気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

225-226週目:戦線復帰

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一足遅れの休暇を切り上げて、仕事に戻ってきた。

一年前は、必死になってチームの構想をまとめたり、プロジェクトの原本となるドキュメントを書いて、メンバーをオンボードしていた。

今年は打って変わって、メンバー各人がそれぞれ考えてきた計画をピッチする。

僕がオンボードされる立場になりつつ、各マネージャーの計画をチームとして整合の取れる形に統合したり、優先順位を絞ったりする。

事業開発からポートフォリオマネジメントへと仕事の内容が変わったのを実感した。

 

自分の理想とするチームは何か、と考えた時に、まず浮かぶのは新卒で所属した三菱商事のアセットマネジメント事業開発部だ。

「本邦機関投資家に世界最先端のオルタナティブ投資機会を提供し、ひいては日本の金融市場の発展に寄与する」という使命のもと、アセットや地域に関わらず、新しいプロジェクトの議論が自由闊達にされていた。

「わが社」ではなく「日本」や「産業」を主語に考える習慣、新しい情報を自分の足とネットワークでつかむ貪欲さ、テクニカルな知識を吸収し続ける好奇心、色々な意味でとびぬけたチームだったと思う。

トップスクール出身の優秀なメンバーが日の丸を背負って本気でやるからできる仕事があり、チームを取り巻く社内外のコミュニティに新しい発想をぶつける過程で、今の仕事のベースとなる力を育ててもらった。

全社戦略の転換で30年近く続いた金融事業からの撤退が決まると、メンバーのほとんどは転職してしまったが、転職したメンバーはそれぞれの持ち場であっという間に頭角を現し、自分なりのテーマでキャリアを築いている。

ベンチャー、バイアウト、REIT、インフラ、FoF、ヘッジファンドなど各分野にまたがり「金融企画」を専門としたチームメンバーであり、単なる栄達では満足せず、オリジナルな仕事を求める文化があるように感じる。

ミッションを持った組織が強い、というのはよく言われるが、ミッションを持ったチームに所属したことのあるミッションのある個人も同じかそれ以上に強い。

組織も個人も、どちらも終わりあるMortalな存在だが、ミッションは違う。

そういうチームが作れるか、これを今年の挑戦としたい。

 

余談:

今回の休みは、変わった時間の使い方をした。

仕事やその延長上にあることだけに精力を傾けてきた自分にとって、家族や私生活に意識を向ける機会は貴重だった。

Acumen Fellowのセッションで、ありていにいえば「人生の破綻」を他のフェローから指摘されて以来、考えてきたテーマだ。

キャリアに集中するために意識から切り捨ててきた部分を、”逃げている”と指摘されたのはきつかった。

これまで自分は一時帰国を、ホームに戻るというよりも一種の出張として捉えてきていたように思う。やるべきことをリストアップし、効率的かつ的確に実行する。

休みも家族との時間も計画して、日常的な時間を非日常的にブロックして守ってきた。

ただ、時間はブロックできてもマインドシェアはブロックできない。

資金調達や企画のような仕事は、「できるかも?」という可能性を最大化すべく、自分の手と足で常に未来に向けた仕込みを続ける必要がある。

常に「明日のため」に仕事をすることは、長期的に成果を上げ続けるために基本となるマインドセットなのは間違いない。

ただ、職業人として明日のための準備をしつつも、一人の人間として今を生きるためにはどうしたらよいのか、というのを改めて考えている。

名乗りを上げるフェーズからサステナブルに長期間大規模に戦い続けるフェーズに移行するタイミングで、引き続き向き合ってみたいテーマである。