気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

Komaza 39週目:長野旅行

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2週間の日本帰国から、ケニアに戻ってきた。

留学時代から基本的に一時帰国はお世話になった方々へのご挨拶や友達の飲み会などでぎっしり予定を組んできたのだけど、今回は1月から走りっぱなしだったこともあり、心身共に燃え尽きていた。

本当は直接進捗報告したかった方々にもきちんと会えなかったのは、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

しっかり寝込んで体力も気力も回復したので、残りの半年も全力投球していきたい。

 

せっかくなので、何枚か写真を。

 

黒部第四ダム

今回のハイライトは、「黒部の太陽」でも有名な黒部第四ダムの見学と長野旅行。

ファイナンスの仕事は、まだできていない、みえていないものを支える仕組み作りのようなもので、建設や起業のようにものを手触り感を持って作る仕事とは性質が違う。

 

日々投資家と会話する中で、数十億円とか数千億円とか、時には数兆円という単位で議論をすることも少なくなくて、そういうスケール感で仕事について考えられるのはファイナンスの醍醐味だと思う。

一方、全てを数字に落とし込んでいると、時々肌感覚として金額の持つスケールや現実世界における意味みたいなものの実感値が薄れてくる。

例えば不動産だったら「ロンドン中心地のオフィスで〜平米」、エネルギーなら「国内のソーラー〜MW」、企業なら「〜業界でEBITDA〜億」といった具合に、具体的な情報がさほどなくても、主だったベンチマークだけで金額が見えてきてしまう。

本当なら、利用者や地域のコミュニティなど人々の実生活へのインパクトがあるはずなのに、ほとんどの情報は頭の中で記号化され、比較可能な形になってしまう(というか新卒の時からそうするトレーニングをしてきた)。

 

業務上はDD以外で「手触り感」は特に求められなくとも、ファイナンスを仕事にする以上はプロジェクトの目的やそこに注入された熱意も感じ取れる存在でありたい。

そう思って、高度経済成長の出発点であった工業化、それを支えた一大プロジェクトの黒部第四ダムの現場を見てみようと思ったのが、今回の旅行のきっかけ。

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(放水中の黒部第四ダム)

このダムの総工費は1950年代当時で513億円、当時の関西電力の資本金の5倍を投下した国家プロジェクトで費用の4分の1は世銀からのドル借款で賄ったというから、戦後日本のプロジェクトファイナンスの歴史の中でも重要な案件だったようだ。

 

ラッキーなことに観光放水もやっていたので、写真をとるには絶好のタイミング。トンネルの中はひんやりとして上着がないと寒いレベルだった。

東京からは新幹線で長野まで行って、そこからバスで約2時間。

道中に見える日本アルプスには6月とはいえ雪が残っていて、清々しい気持ちになる。

おすすめです。

 

 

別所温泉

古くは平安時代に遡るという信州の古湯。

高校の地理で習ったような山間集落に、国宝や重文に指定された神社仏閣が密集していて、かなりディープだった。

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(常楽寺境内にて)

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(安楽寺 国宝八角三重塔 屋根が4段あるが、構造上1段は飾り屋根になっていることから三重塔と呼ばれ、日本最古の木造八角仏塔)

 

上田市

乗り換え駅だったので、途中下車して散策。

武勇で鳴らした真田幸村が徳川軍を破った上田城も趣があったけれど、個人的には藩主の住居跡をそのまま使った上田高校の校歌が一番印象的だった(マニアックですが、文語調の名文だと思うので掲載しておきます)。

秋玲瓏(れいろう)の空衝(つ)きて ゆふべ太郎の峰高し
春縹渺(へうべう)の末けむる あした千曲の水長し

関(くわん)八州の精鋭を ここに挫(くじ)きし英雄の
義心(こころ)のあとは今もなほ 松尾が丘の花と咲く

古城の門をいで入りて 不動の心山に見る
我に至高の望あり 挙世の浮華(ふくわ)に迷はむや

たふとき霊(みたま)血に承(う)けて 不断の訓(をしえ)川に汲(く)む
我に至剛の誇あり いざ百難に試みむ

自分を卑下することがない、健全な野心が清々しい名文で、どんな卒業生がいるのかと思ったら東急財閥の創業者、五島慶太もここの出身らしい。

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(真田神社)