気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

Komaza 95週目:28歳になる

親とSkypeしていた時に、「仕事もうまくいって、成果も上がって、評価もされて、成長の実感もあって、いいじゃないか」と言われた。
素振りばかりしていた前職の痛みは和らいだとはいえ、もはや成長の実感のためには仕事ができないと思うようになってきた。
成長は自分のためのものであり、自分が認識して満足するだけ。
もちろん、だらだら人生を過ごさないために「成長」を計測して発破をかけることには、特にアーリーキャリアでは意味がある。
 
一方、ミッドキャリアは一般的なスキルの充実から、個別具体的な実績が人生の評価基準に移っていく。
何ができるかを戦力として示すことは、必要かもしれないけれど、その戦力を成果に転換していなければ意味がない。
「三十にして立つ」時期に差し掛かるなかで、何を世に問い、残すのか、ということの方がより本質的だと思う。
この答えに向かって、大学時代から試行錯誤をしてきているわけで、大体の着地点は見えてきた。
仮説を本気で試してみる、というのは変わらないポリシーである。
 
あとは、一見逆説的だけれど、焦ることなく淡々と、根気よく仕事に向き合っていくことができればいい。
この1年は、今までの仕込みの意味が問われるハードな1年になる。
今まで以上に収穫の意味合いも強い。
この1年の結果が、その後の方向性を示すことにもつながるはずだ。
心技体の充実を以て、この時期を楽しみたいと思う。
後悔のない一年を期する。
 
あ、そういえば、結婚やら家族のことなんかもそろそろ考えないといけない齢になってしまった(と言い訳のように書いておく)。

Komaza 93・94週目:ファンドレイズの「推敲」

またしても2週分。
欧州出張のフォローアップ以降、10以上の会話が並行して進んで、文字通り忙殺されている。
並行して、DDのためのリサーチやリーガルの整理、ドナーによる監査などを進めつつ、ナイロビへの短期出張もこなす。
いっぱい書きたいことはあるけれど、ほぼ書けない内容だらけなので、メタファーで資金調達について書いてみる。
 
推敲という漢語の由来は、物書きが「戸を推す」のか「敲く」のか情景描写を悩む姿らしい。
資金調達を今の会社に来てから、携わってきて、ソフトコミットで言えば10億円を超えてきたところで、思うのがファンドレイズは間違いなく戸を「敲く」ことにあると思う。
 
投資家は向こう側、事業はこちら側、彼此の間には門が間違いなくあり、その扉を開けるのは投資家の判断である。
だから、DDにしても交渉にしても、事業側は戸を推しているだけで満足してはいけない。
 
淡々と求められるものを提出するだけでは、延々に扉の鍵を開けてもらうことはできない。
ディールを淡々と押し続けるだけの地力と相手に誠実に接することだけでは、クロージングは訪れない。
 
肝心なのは戸を推す行為ではなく、戸を敲く「音」だ。
戸を推したくなるのは、自分が行動することで、安心を得たいからだ。
ただ、その行動は果たして相手とその意思決定者にとって意味のあるものなのか。
肝心の投資基準に響くシグナルを伝えることができているのか。
鍵が開いたときに戸を推せるだけの力を持ったうえで、きちんと相手に伝わる音をこちらが発しているか。
相手が必ずしも聞きたい音を知っているとは限らない。
音は発信と着信に時差がある。
それらをすべて考慮できているか、あらためて自省したい。

Komaza 90・91・92週目:ヨーロッパ投資家面談など

本当に忙しかった。3週間ブログをすっぽかしたのは、Komazaに来て始めてじゃないだろうか。
前職の同期から、生存確認のメールまで来てしまった。大丈夫です。生きてます。
一週間ずつ振り返り。
 
