気候変動スタートアップ日記

ケニアのスタートアップで企業参謀をしていましたが、気候変動スタートアップを創業するためスタンフォードにいます。米ブラウン大→三菱商事→ケニア。

Komaza 22週目:進路相談への3つのアプローチ

今週はスライドをひたすら書いていただけで、面白いことがないのでキャリアのネタを。
 
ここ数年、採用活動や後輩の就活相談などで大学生・社会人数年目くらいの人とスカイプをする機会が定期的にある。
「日本の中高→アメリカの大学→日本の総合商社→ケニアのスタートアップ」という日本も海外もそれなりに経験しているイメージを持たれているのか、「どんな会社に行けばいいのかわからない」とか、「そろそろ転職したいのだがどう思うか」とか「海外で起業したい」とか「アフリカに行きたい」とか色々だ。
 
人生のステージは違っても、この手の質問は大学時代に留学説明会をしていた頃から200件以上は受けているので、論点整理のやり方が固まってきたように感じている。
課題意識が明確かつ具体的でニッチな場合を除いて、僕の受け答えのパターンは3つしかない。
進路相談を受ける人だけではなく、進路について現在進行形で悩んでいる人にも、振り返りのネタとして使ってもらえればと思う。
 

①やりたいならやればいいじゃん?リスクないでしょ。

一度相談に乗って、半年後くらいたっても全く検討が進んでいない人は結構いる。
本質的な理由や明確なタイムライン設定(日本で投資家を見つけてからでないと意味がないことがわかった、とか、ここまでは今の職場でやるべきと決めたとか)がないのに、「なんかこのままじゃダメだな」とかズルズル言っている人には、相談を受けるたびに「行く行く詐欺」を感じて、この言葉が出てくる。
 
あとは、本人が明らかに挑戦して現場に入っていったほうが課題の理解も進みそうなのに、色々なリスクを気にしすぎている場合に、あえて背中を押す場合もある(特にもともとアントレプレナーっぽいのに、ビジネス経験や社会人生活を経て保守的になり始めている人、親・教師の心配に後ろ髪を引かれている人など)。
 
自分の人生の意思決定で、慎重になるのはわかるけれど、20代のキャリアはMBA含めすっ転んだ経験だってストーリーの作り方次第でダシにできるので、明らかな誤認識や自己矛盾がなければ、「本当にそれって致命的なリスクなの?〜すれば、許容できるんじゃないの?AかBかではなくて、両立もできるんじゃないの?」という会話につなげる。
 
一方、話しているうちに「やらないほうがいいかもしれない」ということだってある。
人には向き不向きがあるからだ。
 
無理して自分が耐えきれないリスクを負う必要はないと思うので、本当に行きたいと思っているのかはっきりさせることも重要(大企業若手あるあるで、漫然と起業や海外に憧れを抱いていて、実は身近な友人や最近読んだ本に影響されただけという人もいたりする。たぶん、行っても何もできないタイプ)。
 
 
カオスが得意な人と苦手な人、どっちなのかで背中を押すべきかどうかは判断している。
こけて学べるタイプか、それとも折れるタイプかは、優劣ではなくて性格的な向き不向きもある印象。
世の中には守られた環境でこそ、輝かしい仕事をする人がいることを忘れてはいけない。
この人は行った先でどんな風になるのかを想像しながら、最善と思われるアドバイスをする。

 

②目的なんだっけ?

新聞やベストセラービジネス書にでてくるマクロな話や、「世界で挑戦」というようなスローガンが何度も出てくると、目的の再定義に話を向けることになる。
行ってみてから、やってみてから、もっとはっきりする場合は①の「やってみればいいじゃん」となり、そもそもの動機が意味不明だったり他者の受け売りの場合は、そこを深堀る。
 
ここで注意しないといけないのは、受け売りがダメだということでも、目的がわからないなら行動すべきではないというわけでもないということだ。
ふわっとした理由付けに「なぜ」を突きつけて、真正面からゴリゴリ詰めても、結論に行き着くことは稀だからである。
例えば、学部留学の相談などは、将来の漠然とした方向や自分の性格程度しか糸口がなく、情緒的・抽象的な議論をこねくり回すことになりがち(分からないから模索するために大学がある!)。
 
僕のスキルが足りないこともあって、短時間で深堀りしきって目的から結論を出すのはまず不可能だ(志望動機のエッセー添削は別。出願エッセーはそれをごまかす技術がある笑)。
その人の人生に責任を負うくらいのつもりで、長期のメンタリングをするのでなければ、下手に詰めても相手は混乱したり、自信を失うだけになるというのを何度も見てきた。
よくわからないままで突っ込んで、そこで何かを見出して開花する人も同じくらい見てきた。
 
 
さて、このアプローチの最終目標は実は目的を具体化することではない。
曖昧模糊とした初期動機に、「なぜ」をぶつけると、その問題が自分にとってどの程度痛切か、重要かが見えて来るのだ(目的自体はすんなり明確化できるに越したことはないが、本人のキャリア・人生の模索ステージによるところが大きい)。
 
