業のポリティクスと同じくらい複雑な作業。特に、コーポレートファイナンスはCEO直轄の全社横断部門なので、社内の動向はゴシップから直近パフォーマンスまで常に気を配って判断する必要がある。今になって思えばスタンプラリーのような大企業の稟議プロセスも、実は担当者の手間を省いていたのかもしれない。


8. プロフェッショナル・コミュニティとの断絶

専門職の人が、刺激を受ける同業者との交流不足で煮詰まってしまう。人口5万人のケニアの田舎街にファイナンスの話ができる人なんてほとんどいない。ナイロビのような大都市はまだしも、地方に拠点をおくベンチャーにありがちで、ITやファイナンスなどプロフェッショナルコミュニティがないことを苦にして転職するケースも少なくない。僕の場合は、Skypeで定期的に面白い友人と話をしたり、ネットや読書でインプットを増やしたり、たまにナイロビに行ってこっちのプロフェッショナルと話をしたりしていた。今は、仕事を通してヨーロッパやアメリカの投資家や開発プロフェッショナルとも日夜議論できるようになって、結構楽になった。ディールを掴みにいくまでがしんどかったが、結局のところどこに行っても自分の仲間は自分で探し、コミュニティを作る図太さは大切。特に、コーポレートファイナンスなら金融の情報機能を果たすべく、社外との接点をレバレッジして、どんどん専門家や面白い人を連れてこないといけない。


9. 体力的に追い込まれた時の追い打ちハプニング

寝不足が続いてオフィスに行くのもしんどい時に限って起こるハプニング。普段なら「またかあ、仕方ない」で対応できるはずなのにこういうときに限って不運が重なる。道端を歩いていると警官に絡まれて、賄賂を要求されたり(やれやれ)、断水でシャワーが浴びられなくなったり(海水OR雨水で対応)、携帯の電波が不安定になったり(Wifiを求めてホテルに避難)、停電でパソコンが使えなくなったり(電源を求めてホテル・カフェに避難)する。新興国あるあるだけど、気持ちが滅入るイベントが立て続けに起きると、気持ちの立て直しがかなり重要。落ち込む自分をあやしながら、ちょっと高い飯を食べ、酒を飲み、寝るとか、マッサージを受けに行くとか、筋トレするとか、建て直し力が問われる。


10. 社会的インパクトとビジネスの二枚バサミ

ビジネスの世界での期待値コントロールより、ソーシャル・エンタープライズの期待値コントロールは断然複雑だ。ある投資家はリターンを気にし、ある投資家は木の種類が気になり、他の投資家は農家の生活と収入の関係から質問をしてくる。金銭のリターンは定量化する方法が確立しているが、社会的・環境的インパクトの評価は所属組織の専門領域や、多くの場合、担当者の個人的な経験によって定義される。なので、ビジネスであれば数通りの説明で済む内容も、ときに数倍の労力を費やして説明することになる。Accountabilityは重要であり、会社としてのラーニングにも直結するので、大変だけれど意味のある仕事。

 

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改めて書き出してみると、こういう大変な部分こそ、今一番自分が楽しんでいる部分だということに気づかされる。
一方で、目の前の仕事をうまくできるようになることだけでは、いつまで立っても自分の想像を超える学びを得ることはできない。
外部との情報交換や、体系だった学習、メンターとの対話を貪欲に重ねていかないと、あっという間に自己満足になってしまう。
会社にとって本源的な価値を届けるために、想像の限界の外に飛び出して、自分の学びを会社の学びにできるか。


やることもはっきりしてきたので、挑戦を続けていきたい。

Komaza 44週目:Watamuで寿司・家族留学してきた

今週末は、ナイロビの日本人プロフェッショナルの方々からのお誘いで、マリンディの近くにある沿岸部の街Watamuに行ってきた。
プール付き・ビーチ沿いの大きな家を丸々借り切って、子ども連れ2家族と3人で週末を過ごす。
長めの雨季でにわか雨がよく降っていたのが嘘のように、カラッと晴れ通したのはラッキーだった。
 

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ハイライトは、マグロ・クエ・伊勢海老を仕入れての寿司作り講座。
この日のために日本から持ってきた出刃包丁と柳刃包丁を手に、震えながら捌き方の指導を受ける。
生まれて初めてさばいた魚がマグロというのも贅沢だけど、価格は日本の数十ー百分の1だと思うので許してください。
 