まず、90週目。
この週は、月末クロージングに向けて進めていたディールが実は全然進んでいないことが判明し、大慌てで相手側の弁護士と直接やりとりして、複雑な契約をまとめ始める。
入金のタイミングや株主間の合意事項など、細かな日程も考えると、大がかりな交渉を丸っと1週間でまとめなければディール・ブレークとなることが分かり、時差をフル活用して夜中まで連日電話会議に明け暮れる。
ドキュメンテーションは基本的にルール通りにやれば良いだけなのだが、マルチタスクで進めていた社外とのプロジェクトのレビューや、翌週の海外出張に向けての段取りなど、同時並行で進めているとなかなか頭がすっきりしない。
最近はチームがめちゃくちゃ優秀なので、彼らから続々と出てくるアウトプットをさばききるのも、以前ほど自分の作業に集中できない理由かもしれない。
あっという間に週末になり、手荷物だけの軽装で最初の目的地アムステルダムへ向かう。
 
 
91週目:
今回はTAでお世話になっているPartnerships For Forests(P4F)のエキシビション@ロンドンのお招きなので、まずはロンドンのヒースロー空港に到着。
P4Fの善意で、前後のファンドレイズに合わせて早めにヨーロッパ入りしてもいいことになっていたので、ヒースロー空港からロンドン市内へ移動し、ユーロスターに乗ってアムステルダムへ。
CEOとアムステルダムで合流し、夜中までその週の打ち合わせとスライド作成をする。
 
あとは怒涛の勢いで、丸一週間かけてアムステルダムとロンドンで10件近いミーティングをした。
一件一件の投資家面談が真剣勝負で、CEOと事前のすりあわせと事後の振り返りを繰り返し、毎回ごとにメッセージの伝え方や構成を見直す。
高々1日2件ほどなのに、猛烈に疲弊する。
そして、特別ボーナスとして、前週から取り組んでいるドキュメンテーションのクロージングが最終局面で、寝れない笑。
そんなことをしている間にあっという間に、一週間が過ぎた。手ごたえはかなり良好で、これからも謙虚に仕事を積み上げていきたいと思っている。
 
余談:今回は出張と重なったのもあり、久しぶりに週100時間を超えてフラフラだったんだけど、何とかアムステルダムとロンドンで数時間ずつ捻出して、ヴァン・ゴッホ美術館と大英博物館に行ってきた。
ヴァン・ゴッホ美術館は何といっても一人の芸術家の作品をまとまった数、時系列で追うことができるという圧倒的な迫力が特色。
画商から画家に転向し、オランダの大画家たちの作風に影響を受けながら、次第にフランスに集まる印象派に居所を見出し、最後はそこをさらに昇華させて独特の作風に至る一連の説明を見ながら、絵画を鑑賞する。
芸術鑑賞そのものの魅力というよりも、生き方について考えさせられる展示構成だ。
 
大英博物館は、美術館とは対照的。なんだか巨大な書斎のような感じで、地域と時代を主な区切りとして万物が無機的に並べられている。
まるで、昔のGoogleのようで、雰囲気そのものにわくわくした。
こっちはむしろ足早に全体を見回して、おきまりのロゼッタストーンやアッシリアの石像を確認して、つかの間のロンドン観光は終了。
 
 
92週目:
月曜日に急遽入った投資家面談のため、ロンドン滞在を伸ばす。
午前中にかなりいい意味で意外性のある面談が実現し、チームで簡単に祝杯を挙げる。
1週間半、連日の面談とその準備、ミスったら終わりという緊張感でげっそりしたCEOとハイタッチをして別れる。
 
先の便でケニアに戻ったCEOと数時間差のフライトだったので、思い切ってClimate Policy InitiativeとBank of America Merrill Lynchが主宰するセミナーに顔を出す。
約1年前にCPIに賞をもらったのが、会社としても個人としても転換期になった。
相変わらず彼らにはお世話になりっぱなしなので、挨拶をして一路空港へ。
 
