ケニアスタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

"Scent of a Woman," "The Majestic,"「怒り」など

My title
Series Bが終わってから数週間、深夜の電話会議がなくなった時間を利用して映画を観ていた。
アマゾンのレビューを見比べたり、知り合いにオススメを聞いたりしては、気に入った作品を観ていて、せっかくなので、簡単なレビューを書いてみる。
 
「Ford vs. Ferrari」
ヨーロッパ勢の独壇場であった、ルマン耐久レースにアメリカが誇るフォードが参戦した時の物語。
ドラマとしても、実話としてもエピソードが尽きない名作。
スリリングなレースシーンはさることながら、大企業病のフォードとレーサーとの駆け引きなど、見ごたえ抜群。
男くさい、戦後のアメリカ!という感じ。
 
「天気の子」
新海誠作品は秒速5センチメートルから観ているので、日本にいなくて見逃した本作をアマゾンでポチり。
東京の街並みの描写、とりわけ雨に降られた大都市の美しさというか情緒というか、情景描写は圧巻の一言。
一方、ストーリーは前作「君の名は」の方がよかった。
脚本はひねっているようで、人物の輪郭がいまいちはっきりしておらず、パーツや伏線が多いからといって深みが出るとは限らないんだと実感する。
 
「ノッティングヒルの恋人」
ラブコメディーの殿堂ということで有名な本作。
新海誠作品の「運命のめぐりあわせ」重視のファンタジーを観た直後だと、主人公のドタバタっぷりや惹かれ合いながらも立場が全く違う二人の食い違いに妙にリアリティを感じる。
とりあえず、ジュリア・ロバーツの笑顔がヤバい(語彙力)。
 
「The Majestic」
「いかにもアメリカ!」な映画。
赤狩りや第二次世界大戦、ハリウッドと政治など、歴史的なコンテキストを織り交ぜながら、最後はハッピーエンドという充実した構成。
経済成長でイケイケなアメリカの少し前、戦争や冷戦の傷跡が残る田舎町を舞台にしたストーリーは、とかく美化されがちな「古き良きアメリカ」とは少し違った味わい深さがある。
 
「Scent of A Woman」
アルパチーノの迫真の演技を観れただけでも幸せ、という一本。
限られた登場人物しかいないのに、はじめからおわりまであっという間に感じる作品。
アドベンチャー要素も多分にありがながら、思い出させるように主人公の絶望と怒りがテーマとして立ち顕れる。
冒頭と終盤で、アルパチーノ演じる盲目の元陸軍大佐とクリスオドネル演じる名門校の高校生の顔つきが全然違う。
単なる感動作に終わらせない、クライマックスの演説もなかなか見ごたえがある作品。
”Dead Poet Society”が好きだった人ならきっと刺さる。
 
「怒り」
狂気と正気がぐちゃぐちゃになって、とにかく揺さぶられる衝撃作。
3本の並走する悲劇それぞれが十分にひとつの物語になるくらい重いのに、それが組み合わさって全体を作る。
独特のストーリーを3本への並走させることで、個別のストーリー単体では作り出しえない一般性を獲得している。
 
登場人物ごとにいくつもの人生があり、それぞれに怒りや悲しみ叫びと赦しが混在している。
重層的で多面的な生をまとめて同時に突き付けられると、観る側としては特定の人物に共感さえする余裕がない。
一度観ただけでは、さらっと感想が書けない、感情のオーバードースという感じ。
 
映画の題名にもなっている「怒り」の別の一面として描かれるのが「信じる」というテーマ。
信じていた人に裏切られて怒る人、大切な人を信じることができなかった自分に怒る人、信じていなかった人を信じるようになることで怒りを乗り越える人、怒りと信頼という人と人の対照的なつながりが異なる設定・登場人物を通じて描き出される。
その点、個別の設定だけ見るとかなりどギツイものの、”American Psycho”のような挑発的な意図はなさそうで、一部のレビューにあるような沖縄問題等個別の社会課題への批判というわけでもなさそう(だとしたら、3本のストーリーを別に組まずに、統合だってできたはずだ)。
むしろ、人間を駆り立てる感情の波をありのままに肯定するヒューマニスト的な作品だと思う。
人は信じるからこそ怒るのだと訴えかけてくる。