Zeitgeist

留学した後の話。

プロボノを引き受ける時に考えるべきこと

先日、Intelligenceが運営する大手転職サイトのDODAが主催する、ソーシャルセクターの転職・プロボノセミナーに参加してきた。

ついつい人助けをしたいという「善意」が先行しがちで、なおかつ本業との兼ね合いから実行が甘くなるリスクを抱えるプロボノを、どうすれば価値ある「善行」にできるのだろうか。

今日はこれまでの僕自身の体験として、どうやったらバリューの高いプロボノになれるのかを考えてみたい。

 

できること、できないこと

ソーシャルセクター界隈には、情熱先行型の人が多い気がする。

これは、プロボノを希望する人も同様で、なんとか助けたい、力になりたいという思いを持つ人が、つい「それプロボノでやります!」と食いついてしまうこともあるのではないかと思う。

一方、プロボノはボランティアとは違い、自分の「専門性」を無償で提供する行為であり、ここで求められるのは情熱もさることながら、プロフェッショナルとして期待される成果をDeliverする実力であることは忘れてはならない。

「やりたいこと」と「できること」は全く違うので、まずは団体の見学やオープンイベントへの参加、ミーティングでの細かな事案などを通じて小さく始め、できそうだという手応えをつかんだ上で正式なプロジェクトにすることが望ましい。

特に、プロジェクト自体はスコープの設定が成功の鍵を握っており、そのための仕組み・体制作りには、さくっとできるタスク系プロボノ以外は、時間をかけるべきだ。

 

 

リソース配分と効率化

実際にフルタイムで仕事を持っている人にとって、プロボノは正直言って重い。繁忙期に限らず、仕事とは全く違う世界で、かつ事業戦略のように抽象的な思考と現場への理解を求められるプロジェクトならなおさらだ。

 

そうした制限の中でも、Living in Peaceさんのようにプロボノのプロフェッショナル・ファーム化している事例もあるわけなので、具体的にどんな工夫ができるのかを考えてみたい。

  • チームで貢献する:特にセクターをまたいだ知り合いとチームアップできると、お互いの強みを活かせる場所が異なる分、常に一人がテンパっている必要がなくなる(プロボノにだって壁打ちは必要だ)。また、実際にアドバイスをしていく場合にも、事前にプロボノ・チーム内で打ち合わせをしておけば、論点の漏れが防げるだけではなく、独断的でJudgementalな介入を防ぐことにもつながる。
  • 日程をあらかじめ決めてキックオフする:社会人になってしまえば、平日は夜以外基本的に活動できず、休日もプライベートでそれなりに忙しくなる。こうした中で、複数名でディスカッションを重ねるようなタイプのプロボノは、スケジュール調整が最大のボトルネックになる。団体側で具体的なマイルストーンがあり、それに対して逆算的にプロボノのスケジュールを合わせられるとベスト。今回、担当させていただいた案件では、団体側の方がかなり具体的なタイムラインを引いて、数週間前から毎週末の時間をブロックしてもらっていたので非常にスムーズに準備ができた。以前の自分の失敗例として、あまりゴリゴリ介入することをためらうあまり、最初の数回のミーティングで話が立ち消えになってしまったこともあり、不確実な案件であればこそタイムラインを引くべきだと痛感した(普段の仕事だと当たり前なのに、本当に猛省)。
  • ミーティング外の会話を持つ:複数人数で議論するタイプの場合、全体ミーティングの前後の会話は極めて重要になる。自分の発想に先入観や偏見が混ざっていたり、相手に違和感や納得感を与えていないかを確認するためのみならず、頭の中を整理して全員が同じ方向を向けるよう調整する効果も期待できる。特に激しい議論になった相手がいたら、そうした人をフォローすることも必要だろう。やってる感よりも、できているかをチェックするための手法としてミーティング外の会話は効果的だ。当然、この会話には、プロボノチーム内で事前に議論の方向性などを確認しておくことも含まれる。
  • 議題の明確化とラップアップ:週に一度の全体ミーティングなどで議論をする場合、前回までの流れや議題、長期的な取り組みの中での現在位置は常にRecapする必要がある。会議の終わりにはその日の主な発見・結論、積み残しとなる宿題、次回の流れについて必ず記録して、翌回のスターティングポイントにする。
  • 成功モデルの模索・確立:なんでも紋切り型の成功法則に頼っていては、百害あって一利なしであることは言うまでもないが、本職とは違う支援者の立場から、本職とは違う業界で価値を出すためには一定の試行錯誤は避けられない。小さな成功体験や自分の得意領域を少しずつぶつけてみながら、自分なりの関与の仕方が見えてくるともっと効果的な価値提供ができるのではないか。

 

参考文献

本格的に興味のある人は、この分野の第一人者かつベストプラクティスの慎さんの書籍を参考にしてほしい。彼がプロボノチームのみで、日本初のマイクロファイナンスファンドを立ち上げ、10年近く運用していることからも、Operational Excellenceが滲み出ている。

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