ケニアスタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。。

Komaza 61週目:Noの意味

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投資家と向き合いながら、会社の事業について説明する仕事も1年が過ぎた。
いくつもの感動的なYesをもらい、一方でそれよりもはるかに多くのNoをもらった。
営業をしたことのある人なら、もっと詳しいのだろうけれど、Yesは一種類(投資します!)しかないのに、Noには複数のパターンが存在する。
 
十分にお互いが検討し、議論した上でのNoというのは、案外気持ちがいい。
会社の可能性も課題も、納得してもらった上で、投資判断として合理的にNoになるのは、残念だけれども職業人としても本望だ。
一番モヤモヤするのは、なんとなくしっくりこないまま話が進み、最後で半ば惰性的にNoになってしまうケース。
こっちもうまく伝えられなかった後悔が残るし、投資家側も事業を理解できない以上、きちんとした投資検討をした上でのNoとはならない(「うーん、わからないからNoかな?あれ、でも可能性もありそうだけど。。。」)。
 
ここに向き合いながら説明を考え、考えうる限りの労働集約的な仕事だけれど、一方で事業を説明できないということは、事業を理解していないということに他ならないので、折れそうな心を励ましながら、考え続け、スライドを書き続ける。
 
一般的なセールスは、このNoをハックしたり、潜在的にYesとなる可能性が高いセグメントに集中したり、いろいろなことをするわけで、僕もファンドレイズは「営業活動」だと思って、暇を見つけては投資家のNoとYesを分析している。
特にNoは大体こういう形になっている。
  • 投資の大枠(マンデート)に入らないから検討自体No:インパクト投資はまだ未熟な市場なので、スクリーニングやセグメントがあまり機能していない。特にアフリカをはじめとする新興国についていえば、マイクロファイナンスやインフラ投資以外単体でアセットクラスを形成しているものはなく、「インパクト投資家」というくくりで、農業からハイテクまで様々な投資家が散在している。なので、「あのファンドいいんじゃない?」と紹介されて、よくよく話を聞いてみると、実はテック専門とか、ヘルスケア専門とか、デットしかやってませんとかが判明することはよくある。あと、大御所ファンドでも、トラックレコード上でフィットするかと思いきや、国連のアジェンダや業界の流行で投資目的・手段を数年おきに大きく変えていたりするので、一般のPE/VCのようなかっちりしたInvestment Thesisを持った一貫投資の方が稀だったりする。

 

  • きっと成功しないからNo:ここが本来的には主戦場。ベンチャーは、ビジネスのポテンシャルの大きさをと実現可能性を天秤にかけて、起こりうるべき未来へベットしてもらう。真剣勝負であらゆるデータと説明を加えていく。ここで納得されないのは、説明が質的または量的に不十分だから、あるいは事業そのものの可能性をシンプルに伝えられていないから。ここの理解というのは、完成がなく、いろいろな人と話しながら次第に出来てくるものだと思う。この仕事をして意外だったのは、ロジックを詰めきった上でのNoというのが思いの外少ないこと。

 

  • 細かいところでファンドの目的にフィットしないからNo:先に述べたマンデートで一致を見ても、インパクトやカテゴリーといったちょっとした理由で、最終的に投資に至らないこともある。これはインパクト投資のように、リターンやビジネス機会以外の個別の目標を持つ場合にはよくある話だ。

 

  • やっぱりわからないからNo:これは最悪のパターン。Not doing your job. とはいえ、こういって去っていた投資家が数年経ってやっぱり興味が出てきて戻ってくることもある。
 
Paul Grahamとかも、UberやAirbnbのような世界を席巻することになるアイデアこそ、最初はただの悪い思いつきに見えてしまうと言っている。
 
そうなると、いかに一見クレージーでも優れたアイデアをきちんと説明できるか、可能性とリスクを切り分けて、投資判断に加味してもらえるかがカギになる。
 
この先のキャリアでベンチャー側に立つのか、投資側に立つのかはまだわからないけれど、自分が理解できない事業は経営できないし、投資実行もできないので、いい鍛錬の機会にしたい。