気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

就活を効率化する5つのコツ

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新卒で社会人になってから5年以上がたつのに、時々知り合い経由で就活の相談を受けることがある。
学生時代は、海外にいたこともあり、ボストンキャリアフォーラムという一世一代の大博打だけに絞って就活をして、いわゆる外資からこてこて日系総合商社まで大体10社くらいから内定が出た。
アメリカの大学で勉強もそれなりにきつい中で、つかの間の一時帰国やSkypeをフル活用して、約1か月準備して、丸4日間で30以上の面接とランチ、ディナー、コーヒーチャットを繰り返し、魂の抜け殻のような状態で最終日を迎えたのが懐かしく、どうやって生き抜いたのかはいまだに謎である笑
これは後から気づいたことだけど、会社説明会に参加したことがない。それに同級生との就活グループも作っていない。ほぼ、自力でネットワークを作り、情報収集をした。
 
この前同じように海外大学に留学している後輩とスカイプをしたら、相当な時間をいわゆる「就活」に充てていると聞いて驚いた。
一生を左右する時期なので、時間をかけたくなる気持ちもわかる反面、海外留学までして、こうしたしがらみに時間を奪われるのももったいない(人生で学問に打ち込める時間がどれほど貴重なことか!)ので、今更と思われることを恐れずに書いてみようと思う。
 
当時のメモや日記を読み返す限り、確実に知識が劣化しつつあるので、まだ覚えているうちに、当時の意識していて今もよく伝えているアドバイスを紹介したい。

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1.客商売はファームのカルチャーと同じくらい対面業界のカルチャーが大事

 
総合商社しかり、アドバイザリー業しかり、会社は一つでも様々な業界を相手にする企業では、企業のカルチャーと同じぐらい部門のカルチャーというのが存在する。例えば、商社だったら鉄鋼・機械などの重工業系は相手もカチカチの日本企業なのでお作法やら年功序列やらがかなりきつくて、ファイナンスやらベンチャー系は比較的軽快なカルチャーになっていたりする。なので、会社の文化という軸で見るだけでなく、自分の具体的な配属先を想像してみる必要がある。周りのコンサル・投資銀行にいる友人の話を聞いても、国や地域、経済環境ごとにメジャーな産業が違い、仕事の内容が違い、そしてカルチャーにも差が出ている。客商売は、自分を貫くためにやるのではなく、お客様のためにやることなので、そのお客様の求めるニーズのタイプが如実に仕事の文化に反映される。

2.競合の悪口こそ生の情報源

 
これはどうなのかと思うけど、同業者間ではどこの会社がどんな案件をどんな手で取っているかという噂は割と流れている。本来なら、守秘義務があるから、誰も知らないはずのことも、若手の同期間の話題などで知れ渡っている。これを直接「御社のクライアントは?案件は?収益源は?」と聞くのはもちろんNGだが、競合について噂話ベースで聞くのはこの限りではない。自分はコンサルを結構重点的に受けていたのだけど、各社OB訪問を終了した時点で、大体のクライアント名や案件名、主な収益ベース、といったのをマップ化できるくらいの情報が集まった。ちょっとした工夫だけど、OB訪問で競合の仕事っぷりについて聞いてみると面白いインサイトが得られるかもしれない。
 

3.内定をもらって初めて決断できる

 
よく応募する前にものすごく悩む人がいるけど、これはあまり得策とは言えない。もちろん、全部の業界・企業をうけるのは無理だとしても、複数業界複数社受けるのは、大変だったとしても不可能ではない。しかも、悩んだとしても自分が本当に向いているかはやってみるまで分からないし、それ以前にオファーが出るまでその進路というのは、自分の「選択肢」にはなっていないのだから、まずはどうやって内定を取るかに集中すべき。進路の悩みに逃げないで、淡々と対策を練る方が、最終的な選択肢も増える。捕らぬ狸の皮算用はしない。採用担当者と候補者の力関係が逆転する内定後のほうが、いい情報や条件を引き出せるので決断もしやすくなる(基本的に内定前と後では、紹介される社員も得られる情報も、当たり前ながらグレードが変わってしまう)。ちなみに、「弊社は第一志望?」という愚問を投げかけてくる採用担当者がいるが、こういう場合は、「非常に志望度が高い」とか「自分の中では本当に興味があるが、就職活動は相手にも適性を見極められる場なので、出願している企業の最終的な選考結果を踏まえて考えたい」と答えるとうまくかわせる。だって本当に意思決定できるのって、選択肢を全部そろえてからですよね、普通。
 

4.表面的な情報よりも、深い情報を求め、やってる感に満足しない

 
時々、説明会に行った回数やOB訪問の回数といった、筋の悪い定量的な基準を安心材料にしている人がいる。そんな形だけの評価をする会社に行きたくはないだろうし、ちゃんとした会社ほど表面的なことだけでは突破できないのだから、きちんと面接の練習をしたりケースをコツコツ解いたり、会社についての勉強をしたり、意味のある努力をすべき。同級生とつるんだり、就活セミナーに行ったりするのも気休めにしか見えない。基本的に同級生やセミナー講師の理解レベルなんてたかが知れているので、きちんと能力のある人が真剣に1次情報をあたって勉強すれば、本来的に回りに転がっている2次情報の質を数時間で超えられるはずだ。本当の情報は会社にあるわけで、業界や公開情報をよく読みこんで、実のある質問を1時間ぶつけ続けるだけで大体の理解はできる(たとえば、「年次報告書や中期経営計画とかちゃんと読んでますか?就活サイトの情報ばかり見ていませんか?社長の最近の講演のYouTubeは見ていますか?」といった質問に答えられない人は結構いる)。それをもとに各社のプロファイルを作って、競合との関係や今後のビジョンまで立体的に理解できれば、最終選考でも変なミスはしないはず。ただ、わかっていることと見せびらかすことは全然違うので、面接ではわかってますアピールをしないこと。
 

5.仕方のないことはあきらめる

 
大学の最終学年になってサークル活動以外に実績がないと悩んでみたり、GPAが低いと愚痴ったりする気持ちはわかるけど、全部パーフェクトというのはよほどのことがないと難しい。なので、取り返しのつかないことはさっさとあきらめて、今からできる準備や努力、実績作りを考える。変に劣等感を持って面接に行く人は、自信がないように見られやすいし、現状の課題を何とかして結果を出しに行くというのは実際のビジネスでも同じだと思う。
 
 
以上が、学生時代に気を付けていたことで、実際に役に立ったと思うアドバイスになる。 
ちなみに、進路決定そのものや入社してからの次のキャリアの考え方については、以前書いた記事を張り付けておくので、こちらもぜひ見てみてほしい。