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日本の皆様には怒られると思うけど、高級魚の定番のマグロとクエと伊勢海老をキロ単位で仕入れて、もう当分見たくないと思うくらい食べた。
ナイロビから来られた方々は、炊飯器、白米、お酢、わさび、醤油とフルセットと物量豊富。
一通りの秘術は伝授されたので、あとは練習あるのみ。
とりあえず簡単で美味しい伊勢海老と練習にいいとすすめられたアジで経験を積みたい。
 
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もう一つのハイライトが、「家族留学」。
家族留学という言葉はManmaという団体が始めた活動で、一回りくらい上の世代で子育てをしている家庭にホームステイすること。
今回30代で0歳-4歳のお子さんのいる方々と2日間過ごしたのは、自分にとって全く異次元の体験だった。
大学生の時に家庭教師をしたりしていたので、小学生くらいなら相手をした経験もあったのだけれど、知らない間に、自分の「子育て」のイメージが小学生になっていたのに気づかされる。
自分は、想像を絶する可愛さにキュン死しつつ、全く予想できない感情と行動の波にひたすら翻弄されるばかり。
あの手この手の連続攻撃を巧みにあやしたりかわしたりしながら育児されているお父さん・お母さんには本当に頭が下がる。
こんなことブログで書くことになるとは思いもよらなかったけれど、仕事ばかりしている自分からすると、完全な異世界体験だった。
ケニアと東京の生活の変化よりも衝撃的。
20代はとにかく仕事にオールインと決めているにしても、30代以降のいわゆるプライベートライフはついつい考えてしまう。

今週も頑張ります。

Komaza 43週目:ムーンショットに向けて

今週の7月24日に27歳になった。
ちょうど50年前の同じ日は、アポロ11号は月から地球に帰還した日らしい。
ケネディ大統領の1960年代中に人類を月に着陸させ、無事に帰還させるという一大ミッションが達成された日であり、最近流行っているになっているMoonshotという言葉の語源になったイベントでもある。
 
話はそれるけど、Moonshotそのものは、今できることの延長上ではない高さに目標を設定して、あとはそこに向かってやれることを全部やっていくことで達成される、想像力との戦いだと思う。
ハイリスク・ハイリーターンで一発ヤマを当てるというよりは、大きなビジョンと細かな努力の組み合わせが最大限発揮されるとMoonshotと言われるような成果が生まれることになるのではないか。
そういう意味では、職業人生も同じようなものだと思うので、振り返りと目標設定もかねて書いてみたい。
 

職業人としての成長

27歳の誕生日は、CPIに向けてだす森林ファンドのコンセプト・ノートの編集をしながら迎えた。
と書けばかっこいいが、本当にダメダメな誕生日だった。
提出期限ギリギリまで追い込んで、最後にメールを送ろうとした時、自分の住んでいるエリアの電波が消えた。
慌てて色々な接続方法を試しても繋がらず、寝不足の頭をむしりながら、メールで状況を説明する。
屈辱的だった。
 
最近も仕事は増える一方で、マネージャーらしく、あちこちで人が作業しているのを進捗管理しつつ、出てくる分析結果を編集していくのが仕事になっている。
そんな中で、連日の作業と自分で抱えているプロジェクトに山のように積み上がった編集資料、急遽決まったマネジメントプレゼンに押しつぶされた自分は、自分にした約束さえ守れなくなっていた。
ずるずる延ばした自分への締め切り。いつもはなんとかラストスパートで解決して来たという過信。
些細なことかもしれないし、結果的に納得いくアウトプットが出たのだから、仕事としてはそれでいのかもしれない。
ただ、その過程でビジネスの基本をないがしろにしている自分に愕然とした。
 
職業人としての力量が、周りが誰も自分の期待以上の要求をされないところでこそ試されるのだとしたら、僕は完全に負けていたと思う。
現状に甘んじて、このあたりでいいかと思ってしまったり、突発事態が毎週のように出てくる中で、枠組みを持って仕事をするという意識そのものがぼやけてしまっていた。
そんな状況に気づかされる午前2時。
せめてもの救いは、ありえないことをありえないと指摘してくれる仲間がいたことだと思う。
プロフェショナルとしての矜持と仕事へのスタンダードは自分たちで守っていかないといけない。
大企業でもグローバルファームでもない以上、自分の成長は100%自分の責任だ。
ベンチマークを下げずに仕事をしたい。
 