「まだモヤモヤしているけど、かなり本質的に重要な問題」であれば、大きな決断をしてリスクをとる意味があるし、「なんとなくやってみたいと思っていた」だけだったら、より短期・低リスクでお試しできる機会(休暇を使ったボランティア、短期留学など)から始めてみるのも悪くない。
不安を分解し、モヤモヤを明確化しようとする過程で、問題の優先順位付けをすることが、この「目的はなんだっけ?」アプローチの鍵になる。
 
特に新しいことに挑戦する場合、スティーブ・ジョブスが「点と点は振り返ることでしかつなげることができない」と言っているように、最初から目的がはっきりしていることなどほとんどないのかもしれない。
ただ、自分にとっての重要性を図り、それに応じてリスクを調整したり段階的に取ることは、わからないなりにも工夫の余地があるものだ。
相談を受ける側としては、相手が無理をしすぎない範囲で、一歩を踏み出す応援をしたいと思っている。
 

③次の次のステップはどうしたいの?

留学にせよ就職にせよ転職にせよ、ここを考えていない人は意外に多い。
「人生の目的」よりもはるかに具体的で、予想がつきやすいはずなのに。
 
5年後に自分がいる業界やシナリオというのは、20代の前半に一気に狭まっていく。
その枠を意識しながら(時に打ち破る戦略も含めて)考えると、「なぜ今なのか?」、「どこまで優先順位が高いのか?」、「どこまでの投資なら回収できるのか?」、「どこまでの失敗まで許容できるのか?」という、飛び込むにあたっての線引きがはっきりしてくる。
 
ビジネスの意思決定であれば、当たり前のことだが、同じ項目を人生の意思決定に生かしている人はあまりいないのかもしれない。
数年後という時間軸よりも、次の次の具体的な行き先(大学院や団体、企業、生活場所など)をイメージすると、目先の必要性がかなりはっきりイメージできる。
「わからない」という場合でも、わからないなりに人は仮説を持っているものなので、興味のある方面をブレストしていくつかのシナリオを描いて時系列に並べてみるだけでも、「Aに行ってみて合っていたら次はB、そうでなければC」というように意思決定のチャートもどきを作ることは難しくない。
 
また、高校生や大学生のように、ゴールがはっきりしていない分、試行錯誤する時間がたっぷりある場合は、最速で全ての仮説を検証するためのイベントを用意、スケジュールを組んでいく(もちろん、途中で修正は自由、全くわからない場合はメジャーなものをいくつか組み合わせて方向性をテスト、それが分かった時点で再度仮説を組む)。
相談者のバリューは、相手を思考の縛りから解放して、自由にオプションをつなぎ合わせる手伝いをすることだ。
 

正しい距離感をつかむ

進路相談は、受ける側が励ましてあげないと、相手のやる気を削いで人生をダメにしてしまう一方、甘いことばっかり言って結果に結びつかなければアドバイザーとしては失敗という厳しい一面もあるから難しい。
特に世代が離れれば、突っ込みたいところは10や20では収まらないこともしょっちゅうあるので、そこは優先順位付けをして最も核になる部分をグサリとつきつつ、次のステップのヒントを示してあげる必要がある。
ここの距離感というのがうまく掴めると、今の相手にあった、半歩先を照らすアドバイスができるのではないだろうか。
 

 

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(今週末はヨット乗れなさそうなので写真だけ載せときます笑)

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パブリック・スピーキングで注意すべき3つのこと  (質疑応答編)

プレゼン能力は金融でもビジネスでも、絶対的に求められる能力なので、先週のフランクフルトでのプレゼンを振り返りながら、大きく3つのカテゴリーで注意点を確認したい。
読者の方にも多少なりとも参考になれば幸いだ。

 
 

その1:説得ではなく、相手と同じ夢をみるために

 
壇上であっても発表後でも、その場に自分がいることにはなんらかの目的があり、伝えたいメッセージがある。
それを明確に意識して短時間で相手に伝えることは、説得ではなくて、同じ夢(あるいはビジョン)を共有して、「そうありたいね」と共感を得るプロセスだ。

質疑応答のときも、伝えたいメッセージを繰り返す

個別の論点への質問が続くと、ついつい言い訳がましい回答になったりや狭い内容しか伝えられなくなったりする。
ときには、もともとの大きな論点に振り返ったコメントで、自分たちのアイデアが一体なんなのかを印象付ける。
今回の発表では個別論点を完全にカバーしきれた反面、最後にまとめの一言を入れて、「何故我々を選ぶことがこのプラットフォームに貢献するのか?」という大きなメッセージを伝えきれていなかった。
時間がなくなったときこそ、細部から離れて、全体感と意義づけについて語る。
最後の一文はもはや暗記しておいて、読み上げるくらいの気持ちでいた方が良い。
 
