224週目:考えてみること
生まれてから今に至るまで最大の勇気をふりしぼってメールに「休暇中」の自動返信を設定して2週間目。
去年の振り返りと今年の目標設定という初歩的なタスクが全く手につかないままでいる。
帰国中は予定を詰め込むのが鉄則だが、今回は別。
頭がまったく雑然として使い物にならないので、一度諦めて他の事をする。
5年くらい前から読みたいと思っていたユルスナールの「ハドリアヌスの回想」を読んでいる。
高校・大学と好きだったマルクス・アウレリウスの「自省録」に対する返答のような内容で、衝撃を受けた。
「自省録」について自分が持っていた違和感を言語化して、さらに何歩も進めた展開で、何度も読み返す。
本から受ける最初の衝撃は、たとえ理論書であっても、往々にして感情的なもので、インスピレーションを得たと感じたとしても、具体的にそれが何だったのかはきちんと分解して整理したい。
何に自分が反応しているのか、なぜそこに意識が向かうのか、なぜ作者がそこに非凡な表現を試みたのか、歴史書や自叙伝の類は、作者の意図と自分自身の反応を丹念に読み解くところに、おもしろさがある。
初読で線を引き、コメントを入れた内容を、もう一度読み返しながら、ノートを作る。
読み返す間に、初読の感動は幾分理知的で分析的なものになり、自分の初読のコメントに対するコメントがつけられるようになる。
コメントに対するコメントにヒントを見出して、休み中に片付けないといけないと悩んでいた問題が10個くらい片付いた。
飽きもせずにそんなことをやっていたら、あっという間に一週間が過ぎた。