ケニアのソーシャル・エンタープライズに来て変わったこと

ケニアに来てから約9ヶ月、CEO直属のスタッフとして期待以上の成果を目標に仕事して来た。
大学で出会ったソーシャルセクターとビジネスの世界、総合商社で見た投資と経営の世界、自分のオリジナルなキャリアを作るために仕込んで来た集大成だと思って、取り組んでいる。
いくつもの幸運もあって、会社の規程類づくりから、ファイナンスチームの立ち上げ、森林ファンドのコンセプト立案まで、何もかも手の届くものは全て掴んで形にすることができた。
ここまでで枠組みは6割ぐらいはできてきたので、そこから何を残せるかという勝負に突入する。
毎回のように書いている気がするけど、「いよいよ本番」という実感は日に日に強くなっている。
 
アショカのBill Draytonは”Entrepreneurship is Contagious”(起業家精神は感染する)といっていたけれど、常識の枠を超えて、想像力を限界まで引き伸ばしながら、理想に向かって手を動かし続ける毎日は僕の人生への向き合い方を変えたと思う。
ロジックを重視してフレームワークを作り、落とし所を探りつつ質を高める、といういわゆるアナリスト的な視点しかなかった自分が、本質だけをとことん突き詰めて、ギリギリで形にするというやり方を学んだ。
それもアドレナリンが吹き出しながら仕事をする快感に突き動かされて。
CEOに対して本質的な貢献をしようとすれば、目線をあげることになり、目線を上げてファイナンスで学ぶ道具を使って見ると新しいアイデアがどんどん湧いて出てきた。
ファイナンスという世界だけでも広大な海のようなのに、それにさらに経営やオペレーションといった要素が入って来て、変数が無限にあるカオス溺れながらも、溺れながらしか学べない勉強ができている実感がある。
 

これから

今いるKomazaではやりたいことが山ほどある。
やる気の分だけ打ち手があり、それを気兼ねなく実行する自由度がある。
こんなにのびのびと真剣勝負できるのは、大学以来だと思う。
やるべきこともやりたいことも無限に溢れる中で、全部の機会を物にしようとガムシャラに仕事してきたものの、この辺りでガムシャラの価値もひと段落している気がする。
ロケットがフェーズごとにエンジンを切り離していくように、気持ちを切り替えて、仕事量ではなく結果によって評価されるように今まで以上に意識を向けて行きたい。
 
常人ならざる成果を上げるために非凡な努力をすることは大前提なのだけど、その非凡さは過剰さとは限らない。
ハードワークは前提であって、そこから非線形的な成果(ムーンショット)ができるのかがここからの勝負どころ。
「ファイナンスを経営のリミッターにしない」ということと「起業家・経営者に寄り添う」という当初の目標に近づきつつある今、起業家・経営者の想像を超える成果をいかに出せるか、自問を続けたい。
 

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Komaza 42週目:

投資家向けのメモ作成と森林ファンドのDDが両方同時に大詰めを迎えており、なかなかストレッチされている。
Komazaは、林業や森林保護、社会的インパクト、新興国ベンチャーなど様々な分野の投資家から注目されるため、ほかのNGOやベンチャーと比べて、ファンドレイズで興味を持ってもらえるアングルが多いのが強み。
一方で、それぞれの分野の投資家はお互いに全く異なるものの見方や業界観を持っているので、どこにもスッキリはまらないKomazaはDDで山のように質問が寄せられる。
Twitterでみるベンチャー投資の世界では、起業家に投資したり、Revenue Multipleでバリュエーションが決まったり、ユーザー数の伸びを強調したり、とわかりやすい比較感覚が業界で確立されている一方、Komazaの接する投資家はどちらかというとインフラ投資やバイアウト投資、開発銀行のようなイメージで、厳密なデータ検証や20年単位の経営計画を求められることだってある。
 
