気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

Komaza 55週目:ケニアに来て1年で身に付きつつあること

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前回の記事に続いて振り返り。今回は、まだ途上だけど身につけつつあること。
 
前回の投稿では、仕事のカテゴリ的なものが中心だったので、今回は精神的な面について。
不安定な状況、確率的にしか成功が見込めない中で、バランスよく複数の案件に全力投球する力を鍛えられた気がする。
基本的に仕事はできることを最後までやりぬく主義だけれど、同時にもう一人の自分はまるでポートフォリオマネージャーのように淡々とそれぞれの案件の重要度とインパクト、リスクを分析して、追加投資するのか、損切りするのか、現状維持かを決めている。
新入社員の時の根性だのみの仕事からは、少しは成長できたのかもしれない。
 
ベンチャーの日々は、どんなに準備をしていても予期しないイベントが毎日のように出てくる。
準備しきれない出来事にも、冷静に向き合うことができれば、解決できない問題なんてほとんどないのだけど、いくつもの難題がどかっと降ってくるときなどは、気持ちが滅入ってしまったりする(そうすると、本当に解決不能になってしまう)。
そういう意味で、突発的な社内外のクライシスを「なんとかなるさ」と受け流す鈍感力(感情的にスルーするだけで、仕事としては真正面から考える)と、経営リスクというマクロな目線で「これがコケたとしても死なない」とロジカルに割り切る力、その二つがベンチャーで求められる「心の準備力」なのではないかと思う。
 
よく経営者や政治家が「楽天主義」や「鈍感力」を大切な資質としてあげているが、それは単に能天気でいいというわけでも、職業人としての感性を大切にする必要がないわけでもないようだ。
禅の世界ではないけれど、目の前にどんなことが去来しても、原点に立ち返って、澄んだ心で場を読み切る力に近いものを感じる。
感じないのではなく、感じた上で、不安を手放す能力。そして、リスクへの恐れを手放すことでできる大きな仕事。
決して思考停止でも、パニックでもない、心身脱落して課題に向き合うための揺るぎのない矜持のようなものを早く身につけたい。