177週目:Comfort ZoneとExpertise
今週も引き続き忙しい。というか、これはもはや恒常化してNew Normalなのではないかと思い始めている。
連日朝から晩までミーティングに明け暮れ、合間に作業をこなし、まとまった思考と準備を週末に。
数週間は何とかなるが、これを定常化していくには体力・ルーティーン含め強化すべき点が少なくない。
さて、今週はなかなかしびれる出来事があった。
ケニアの政府機関にレターを届けるという一見シンプルなミッションなのだけれど、担当のお偉いさんがなかなか捕まらない。
直接話すことはできずに半ばあきらめて秘書に渡そうとすると、「これでは読んでもらえないだろう」と取り付く島もない。”This is really shabby job"という言葉に思わず感情もこもる。
時間をかけて推敲した内容なので、「何がいけないのか」と問いただすと、「宛名の書き方がなっていない」とのこと。
三菱商事で高級文房具をしていた時に、ビジネスレターは散々書いていたので、思わず”This is global business standard!"と反問しそうになって、ハッとした。
「自分の枠組み=世界の枠組み=目の前にいる特定の文化的文脈のステークホルダーの枠組み」と思い込んで、ケニアという文化的に特異な地域で、政府機関というローカルに根差したステークホルダーへの対応を、自分の経験則で断罪しようとしていた愚かさに唖然とする。
今の仕事をして4年になり、面倒なことや想定外のことばかり扱ってきた。その意味で、現職における出来事のほとんどは「想定の範囲内」というやつになりつつある。
今回の出来事は、狭い領域であれエキスパートとして経験を積みつつあるからこそできる仕事がある一方で、当たり前という概念が想像以上に自分の中で膨らんでいると直感するいい機会になった。
これは、Expertiseではなく、Comfort Zoneという奴で、まさに成長の敵というべき存在だ。
特定の分野で経験を積み、思考を重ね、理解を深めることはExpertiseの醸成につながり、ひいては自分の可能性を広げてくれる。ただ、よきExpertは常に世界の広さを認識して、Comfort Zoneという自分の城に引きこもらないよう、注意を怠らないものだと思う。
などということを考えてぶつぶつ言いながら、ケニアの公文書をいくつかダウンロードして、昔かたぎなお役所英語でレターを書き直している。華金である。