Zeitgeist

ケニアのスタートアップで企業参謀。留学した後の話。

Komaza 105週目:動いてもらうためのコミュニケーション術

総合商社にいた時も、今の会社でも、社内外との調整が多い役回りをしている。
毎日のようにお願いごとをしないといけない環境にいて、コミュニケーションの温度感を見ながら、想像力を駆使してやりとりする中で、うまくいくときのコツのようなものも見えてきた。
先週たまたまそんな話をチームでしたら、有難がられたので、コミュニケーションのコツを書いてみたいと思う。
 

考え方:

コミュニケーションで相手からポジティブな返事をもらったり、助けてもらうためには、「相手にとっての重要性」が「やらなければならないタスクの負担」を上回らなければならない。
したがって、「重要性>負担」という関係性を念頭に、「重要性」を高め、「負担」を軽減させていくことが、根本的な考え方。
ちなみに、重要性は、単に仕事上の重要性にとどまらず、心理的重要性など仕事以外の関係性も影響してくるし、同様に、負担も、時間的負担、技術的負担、精神的負担、などなど色々な要素がある。だってにんげんだもの。
 

重要性を高める施策:

  • 重要性を伝える:よくあるのが、単にお願いごとだけ投げっぱなしというケース。文脈や状況、重要性をきちんとまとめて伝えてあげる。可能であれば、その人の現在取り組んでいる仕事とのプライオリティも示し、必要であれば相手の上司からも許可をとる。この温度感をきちんと伝えていないと、反応はイマイチになりがち。 
  • 権威を高める:残念ながら、相手にナメられてしまうことがある。そういう場合は、自分の上司をレバレッジしたり、相手の上司を巻き込んだり、多少痛いところをついて動かす。自分だけで説得できないと思ったら、周りをレバレッジする。マウンティングはエレガントではないが、必要とあればためらいなく線引きする。
  • 個人的関係性をつくる:お願いごとができる関係を社内外で作ることは仕事の一環だ。だらだらした人付き合いは必要ないが、ふとした雑談や飲み会などを意識的に使うことは、情報が命のビジネスで武器になる。どんなに大切な仕事も、「あの人のためなら」と思ってもらえるかどうかで、結果が大きく変わることは忘れてはいけない。
  • 言い訳を作る:重要性と負担の両方に関係するこの施策は、相手はやりたいと思っているけれど、当人が周りを巻き込んだり説得しないといけない場合に有効な手法。「絶対にやらないといけないわけではないし、乗り気でもないが、やらなければ悪いな」と思えるような口実を作る。当人が遠慮している理由を探して、それを克服するロジックを渡すと、本人も周りに行動を説明しやすくなる。相手にとっては重要度が高く、相手の周囲にとって重要度が低い場合に外から弾薬供給するイメージ。
  • 成功体験を共有する:単発のお願いには使えないが、対面の担当者などに有効なのが、毎回お願いをした後に成果を共有し、一緒に成功を祝うこと。別にちいさなことでもいいので、「大変助かった、うまく話がまとまった」とか「相手の反応がめちゃくちゃよかった」とか、依頼に対する答えがポジティブな結果に結びついていく過程をシェアすることで、「~と一緒に仕事すると楽しい」と思ってもらえることが増える。これを何度か繰り返していくと、一緒に仕事したいと言ってもらって声がかかるようになる。
 

負担を軽減させる施策:

  • 文脈を共有する:どこから来たのかわからない唐突な質問ほど、面倒なものはない。ちゃんと背景を説明して、相手がいちいち探らなくてもいいようにしてあげる。
  • 期待している質・量を明確に:情報量や精度など、何を求めているのかを目的に合わせる形で説明する。相手が渋っているようなら、質・量の期待値を一度落として、1度にすべてを回収せず何回かに分けて依頼する形の方がうまくいったりする。この辺は、メールよりも電話でやり取りしながら温度感をつかむのがオススメ。
  • ネクストステップを明確に:わかるようなわからないような依頼は、意外に多い。いつまでになにをやるのか、必要な要件は何で、どのようなアプローチがあるのか、おせっかいを恐れずに踏み込んで明確化してあげることで、行動へのハードルが下がる。例えば、「XXXについて調べてみて」というお願いも、「AAAという記事や、BBBという記事はあって、~なのではないかと思うが、それぞれのソースんに当たって深堀してほしい」とか「下にチャートを作っておいたので数字だけ埋めてくれ」とか、単指示まで落としてあげる。
  • リマインダー:意外と忘れがちなのが、期日を守ることも相手にとっては負担だということ。締め切り当日はもとより、自分だったらこれくらいかかるだろうなという時間を意識してリマインダーを送るのは、負担軽減になる。
  • 相手の負担に理解を示す:職務上必要なプロセスなのだから、「答えて当然」という態度は立派だが、それを他人に期待するのはたいていの場合間違っている。忙しいときに申し訳ないが、と「答えて当然」のときにこそ、理解を示すべきで、相手からの支援に感謝すべきだ。また、こうしたやりとりについてはきちんと覚えておいて、次に廊下であった時にちゃんとお礼を言えるくらいになると、なお素晴らしい。
  • 遅れていても責めない:納期を守らない相手は、こころのどこかでやましさを感じている。なので、そこに塩を塗り込んでも、勉強しろと言われて反発する子どもと同じで、逆効果になりがちだ。そういう場合は、相手に「結構めんどくさいし、タイミングも厳しかったんだよね」と理解を示して、罪悪感を軽くしてあげると、思いのほかスムースに取り掛かってくれたりする。「意味がない」とか「無理だ」とか突っかかってくる場合に有効だったりする。
  • 障壁を一緒に探す:上記をやって無理な場合、何が引っかかっているのかを本人または周囲にヒアリングする。政治的な力が働いているのかもしれないし、そもそも本人にその能力やリソースがないのかもしれない。徹底的に情報収集して、必要であれば相手に寄り添う。
  • 一緒にやる:「お願いしているのにやってくれません」という場合は、ここまでやるべき。夏休みの宿題を親と一緒にいやいやながらやる子どもと同じで、心理的・技術的ハードルが高すぎる場合は、面倒だけれど一番効果的。たいていの場合は、「できそうだ」という実感を相手が得た時点で、あとは勝手に進みだす。
 
ざっくり書いてみたが、原則さえ理解できれば工夫の仕方は無限にある。
その第一歩は、行動しない相手を責めるのではなく、行動を正しく導けない自分を理解しようとする内省力だと思う。