気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

社会起業

フライデーナイト理論

社会人になりたてで「自分はああなりたい、こんな仕事ができるようになりたい」などと仲間と血気盛んに議論していたころのこと。 研究、ボランティア、インターン、学生のうちは色々なことに関心を持つ人たちが、どうして社会に出て年月がたつと、あんなに熱…

2021年「飛躍と準備の年」から2022年「而立の年」へ

2021年「飛躍と準備の年」の振り返り 2021年は、人生で一番と言っていいくらい忙しい1年になりました。 仕事の幅と自由度が増え、チームが大きくなり、課題は複雑になり、という状況で、チームメンバーの猛烈な成長に負けないように自分をストレッチした一年…

何のために働くのか

30代に突入して、周囲の友人たちが世に言うところの「落ち着き」を持ってきた。 寝食を忘れて馬車馬のように働くことが求められたフェーズが終わり、下積みを活かして慣れないながらもマネジメントとして責任を担うようになる。家族ができたり、趣味に向ける…

215週目:Acumen Fellowの最終セッション

今週も連日電話会議と仕事に没頭しつつ、週後半はAcumen FellowのIn-Personセッションのため、ナイロビ郊外で、週の半分を過ごす。 社会起業家やスタートアップの経営メンバーで、大半には子どもや家族がいるなか、セッションが実現できたこと自体が奇跡的で…

Acumen Fellowship振り返り

Acumen Fellowshipは、とても良いプログラムだった。 ケニアの僻地のスタートアップで仕事をしていて、他国や他領域の起業家・事業との接点を増やしたいと思ってアプライしたのがきっかけ。 アフリカフェロー唯一の日本人・アジア人で、想像力の限界をストレ…

自信にまつわるパラドクス

総合商社出身の親しい友人から、キャリアについてアドバイスを求められた。 優秀な人がたくさんいる部署で成果を上げ、社内でも評価をされたうえで、ベンチャーに飛び込むのだが、投資銀行やコンサルのように「わかりやすい」トレーニングを受けていないので…

207週目:初心

ベタなのだけれど、Facebookで4年前の出来事と称して、三菱商事を退職した日の写真が出てきて、妙に感傷的になっている。 去年はシリーズBの達成感と脱力感で気にならなかったのかもしれないが、今年の自分にとってはズシリと響くものがあった。 このところ…

204週目:ソーシャルインパクトの求道者性

お金は主観を持たず、ただマーケットの判断で分配される。 価値判断の尺度としてお金が正しいかは別として、市場は明確かつ定量的に、「市場にとって」大切なものにプライスをつける。 一方、「インパクト」はどこかフワッとしていて、明確で客観的な外部指…

アセット系スタートアップにおける総合商社型財務の実践

AirbnbやUberといったシェアリングエコノミーや、フィンテックのような金融業では、スタートアップにおいてもアセット(バランスシート)の効率化が大切になる。 自分が今仕事をしている林業スタートアップのKomazaは、旧来の不動産所有型のプランテーション…

201週目:Acumen Fellowship第二回目セッション

チームの半分が夏休みに突入。 ただでさえもストレッチされたタイムラインでOKRが設定されているのを、COVIDによる移動制限や思いがけないトラブルを乗り越えて、2021年の前半を走りぬいたチームには頭が下がる。 休みに入っているメンバーの仕事の最低限の…

200週目:30歳を迎えての振り返り

気付いたら30歳になってしまった。 時間が経つのは~みたいに言われても、アーリーキャリアでは方向転換できると感じていた余裕が、着実になくなってきている。三十路という言葉が、けっこう刺さる笑 大丈夫、まだアラサーの商標は使える← さらっと振り返る…

199週目:メルー訪問とConservation Forestryの仕組み

写真をカメラからダウンロードするのをめんどくさがっていたら、2週間も経ってしまった。 -- 金曜日に休みを取って、ケニア山にほど近いロッジにやってきた。 バックパックとカメラをもって気軽に旅行するか、がっつり仕事道具をもって考え事をすることが多…

When Vision Fails 

インパクト投資やClimate Finance、アフリカベンチャーなど、未来志向な業界で仕事をしていると、ありとあらゆるビジョンに触れる機会がある。 起業家を支援したいという投資家もいれば、社会の理不尽を是正したいという起業家もいる。 志を持つのは、変化の…

191-192週目:Acumen Fellowship プログラム初回

Acumen Fellowshipの第一回目セッションが先週の水曜日から始まった。 午後1時から6時まで1週間のセッションにZoomで参加する。最初の3日間は、いわゆるスタンフォードの”Touchy Feely”に近いアプローチで、自分の生い立ちを語る。 Zoomなのにフェローの全く…

インパクト投資業界に関する雑感 2021

Global Impact Investing Networkによると、2020年度のインパクト投資の投資総額(AUM)は2019年の5,000億ドル(約55兆円)から7,150億ドル(約80兆円)に40+%もの成長を遂げた。 主要なメディアや大企業、利益追求の権化と呼ばれたウォールストリートでさえ、SD…

