気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

Komaza 52週目:ニューヨーク出張

先週のブログがまだ投稿できてないので、今週末は連投しようと思う。
前回の投稿でも書いていた通り、先週から1週間ちょっと、アメリカ出張に行ってきた。
 
目的は、2月にAward受賞したClimate Policy Initiativeの気候変動対策ファイナンスのアイデア賞の最終プレゼン。

f:id:tombear1991:20181006194604j:plain

(発表後はついにチームKomazaxCPIで写真をとる。スカイプとメールだけのやりとりだったので、集合写真は初めてだった)

 

プログラムは米英独政府とロックフェラー財団、ブルームバーグ財団が出資して、世界銀行、IFAD、ブラックロック、WTWなど名だたる金融・開発機関がメンバーに名前を連ねており、気候変動対策を加速させるアイデアを表彰している。
単なるアワードはよくあるけれど、このプログラムの特徴は受賞した団体が、2,000万円相当のコンサルをプロボノで受けることができること。
 
当然ながら応募団体は環境系のNGOだったり、新興国のベンチャーだったりするわけで、何千万もかかるコンサルを発注したり、高給取りのCFOを雇ったりする余力がない。
そんな団体のために、いいアイデアの芽を拾い、世界の主なリソース(機関投資家から開発専門機関まで)を全部突っ込んで、一流の議論に耐える形にする、結構いい仕組みだと思う。
実際、開始8年で、実現したプロジェクト総額13億ドル(1,400億円)、メンバー機関からも280百万ドル(300億円)の出資があったというから、効果は抜群だ。
 
この賞はアプリケーションから、最終選考のプレゼン、コンサルのプロセス、最終発表まで全部一貫して自分でマネージしたプログラムで学ぶことが本当に多かった。
特にSocial Impact畑の自分にとっては、Climate Financeの言葉遣いや考え方を世界のトッププレーヤーと議論しながら学べたこと、開発中のSmallholder Forestry Vehicleのアイデアをじっくりと詰められたことは収穫が大きい。
毎週何時間もスカイプして、ドキュメンして、調べ物をして、というプロセスで得られたものは、2,000万円の金銭価値よりもずっと意味がある。
 
あと、これは余談だけれど、発表会場はマンハッタン中心部の高層ビルにあるロックフェラー財団の大会議室、専属のメディアチームによる資料・ビデオ・プレゼンのリビューまで、開発・環境業界特有の異世界感も味わえた笑
メディアチームが一生懸命動画も作ってくれたので、興味のある人はぜひ見てみてください!


The Smallholder Forestry Vehicle

Komaza 51周目:キリフィ・トライアスロン

今週は年に一度の大イベント、キリフィ・トライアスロン大会。
ナイロビやモンバサからもケニア人・外国人が家族連れで押し寄せる。
トライアスロンといっても、スイム750メートル・バイク20キロ・ラン5キロという一般的な大会より軽い内容。
しかも、チーム参加というのが認められていて、スイマー・バイカー・ランナーの3人ペアで出場することもできる。
今回はKomazaの同僚と3人でエントリー。途中色々なハプニングもあったが、十分楽しめた。
ランのコースは海沿いのプランテーションと林を走り抜ける。サイザル麻の畑の中を走り抜けるのは爽快だった(走るのに必死で写真をとるのをすっかり忘れていた)。
来年はバイクも買って、フル参加してみようかな。
 
 

f:id:tombear1991:20180922200324j:plain

(コミュニティ狭いので、主催者やボランティアがみんな知り合いだったり飲み友達だったりするw)

 
日曜日からはニューヨーク出張。
2月のフランクフルト出張で受賞したClimate Policy InitiativeのGlobal Lab Awardの最終発表会。
Climate FinanceのメジャーなプレーヤーのほとんどがDirector級を送り込んでくるのでもっぱら緊張している。
Komazaにきて取り組んだ最初の大きな仕事で、この半年間はサンフランシスコにいるコンサルチームと共同で、零細農家の林のファンド化を実現すべく、曖昧極まりなかったコンセプトを磨いてきた。

 

 

発表場所の国連本部はちょうど年に一度のGeneral Assemblyの時期ということで、久しぶりのパリッとした仕事を楽しんできたい。
プロジェクトの内容については、近日中にCPIから発表されるので、その時に紹介します!
 
