228週目:パロアルト出張②
今週はいくつか重要な仕事をしていた。
コロナですっかりオンラインベースの仕事に慣れてしまっていたが、改めて対面でのコミュニケーションの重要性を認識する。
アジェンダを組み、論考を加え、情報共有・オープンな議論・意思決定の区別をつけて、オンラインベースでメリハリの利いた議論をすることは技術的に難しいことではない。
むしろ、何となく会議にやってきて雑談しながらだらだら続けるミーティングが無くなる分、効率的な面もある。
会議の主催者の実力も、発表者の手腕も、事前準備の様子と当日のアジェンダをみれば、大体想像がつく。
ただ、深いところにある本質的な議論は別だ。
会議室にある空気や感情の流れも追いながら、お互いにひき出し合うようなミーティングをするのは、やはり対面がまだまだ一番のように感じる。
頭でする議論は大切だが、最終的な意思決定の段階において、情緒の存在を排除することはできない。
出揃った選択肢の中から、何を選ぶのか。どんな方向性や意味を持たせるのか。
こうした議論は、身体性を伴っている。
理性の世界と感性の世界を行き来しながら、互いの美意識をひき出し合い、照らし合い、批判し合うなかでしか生まれない新しい発想がある。
今回の出張前に、時間をかけて色々用意していた資料や議題を、面談の前日になって全て捨てた。
合理的に考察し、評価し、判断できるアジェンダというのは、8割がた既に答えの出た問いである。
一方、自分ができることは、規定のアジェンダを熟考した先にある、より抽象度の高い議論を導くことであろう。
平日とも週末ともつかない感じだが、頭を使っている。
(つかの間の気分転換に、日の出直後にパロアルトの山側を走ってみた。シリコンバレーが一望出来て、なかなか気持ちいい)