Zeitgeist

ケニアのスタートアップで企業参謀。留学した後の話。

パブリック・スピーキングで注意すべき3つのこと  (質疑応答編)

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プレゼン能力は金融でもビジネスでも、絶対的に求められる能力なので、先週のフランクフルトでのプレゼンを振り返りながら、大きく3つのカテゴリーで注意点を確認したい。
読者の方にも多少なりとも参考になれば幸いだ。

 
 

その1:説得ではなく、相手と同じ夢をみるために

 
壇上であっても発表後でも、その場に自分がいることにはなんらかの目的があり、伝えたいメッセージがある。
それを明確に意識して短時間で相手に伝えることは、説得ではなくて、同じ夢(あるいはビジョン)を共有して、「そうありたいね」と共感を得るプロセスだ。

質疑応答のときも、伝えたいメッセージを繰り返す

個別の論点への質問が続くと、ついつい言い訳がましい回答になったりや狭い内容しか伝えられなくなったりする。
ときには、もともとの大きな論点に振り返ったコメントで、自分たちのアイデアが一体なんなのかを印象付ける。
今回の発表では個別論点を完全にカバーしきれた反面、最後にまとめの一言を入れて、「何故我々を選ぶことがこのプラットフォームに貢献するのか?」という大きなメッセージを伝えきれていなかった。
時間がなくなったときこそ、細部から離れて、全体感と意義づけについて語る。
最後の一文はもはや暗記しておいて、読み上げるくらいの気持ちでいた方が良い。
 
質問が多いときは、カテゴリーで区切って、まとめて答える
今回は30人くらいからの質問を受け付けて、まとめて答える形式。
業界トップクラスのプロ達が集まる場だっただけに、質問が鋭くて、つい個別に回答しようとしてしまった。
だが、考えてみると同時に質問を受けて一気に答えるというフォーマットの場合は、20の質問でさえも3−5のカテゴリーに分類して、その中で適宜答えていけば良いのだと後で気付いた。
他の発表者の中には、厄介な質問をそうやって逸らせている人もいたくらいだ。
限られた時間であれば、MECEに回答する必要はない。
最後に、”I am more than happy to address specific questions that were not answered in my presentation later”とか言っておけば、説明責任は果たされている。
 

「訊かれていること」と、「本当に訊かれていること」の違いを意識

前日にスカイプした相手から、「相手を説得しようとするよりも、相手と同じ夢をみれるようにするのがいいプレゼン」というアドバイスをもらった。
質疑応答では、政治家と同じで、聞かれたことに誠実に答えるよりも、伝えたいメッセージを伝えきることこそが重要になってくる。
というのも、質問に答えれば答えるほど、ほとんどの場合また新しい疑問が次々に出てくるからだ。
そうなるといくら質問に答えても、100%の納得感を与えるのは、本格的なDDでもしない限り不可能になる。
それならが、最終的に「少なくともビジョンには賛成」の形に持っていくことが時間が限られるアイデアコンテストのような場では優先されるべきだ。
繰り返しになるが、個別論点は後からいくらでも個別に説明できる。
 
また、細かな点を個別に聞いてくる人というのは、大局的な論点を思いつかないから重箱の隅をつついているか、あるいはモデルそのものの有効性に疑いを持っているかどちらかという場合も少なくない。
いずれの場合も、問われている部分を答えることよりも、そこから数歩引き下がったマクロな絵を見せる必要がある。
「結局、どいういう話で、どういう仕組みで、なんで面白くて、何がリスクなの?」というのを30秒くらいで説明する抽象度の高いロジックを用意して、その延長上に個別の論点への回答を散りばめられると一番良いのではないか。
 