188週目:Acumen Fellowに選出されました

新興国ソーシャルセクターの起業家・実務家向けの登竜門、Acumen Fellowに選出されました。 Acumenは、インパクト投資ファンドの先駆けとして知られていますが、近年は地域ごとに活躍する社会起業家や社会的事業の成長を支えるフェローとして選出しています…

186週目:ドバイ

先週の土曜日から1週間あまりドバイに滞在していた。 " data-en-clipboard="true">去年の秋口に一時帰国して以来のケニア国外で、仕事も入っていたとはいえ、良い気分転換になる。 " data-en-clipboard="true">ラマダンとコロナのダブルパンチで街はひっそり…

気候変動がもたらす未来とスタートアップの新領域

サミットもあり、気候変動に注目が集まっている。 学校の授業やニュースで地球温暖化や異常気象について知っている人がほとんどでも、気候変動という大枠の詳細や、対策の選択肢や人類への影響について、体系的に学ぶ機会はほとんどない。 頭の整理として、…

185週目:社会的なアジェンダを持つときに大切にしたいこと

ソーシャルセクターに興味本位で首を突っ込んで10年になる。 社会的インパクトや貧困削減、気候変動、社会的起業、あらゆるテーマに首を突っ込みながら、先人たちの後ろ姿を無心に追いかけてきた。 今の僕のキャリアも、取り組んでいる仕事も、何もかもが同…

184週目:寧静致遠

仕事を淡々とできて、良い一週間。 トラブルシューティングはアドレナリンが出るけれど、きちんとした成果を長い時間軸で出すためには、着実に仕事を進め穴を埋めていく時間がとても貴重だ。 4日間イースター休暇で頭を空にした成果もあって、頭がいっぱいに…

不可能な納期で炎上案件をまとめる際の考え方

3か月後に予定されていた提出書類(専門家と共著する100ページ弱の分析資料、財務モデルなど)を3週間で提出しなくてはならない、という衝撃の通告を受け、チーム総動員で何とか無事満足のいくクオリティの仕事を提出した。 今後も同じことがあった時のため…

ケニアから見たアフリカスタートアップでのキャリア形成

ケニアのスタートアップに限らず、成長する企業に欠かせないのが人材だ。 知り合いなどと「いいプログラマーはいないか」とか、「どこのヘッドハンターが優秀か」とかそんな話ばかりしていた時に、ふと外国人としてスタートアップに参画している自分も広い目…

Komaza 161-163週目:町火消からの脱却

この2週間をほぼKilifiにいるチームと過ごして、週末にナイロビに戻り、月曜日にミーティングをしてまたKilifi。 当初は数週間おきに拠点を行き来する予定が、突発的なイベントですっかり振り回されている。 Kilifiはすっかり夏らしくなってきて、それなりに…

159-160週目:農林業における財務戦略の役割

「どんな仕事やってるの?」と家族やら同期やらいろんな人から聞かれる。スタートアップの財務・戦略と答えることが多かったものの、最近自分がやっているのは事業の経済性を高めることなんだと思うようになった。 林業は、プランテーションのように大規模土…

事業における身体性

卓越した投資家・経営者と優れた投資家・経営者の違いは何か、という問いをこの15年くらい考えている。 事業を理解して、適切な判断を下していくためには、日常生活においいても常に事業とつなげて考える必要がある。 経営者や投資家の自伝などで、ふとした…

新興国スタートアップの財務を通じて学んだこと

Evernoteの整理をしてきたら、今年の3月ごろにコロナ禍の直撃を受けつつ、資金調達のクロージングに悪戦苦闘していた時期のメモが出てきたので、紹介してみたい。 結果的にアフリカの農林業系スタートアップとしては最大規模のSeries Bを調達できたものの、…

新興国のスタートアップが失敗する15のパターン

新興国でプレーするなら、まず現地で仕事をしてみることを勧めている。 日本での就職相談やキャリア相談とは違って、ケニアを始めアフリカは環境の変化が激しいし速い。 なので、1万キロ離れた日本にまして日本語で情報が伝わるころには、状況が変わっている…

Environmental Finance誌が選ぶImpact Investment of the Yearを受賞しました

グリーンファイナンスや、カーボン市場、ESG投資などの記事で知られる業界紙、Environmental Finance誌が選ぶ、Impact Awards 2020でKomazaのSeries Bが”Impact Investment of the Year”に選ばれました。 世界最大の森林保護NGOであるConservation Internati…

149-151週目:Convictionを生み出す過程

自分は今、転換点いるという感覚がぼんやりと続いている。Series Bのクロージングを終えて、2週間休暇を取った。 自主隔離で外に出られないのもあって、いままでにないくらい空白の時間を過ごした。本を読んだり、NHKのプロフェッショナルを観たり、映画を流…

144-145週目:シリーズBを調達しました

財務責任者をしているKomazaがアフリカのベンチャーとして最大規模となる30億円(28百万ドル)のシリーズBを調達しました。 アフリカにおけるベンチャー企業の資金調達としては、インパクト投資、環境投資、森林投資、零細農家プラットフォームなど様々な分…