Komaza 82週目:韓非子が描く、参謀の心構え
臣聞く、知らずして言うは不智、知りて言わざるは不忠、と。
人の臣と為りて不忠なるは死に当たり、言いて当たらざるも亦た死に当たる。
然りと雖も、臣願わくは悉く聞くところを言わん。唯だ大王其の罪を裁せよ。
冒頭に紹介したのは韓非子の出だしで、知を売り物にする仕事の緊張感とアドバイザーとしてのクライアント(主君)への姿勢が凝縮されている。
「知らずして言うは不智、知りて言わざるは不忠」の方は有名な一節だけれど、 命を懸けて進言するものと宣言した後に「然りと雖も、臣願わくは悉く聞くところを言わん。唯だ大王其の罪を裁せよ」というさっぱりした姿勢に今の自分は共感を覚える。
参謀業は、もともとは軍事・政治をつかさどり、人命を左右する仕事だった。
ビジネスでは命こそ取られないけれども、一言一句に職業人生がかかっているのは変わらない。
軽率を戒めながらも、ポジションをとることを恐れずに思い切った進言をしなければいけない。
今の時代、本当に死ぬことはないけれど、会社が死んでしまう(倒産する)可能性はあるわけで、このプレッシャーの中でこそ生まれる思考にどこまでキレを持たせられるかが日々の挑戦になる。
だから、平素の心がけとして、あらゆる事態を想定してポジションをとれる準備しないといけない。
それでいて、難しい局面でも泰然自若に見えて、存分に実力を発揮できることがTrusted Advisorとしての理想だ。
そう思うにつけ、「ありかた」と「やりかた」の両面で自分の至らなさを痛感する。
学ばなければならないことはまだたくさんある。
ちなみに、週末にPIXARのCFOによる回顧録を読んだ。
Steve Jobsとの距離感や、巨人ディズニーとの交渉、エンジニアとの信頼関係など、絶妙なニュアンス満載で大げさだけれど現代版韓非子的なプロフェッショナリズムを感じた。
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