ナイロビではいくつか至急の面談があり、それを済ませて早々にKilifiに戻ってきた。
しばらく不在にしていてもチームがバンバン仕事を進めてくれているので、丸一日かけてキャッチアップを済ませ、投資家面談のフォローアップの段取りを組む。
今回はかなり重めのプロジェクトを同時並行することになりそうで、その段取りを早めに考える必要があり、これは今週末と来週頭くらいまで使うことになりそうだ。

初ロンドンなので、しっかりCityも見てきた。

 

P4Fパンフレットも用意して、プレゼンも成功に終わった。

 

初夏の日差しを求めて、ハイドバークで打ち合わせしたりもした。ThinkPad開いて仕事しているKY外国人になっていたはず。

Komaza 89週目:

今週は、大詰めになっていた森林モデリングのプロジェクトと事業の財務モデルのアップデートをオフィスにこもってやり続ける。

手を動かす部分の大半は、外部のコンサルや社内チームが実働してくれているので、自分は全体像をStreamlineしていく作業に集中する。

 

同時進行でパートナーシップや新規事業の支援の会話も並行しており、こちらも一件一件ステークホルダーの利害関係や情報を「裏どり」したりという作業も重ねていく。

クリーンな話ばかりとは限らず、情報目的やスタートアップには負荷がかかりすぎるトリッキーな案件が来たりしないようにバランスを取るのが難しい。

一方で、「忙しいのでできません」では大切な機会を逃してしまうので、ここの判断は毎回頭を悩ませている。

 

そんなことばかり追われていたら、あっという間に一週間が過ぎていった。

結構ポジティブなニュースも入ってきつつあるので、長期戦もめげずに戦い続けられそうだ。

 

週末はその疲れか熱が出てぐったり。薬を飲んで1日20時間寝て回復したので、来週でいくつか仕掛かりのプロジェクトを形にしていきたいところ。

 

Komaza 88週目:投資家訪問の経営インパクト

このところ、仕事についての振り返りがほとんどかけていないので、どうしようか悩んでいる。

Gojoの慎さんのように、うまく出張などと合わせて、フォーマットを作れるのが理想なのだろうか。

ブログとは別に週次・日次の振り返りをしているので、それをうまく転用できないかなどと考えている。

 

基本的に財務とマネジメントという領域は、常にOngoingな会話が複数ラインあって、わかりやすいマイルストーンを祝いづらく、しかも守秘義務もあるから、どうも筆が進まず、言い訳のようにキャリアや業界のネタに偏ってしまっている。

 

さて、言い訳がましく書いてしまったけれども、久しぶりに仕事の振り返り。

先週は大きな投資家訪問(先方がやってくる側)があり、そのための全社プレゼン(事業部門3領域+グロース・ストーリー)を取りまとめる作業と、面談の順番からフィールド訪問のロジまでチーム一丸で取り組む。

気づいたら2週間くらい記憶がないくらい忙しかった気がする。

 

成長中の企業は1か月でがらりと変わるし、プレゼンのあるべきすがたとして、若干の将来像もきちんとまとめ、膨大なデータやメッセージをシンプルにまとめて見せる必要がある。

これはやるたびに事業の解像度と理解が高まり、かつ、各分野のリーダーたちにリソース配分や会社の中長期ビジョンを理解してもらう良い機会になる。

 

これまでは割とCEOと5050で分担してきたこの作業を完全に自分のチームのみでやることになり、燃え尽きそうになりながらも、いい勉強になった。

 

経営陣の理解度や、目線、そうしたものを走りながら合わせていく機関としてコーポレートファイナンス部門には果たせる戦略的機能があり、それを全うするために一方でコーポレート機能管掌役員を採用し、こちら側もチーム体制を絞り上げていく。

シリーズBが調達ならば、その直後に訪れる資本投下のフェーズでいかにSavvyな判断をできるか、その仕込みがすでに始まっている。

今週来週とは各役員と1-on-1で入れて、投資家サイドのフィードバックと次のフェーズに向けたマイルストーンづくりを進める予定。