備忘録
20150304
感動のままに、記録として筆を走らせる。
ブラウンの国際関係学部の招待で、ジュリア・ギラード前オーストラアリア首相とのランチに参加する幸運を得た。
何十人かは集まるのだろうと思っていたら、なんと教授も含めて10人足らずの会で、前首相をひたすら質問攻めにするという最高の機会だった。
もれなく、僕もアジアの国際関係が急激に変動する中で、高まりを見せる排外主義に政治家としてどう対応していくのか、という質問をした。
チャタムハウスルールもあるので、全部は書けないまでも、印象に残ったことを備忘録的に書きたい。
政治がポピュリズムに流れないようにするということ、そして、ラベル化された脅威に対して積極的に情報公開をすることが、排外主義をなだめる有効な手段とのこと。
例えばオーストラリアでも、中国資本による農地買い占めなど象徴的なニュースに反発があったものの、実際の保有率ベースではほとんど微々たるもので、一見あたりとして大きなニュースも情報公開をしてみると、全体ではそれほどではないことを伝えられる。
その意味でも政治の透明性は、 象徴的、感情的になりがちな外国に対する印象を客観的な指標で再定義することで、国民感情のブレを減らすのかもしれない。
一方で、イスラム過激派へ合流しようとする若者が増えていることについては、彼らがどのような道のり(journey)でそこへ至るのかがほとんどわからず、対策を打ちづらいということだった。
50代にしてオーストラリア初の女性首相に選出されたギラード議員は、落ち着いた微笑をたたえて、それでいて決意に満ちた様子で、研究者の多い国際関係学部のコミュニティーの中で際立って見えた。
リーダーとして非常にバランスのとれた、理知的な指導者という印象で、そばで話を聞いているだけで惹きこまれるような感覚になる。
首相という国政の最高位を経験してなお、教育を始めとする数々の問題に一議員として挑むギラード前首相の政治家としての姿勢に感じたことは大きい。
残りわずかなブラウンでの勉強の中で、こうして尊敬できる人物に接することができるのが、ただただ貴重で、嬉しい。