ロジックのショートカットを活用する

時間がない中で全てのリスクや全ての可能性を丁寧に説明するには、相手の理解を得るための最低限のエビデンスを示す必要がある。
本来なら個別に論点を潰していく場合でも、例えばリスクについての質問なら、主だったトピックを羅列した後、「最終的にはそうした部分もDDしてガバナンスに厳しいXXさんも投資しています」と伝えれば、「致命的なリスクはなさそう」というメッセージは伝わる。
可能性についても、ベンチマークとなる市場やプレーヤーをあげて、アナロジーを示すことが有効だ。
何事も丁寧に積み上げ式に説明しようとすると、逆に足をすくわれることもあるので注意する。

 

その2:事前準備から当日にかけてのテクニックを磨く

準備段階は入念なイメトレ

想定問答集の練習と録音しながらのアドリブトーク練習。
基本的な事業の仕組みを数字で説明できるようにする。
基礎統計や事業に関する数字は、日々目にする形で頭に入れておいて、時々色々な数字を組み合わせてフェルミ推定する練習をする。
イメージは戦略コンサルの面接対策。
 

開始30分前に会場入りする

早めに来る人はそれなりにいるので、自己紹介したり事業の話をしながら、調子を整えていく。
舞台に立ったときが最初の一言にならず、かつ開始前のカジュアルな会話から、相手が興味を持つであろう話題や疑問点を事前に理解できると、ぐっと話すときの距離が縮まる。
少し早く行って、一人でも会場に自分の味方を増やしておくべき。
 

出だしのマナーを守る

他のプレゼンターにできていて、自分ができていなかった最たるものが、出だしの口上。

「自己紹介→ホストへのお礼("we are honored to be here today." "I would like to thank ___ for hosting us)→質問へのお礼("I appreciate valuable questions we had and will do my best to answer them all")」という決まり切ったフォーマットを何も考えずに話せるように徹底したい。

打ち解けたプレゼンであれば、小話から入ってアイスブレークすることも効果的だと思う一方、国際機関のカンファレンスでの発表などは、半ば学会みたいなものだと思うので、こうしたマナーを自然にできるようにしていきたい。

 

質問者の名前を呼ぶ

今回一番プレゼンがうまいと話題だったアメリカ人のアントレプレナーは、最初から最後まで流れるように雄弁にスピーチし、質疑応答というよりもTEDをみているようだった。
彼女がやっていて感激したのが、10人以上いた質問者の名前と顔を一致させて、「そうです、XXさんがおっしゃっていた質問のように」と相手の目を見て答えていたこと。
自分の場合は、答えるだけで精一杯だったが、彼女の場合は事前に用意された答えが、すでにほぼ全ての質問に答える形で構成されていた。
そこで彼女がやっていたのは、漏れた部分を補足しながら、質問者一人ひとりの賛同を得ていくことだけ。
やっていることのレベルが全く違うと実感した。
 

 

その3:話すときの癖を直す

自分の発表の録音を聴いたところ、気づいたのは次の点。
特に後半のふたつは日常会話でもやっている可能性大なので、普段の話し方もミーティングを録音して変えていこうと思う。
 

自己紹介が早すぎる

ポディウムに立って最初の1分間は緊張感と喉が温まっていないのとで、一番やりにくい部分。
「ああ、緊張しているな」とわかってしまう早口だった。
一方、話していることは自己紹介なので一番簡単な内容。
意識的にゆっくり話すようにする。
 

Placeholders

日本語でいう「えーっと」みたいなつなぎ言葉。
話す本人は無意識でも聴いている方は結構気になる。
自分の場合は、“ah”と“so”のふたつが目立つ。
一文が長いときや、間が持たないときに無意識に挿入してしまっている。
文章と文章の間、節と節の間でしっかりブレスをとれるように意識する。
 

Upspeak

文章の後半が上ずって、疑問文のようになる現象。
特に後ろが節やAndなどになっていて一文が長いとき、考えながら話しているときに出てきている。
ここで語尾を落ち着けてしっかり間を取るだけで、説得力が全然違ってくる。
現に、今回のプレゼンでも一番反応が良かったのは間合いを取って、しっかり一文を着地できたところだったと録音を聴き返して気付いた。
 

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