卒論始まる
いよいよ新学期が始まった。
最終学年ということで、何をすべきは数ヶ月前からはっきりしていた。
国際関係学の卒業論文の執筆、最近始めた開発学の勉強、プログラミング。
一週間目は、先学期にプロポーザルにまとめた自分の研究計画を、現実的なものにするために、自分の師事して来た先生方を巡って話を聞く、予定だった。
無惨。
数ヶ月前に、あれほど鮮やかに見えた青写真も、夏を越えて、再び現実的な目線で見ると無理難題ばかり。
ロジックというよりも、構想の大胆さよりも、現実的に一年できちっと200ページの論文として収めきれるかが大事だと思い知らされた。
あまりの難しさに、もう卒論を諦めようかと真剣に思っては、ここまで自分を推して来てくださった教授の顔が浮かんで、必死に首を横に振る。
とにかく、指導教官と話しながら、今からできることを考える。
もっとも、別に博士課程を目指すわけでも、優等なしでは卒業出来ないわけでもない。
背水の陣というのは感慨の中だけで、じつはただこんなめんどくさくて何の役にも立たないことはやめてしまえば良いだけなのだ。
だからこそ、これは僕には挑むことができる課題なのかもしれない。
失うものがないからこそ、開き直って正面突破を狙うしかない。
それにしても、自分が政治学者というよりは歴史家肌の人間であったことを、つくづく実感する。これはこれでまた辛い。
なんとか折り合いをつけて、ぎりぎりまで粘って、踏破したい。
走らないでいいから、ずっとずっと歩き続ける長期戦。それが卒論。