ケニアスタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

127-128週目:欧州出張

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約1週間半の欧州出張。これまで詰めてきた内容の確認と、「最後の一撃」のために再度ヨーロッパへ。今回はロンドンとパリ。侃侃諤諤に議論を戦わせていたこれまでの出張とは違い、あるべきものをあるべきところに収めていく感覚があり、仕事が終盤に差し掛かってきたと実感。
 
週末は、ロンドンの街並みを散策する。Victoria&Albert MuseumからCityの端まで約7キロ。美術館から高級ショッピング街、バッキンガム宮殿、シティと変わりゆく街の姿に全く飽きずに3時間くらい歩き通した。普段は田舎の小さな世界で人生に没入感を持って暮らしていると、ロンドンのような大都市では対照的に「自分は何者でもない」という実感がある。いったい今やっていることは将来につながるのか、自分はただ井の中の蛙ではないのか、そんな問いを久しぶりに思い出したりした。
 
学生時代や社会人になりたての頃は、色々な可能性に興奮しながらも、同時に意思決定をするたびに隣の芝が青く見えて、「あっちの方がいいのではないか」とよく悩んだりしていたが、今の自分はその時から比べれば、遥かに悩みが少ない。ファーストキャリアで身に着けたものを存分に使って仕事ができているのも幸せで、果たすべき役割に真摯に向き合う喜びというのは、没入感と達成感の両方を届けてくれている。
 
今の自分はインパクト投資とClimate Financeの結節点に立っていて、業界の未来については山ほど不満と怒りを抱えている。その怒りに僕は耐えられなくなって別の世界に行ってしまうのか、それともその怒りを事業のアイデアに変えることができるのか、こればかりは粘ってみないと分からない。ただ、30年前のバイアウト業界や10年前のインフラPE業界も、玉石混交でやんちゃ三昧だった話を聞くにつけて、業界が「なっていない」と思える時こそ、プラクティスを作ることで市場に参加できるような気もしている。「なかなかに人里ちかくなりにけり、あまりに山の奥をたづねて」という心境に近いかもしれない。突き詰めるだけ突き詰めた先に、少し答えが見えて、結果的に原点回帰しそうな予感がある。
 
今の仕事に飛び込む前に考えていたことは以下の通り。予想からの乖離はそんなになくて、むしろ思ったより問題の解決に時間がかかりそうという実感があり、個別の問題点の解像度があがった気もする:
  • インパクト投資の需給:「資金流入スピード>>>人材流入スピード」であり、事業側の成長がボトルネック。一方、投資家になりたい人はたくさんいて、シニアで上がっちゃったファイナンスのプロがさん有しているので勝ち目がない。むしろ、流入する資金をさばける人材であることが、業界での地位確立に役立つ。
  • 新興国経験の大切さ:転職活動をしたときに、新興国経験がないせいで何度か冷たい対応をされた。腰掛けでもいいので、とりあえず行ってみることが大切。
  • PE・VCが求める人材:今後、アフリカ・ブームがやってくるときに、現地の企業の経営を経験している人が不足する。現地にはまだ外資企業も少なく、投資銀行・コンサルといった人材の供給源は極めて未熟。インドや中国のように人口・経済成長・高度人材のすべてが揃った新興国は少なく、アフリカでは依然としてExpatのニーズが高い。そこを先取りして抑えていくことで、10年単位でのキャリアの資産としたい。
  • 未熟な市場:資本市場・ベンチャーエコシステム、あらゆるものが急成長中であり、未完成。そういう場所だからこそ、自分のプロフェッショナル業としての仕事がプラクティスとして意味を持つ。未完成な場で達成する「正しい施策」こそが、時代を作るメルクマールになる。
  • 実力を試す:三菱商事では、本当に色々な仕事を経験させてもらった。ただ、グローバルなプロフェッショナル・ファームのように、世界的に統一されたトレーニングの対極のOJTと徒弟制で育った自分が、どこまで通用するのかが不安で転職活動中は本当に鬱だった。とはいえ、その答えを知るには、ぬるま湯から抜けてOwn Riskでつっこんでいくしかないわけで、腹をくくるなら早いほうがいい。
経済危機の端緒に居合わせたタイミングもあって、ロンドンのオフィス街を歩きながら、「こんな立地にオフィスを持ってビジネスを回せるってすごい。想像がつかない。こうした企業もかつては零細企業だったりスタートアップだったりするわけで、この世界の広さと奥深さを自分はまだ理解しきれていない」なんて感傷的になった。
知識としては当たり前のことなんだけれど、体感的に理解したのはこれが初めてかもしれない。

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週末をまたいでミーティングのためにパリに移動。この時はユーロスターも客足がまばらになっていた。
ボッシュ財団のフェローシッププログラムに同じく日本人として参加している方とも会うことができて、数時間学生のようにカフェで語りつくしてしまった。
本業のコミュニティが限られてくる一方、フェローシップを通じて新しい議論の場を広げていければと思う。

 

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自分も事業に対して果たすべき仕事をせねばと思う。ロンドンからケニアへは12日の夜便で帰国。幸いケニアへの入国も体温測定だけで済んだ。