気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

Komaza 70週目:Hard Things対処法

My title
新興国xスタートアップあるあるでも書いた通り、大企業を離れての仕事は「そんなことある!?」という出来事の繰り返しで、気力と体力を切らさないように知力を尽くすプロセスだと思う。
 
幸か不幸か僕自身はまだまだ死なない程度のHard Thingsしか経験できていないけれど、結局のところ「これは絶対にヤバイHard Thingだ」という確信を抱くことのないまま、一つ一つ山(Somewhat Hard Thing)を超えるごとに前回を上回るチャレンジ(Harder Thing)がやってくる。
いつか限界がくるんだろうけど、その時がくるまではやせ我慢しながら粘っていくしかない。
「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせながらチャレンジをかきこむ、なんだかわんこそば対決をしているようだ。
というわけで、1年後にこの記事を見返したらきっと鼻で自分の無知を笑うんだろうと思いながら、今の所のHard Things対処法を書き出してみる。
 

1. 最悪の状況を想定する:

事業の失敗やファンドレイズの失敗、人選の失敗などありとあらゆる不安を極大化した時のシナリオがどうなるのか。パニックになるような状況は、大抵の場合、複数の要素が絡み合うことで不安感が増大しているので、その中で実際に致命的になりうるものを把握する。


2. 課題を一通り吐き出す:

炎上案件のほとんどは、意外とこれをやらないがために課題がイマイチはっきりしないまま、くすぶるようにダメージが広がっている。当事者全員と個別・全体で話をして、状況を把握することなしに、ややこしい問題の解決は望めない。痛みもうまく使って、課題を顕在化させ、同時にステークホルダーに共通認識を持たせる。


3. 共通認識の形成と目線の設定:

課題に意識を集中させるとみんな防衛本能が働いて、他責思考になりがちなので、こういう時こそ「あるべき姿」やビジョンを提示して目線を上げてあげる必要がある。とはいえ、あるべき姿の提示には少なからずあるべき打ち手のイメージも内在しているものなので、やるときには自分の中で目星をつけねばならず、これには集団・個別をうまく使い分けたインタビューと状況分析が効果的。ちなみに、解決策はいきなり提示してもはねつけられることがあるので、解決に向けた焦りを痛みも含めて感じてもらうように流れを作り、そこに助け舟を出す形での誘導がマキャベリアン的だが有効になることもある。


4. さっさと腹をくくる:

全部を同時に解決することは早々に諦める。まずは一番厳しい状況を生んでいる要素を解消して、直近の危機を脱することを目標にする。そして、次は構造的な課題を生んでいるものに取り組む。細かい課題がまとわりついている場合は、手間を考慮して即効性のあるものだけ適宜対応する。


5. 根本的な原因を考えて対処する:

Hard Thingsはスタートアップでは避けては通れないものだと思う。ただ、その原因のほとんどは突き詰めればどっかで読んだ、聞いたことのある、人類史上の普遍的失敗パターンになっていることが多い(その証拠にいわゆるHard Thingsの発端の多くは人的エラーや過失によるものだ)。なので、こうした徴候を見逃さず、何かが起こった後もその問題を生んだ普遍的な組織の課題を内省すべきである。

 

6. 粘る:

基本的に上に書いたことを、解決するまでやり続ける。緊急度が下がっていくと、徐々に問題からチームの意識が離れていくことがしばしばあるが、喉元過ぎて熱さを忘れてもいけない。