このAwardの最終選考の時にも助けられた「同じ夢を見ること」を目標に、気張っていきます。

Komaza 50週目:同期たちがやってきた

今週は、水曜日・木曜日と新卒の会社の同期女子3人が来てくれた。
この前も同じ部署の後輩たちもきてくれていて、日本から1万キロ以上離れたアフリカの僻地にいてもなお、関心を持ってもらえることはありがたい。
30時間以上も移動に費やして、味噌汁やらカレーやらワサビやらを持って来てくれた彼らはもう仏様。
2日間だけでも、夢のような時間だった。
 
膨大な支援物資を早速活用して、今週はチキンカレーを作ってみる。
うまい、うますぎる。
一時帰国の時にカレールーを大量に持ち帰ることが確定。
 

f:id:tombear1991:20180915193510j:plain

f:id:tombear1991:20180915194001j:plain

(旬のナスも入れてみた)

 

 

余談:

日本に残してきた生活、自分が挑戦するために手放した世界を久しぶりに突きつけられた気がした。
入社当時の幼さはすっかり消えて、みんな現場の若手中堅として落ち着いて仕事をしているのだろう。
彼らは商社という海外志向の強い職場であっても、伝統的な日本のメインストリームにいる。
彼らと話していると、ケニアに来てからわずか1年しか立たないのに、世界の片隅で自分の腕一本で挑戦をする生活が自分を変えてしまったことを実感する。
自分の中で変わった実感などほとんどなかったのに、随分ガツガツしてしまったなあと、なんだかしみじみしてしまった。
 
f:id:tombear1991:20180913113204j:plain

Komaza 49週目:メンターとの再会

ドタバタしている間に、あっという間に1週間が過ぎてしまう。
先週末は、またしても投資家訪問で電撃ナイロビ出張。
目的は、90年代から韓国、インド、スリランカ、アフリカと新興国PE投資をして来た業界の大先輩に3年ぶりに再会すること。
70代(?)に突入した今でもニューヨークからいまだに東アフリカやインドにバリバリ出張をこなしているらしく、「ニューヨークで会うよりナイロビで会おう!」となった。
彼と最後に会ったのは大学の卒業式の直前。
アショカでインターンを通じてメンターになってくれていた彼に、インパクト投資をキャリアにするためにPEの世界に飛び込むと伝えた時だった。
 
世界トップクラスのマイクロファイナンス機関のボードも務めるザ・金融マンの彼なので、ファイナンスの勉強をすることは当然応援してもらえるものと思っていたら、「なんでもできる今みたいな時期こそ東京やニューヨークの高層ビルで仕事をしないで、現場に入っていって欲しい」とぼやかれたのを今でも覚えている。
「投資=ファイナンス」というイメージしかなく、テクニカルな勉強が重要だと思っていた当時の自分にはイマイチしっくりこなかったのだけれど、総合商社の中から投資判断とエクゼキューションの狭間にある絶壁をみるうち、「当たり前」が通用しない新興国市場でエクゼキューションの経験を積む意味がわかるようになった。
 
自分は言われたことを反芻して理解するタイプなので、これはという人からのアドバイスは定期的に見返しながら、咀嚼しようとする。
今回のKomazaへの転職も、実はこの言葉がきっかけになっていたりする(その後、試行錯誤しながら、最終的なアクションまで約2年かかったことになる)。
 
そんなわけで、Komazaでの仕事は喜んでもらえて、今回も貴重なアドバイスをもらうことができた。
なんだかんだ週末も仕事になってしまったけれど、人生と仕事は切り離せない時期だと思うので、試行錯誤を楽しんでいきたい。

Komaza 48週目:

今週はナイロビ出張。
ドナー支援の一環として、某戦略コンサルのチームと、会社の海外進出戦略についてブレストする。
社内で現場と経営の両面で議論をしていると、いつの間にか堂々巡りになってしまうこともあり、外の世界から客観的なフィードバックをもらえるのは非常にありがたい。
 
特に、開発やドナーの世界でありがちな、個人のこだわりやファンドの投資テーマの押し付け、特定の結論への誘導といったトラブルもなくプロジェクトを進められているのは、アフリカのソーシャルエンタープライズとしては珍しいことなのではないだろうか。
経営の優先順位づけの誤りが会社の危機に直結するベンチャーの世界で、ドナーの要求に負けて経営を誤ってしまう(例:事業モデルを見定めるために試行錯誤しないといけない時期に、特定のプランに沿ったプロジェクト実行を求められる)というのはスタートして間もないソーシャルエンタープライズにありがちな話。
そういうリスクを避け、ドナーと良い意味で信頼関係を作るためにも、プロジェクトのスコーピング段階で侃侃諤諤の議論を厭わずやりきる必要がある。
Corporate FinanceにGrant Fundingは一般的には含まれないが、一般的な資金調達が難しい新興国にあっては、機動的・戦略的にグラントやドナーを活用することも、ファイナンスの重要な機能だと思う。