ビジネスとしての事業戦略・成長戦略は何か?というわかりやすい内容から、木は盗まれるのか?、地質・水質への影響はないのか?、社会的・環境的インパクトとリスク管理は?、育成木材種の成長予測と特質は?といったマニアックなものまで、長すぎず短すぎず、社内にあるあらゆるデータ(文書になっていない、属人的なノウハウ含む)を駆使して、約20近いリサーチを1ヶ月ほどでまとめていく。
 
入社してから最初の半年はチームもなく一人で走り回っていたのが、今ではチームのメンバーで作業を分担しながら、徐々にドラフトよりも編集の方に時間を書けられるようになってきた。
数ヶ月前まで全く知識がなかった分野も、各部門のデータベース全てにアクセスし、主要な書類やトレーニング資料をほぼ全て通読した甲斐もあって、部門長レベルと彼らのオペレーション内容について粒度の細かい話もできるようになったのも嬉しい。
ファイナンスを通じた事業そのものへの貢献をするのが中長期の目標なので、雑多なことも少なくないけれど、今は今は目の前のリサーチを千本ノックのように黙々とこなしている。
チーム全体もこうしたプロジェクトを通じて、オペレーションや現場の知識を蓄積すれば、チームとして機能を発揮できるようになる日も遠くないはず。
そこに向けて、歯を食いしばりたい。
 

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モンバサの近くのモールに二週連続できている。美味しいコーヒーと良質な糖分(神々しく太陽を浴びるクリームブリュレ)があれば、終わらない仕事もなんとかなる(はず)。
 
 
 

Komaza 41週目:メリア実験林の視察

今週のスタートは、ナイロビとモンバサの中間地点にある、キブウェジ(Kibuwezi)という町への出張で始まった。
朝5時に起きてキリフィを出発、海沿いのモンバサから内陸に約300キロほど陸路で進むと、バオバブが群生する田舎町に到着する。
道中には、アフリカ象で有名なツァボ国立公園や中国が受注して話題になったモンバサ・ナイロビ新幹線も通過するので、ちょっとだけワクワクしていた。
 
今回の出張はファイナンスとは全く関係のない、林業関係のプロジェクト。
僕もKomazaに来るまで知らなかったのだが、日本とケニアの林業を通じた交流には長い歴史があるらしい。
そもそも、ケニアの林業行政には、Kenya Forestry Service(KFS)とKenya Forestry Research Institute(KEFRI)という政策実施・技術研究の2機関が中心的な役割を果たしているのだが、この両方とも発足時から日本政府による資金と技術両面での支援を受けている。
JICAのウェブサイトによると
JICAでは、森林保全・劣化防止を重点支援分野とし、特に半乾燥地における森林保全については1987年から2009年までの22年間にわたって、農地への植林を推進する社会林業強化に係る支援を実施してきました。
というから、長くても数年、短いと数ヶ月単位になりがちな国際支援のなかで群を抜いて長期の取り組みをしていることになる。
 
そんなこともあり、ケニアにくる前にお会いした国連機関の方にもケニアでFarmer Forestry(零細農家向けの林業)プログラムに関わった人がいたり、Komazaが農家と植えているMelia Volkensi(メリア)という樹種を実はJICAが数十年単位で研究支援していたり、思いがけない縁がつながることが何度もあった。
 
今回の出張も、JICAとKEFRIが取り組んでいるMeliaという樹種の開発現場を見学するというもので、普段パソコンの前でしか仕事していない自分は大興奮。
林業という短くとも5年、長ければ数十年という単位で育種している方には、頭が下がるし、時間がかかる分計画に頭を使っているので、同行した育種の責任者と二人で勉強になりっぱなしの1日だった。
「現場で頑張っている日本人がいるのなら」と訪問を快諾してくださったJICAの方々には本当に感謝です(もちろん手ぶらにならないよう色々準備はしてますが)。
 
ファイナンスに関わると面白い人にあったり、ビジネスにつながる情報をつかんだりすることが間々あるので、逃さず事業のために案件化すべし、という三菱商事の先人の教えはスタートアップには特に大切だと思う。
領域外でも出せる成果にこだわって、付加価値のあるファイナンス部隊を作って行きたい。

 

 

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日本のJICAとの協力が入り口に掲示されている)

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(広大な敷地でメリアとアカシアという耐乾燥性の高い商業作物のテストが行われている)

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(メリアの花)

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(アカシアの実験林)

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(メリアの林)

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(メリアの果実。この中に種が入っている)