質問が多いときは、カテゴリーで区切って、まとめて答える
今回は30人くらいからの質問を受け付けて、まとめて答える形式。
業界トップクラスのプロ達が集まる場だっただけに、質問が鋭くて、つい個別に回答しようとしてしまった。
だが、考えてみると同時に質問を受けて一気に答えるというフォーマットの場合は、20の質問でさえも3−5のカテゴリーに分類して、その中で適宜答えていけば良いのだと後で気付いた。
他の発表者の中には、厄介な質問をそうやって逸らせている人もいたくらいだ。
限られた時間であれば、MECEに回答する必要はない。
最後に、”I am more than happy to address specific questions that were not answered in my presentation later”とか言っておけば、説明責任は果たされている。
 

「訊かれていること」と、「本当に訊かれていること」の違いを意識

前日にスカイプした相手から、「相手を説得しようとするよりも、相手と同じ夢をみれるようにするのがいいプレゼン」というアドバイスをもらった。
質疑応答では、政治家と同じで、聞かれたことに誠実に答えるよりも、伝えたいメッセージを伝えきることこそが重要になってくる。
というのも、質問に答えれば答えるほど、ほとんどの場合また新しい疑問が次々に出てくるからだ。
そうなるといくら質問に答えても、100%の納得感を与えるのは、本格的なDDでもしない限り不可能になる。
それならが、最終的に「少なくともビジョンには賛成」の形に持っていくことが時間が限られるアイデアコンテストのような場では優先されるべきだ。
繰り返しになるが、個別論点は後からいくらでも個別に説明できる。
 
また、細かな点を個別に聞いてくる人というのは、大局的な論点を思いつかないから重箱の隅をつついているか、あるいはモデルそのものの有効性に疑いを持っているかどちらかという場合も少なくない。
いずれの場合も、問われている部分を答えることよりも、そこから数歩引き下がったマクロな絵を見せる必要がある。
「結局、どいういう話で、どういう仕組みで、なんで面白くて、何がリスクなの?」というのを30秒くらいで説明する抽象度の高いロジックを用意して、その延長上に個別の論点への回答を散りばめられると一番良いのではないか。
 

ロジックのショートカットを活用する

時間がない中で全てのリスクや全ての可能性を丁寧に説明するには、相手の理解を得るための最低限のエビデンスを示す必要がある。
本来なら個別に論点を潰していく場合でも、例えばリスクについての質問なら、主だったトピックを羅列した後、「最終的にはそうした部分もDDしてガバナンスに厳しいXXさんも投資しています」と伝えれば、「致命的なリスクはなさそう」というメッセージは伝わる。
可能性についても、ベンチマークとなる市場やプレーヤーをあげて、アナロジーを示すことが有効だ。
何事も丁寧に積み上げ式に説明しようとすると、逆に足をすくわれることもあるので注意する。

 

その2:事前準備から当日にかけてのテクニックを磨く

準備段階は入念なイメトレ

想定問答集の練習と録音しながらのアドリブトーク練習。
基本的な事業の仕組みを数字で説明できるようにする。
基礎統計や事業に関する数字は、日々目にする形で頭に入れておいて、時々色々な数字を組み合わせてフェルミ推定する練習をする。
イメージは戦略コンサルの面接対策。
 

開始30分前に会場入りする

早めに来る人はそれなりにいるので、自己紹介したり事業の話をしながら、調子を整えていく。
舞台に立ったときが最初の一言にならず、かつ開始前のカジュアルな会話から、相手が興味を持つであろう話題や疑問点を事前に理解できると、ぐっと話すときの距離が縮まる。
少し早く行って、一人でも会場に自分の味方を増やしておくべき。
 

出だしのマナーを守る

他のプレゼンターにできていて、自分ができていなかった最たるものが、出だしの口上。

「自己紹介→ホストへのお礼("we are honored to be here today." "I would like to thank ___ for hosting us)→質問へのお礼("I appreciate valuable questions we had and will do my best to answer them all")」という決まり切ったフォーマットを何も考えずに話せるように徹底したい。

打ち解けたプレゼンであれば、小話から入ってアイスブレークすることも効果的だと思う一方、国際機関のカンファレンスでの発表などは、半ば学会みたいなものだと思うので、こうしたマナーを自然にできるようにしていきたい。

 

質問者の名前を呼ぶ

今回一番プレゼンがうまいと話題だったアメリカ人のアントレプレナーは、最初から最後まで流れるように雄弁にスピーチし、質疑応答というよりもTEDをみているようだった。
彼女がやっていて感激したのが、10人以上いた質問者の名前と顔を一致させて、「そうです、XXさんがおっしゃっていた質問のように」と相手の目を見て答えていたこと。
自分の場合は、答えるだけで精一杯だったが、彼女の場合は事前に用意された答えが、すでにほぼ全ての質問に答える形で構成されていた。
そこで彼女がやっていたのは、漏れた部分を補足しながら、質問者一人ひとりの賛同を得ていくことだけ。
やっていることのレベルが全く違うと実感した。
 

 

その3:話すときの癖を直す

自分の発表の録音を聴いたところ、気づいたのは次の点。
特に後半のふたつは日常会話でもやっている可能性大なので、普段の話し方もミーティングを録音して変えていこうと思う。
 

自己紹介が早すぎる

ポディウムに立って最初の1分間は緊張感と喉が温まっていないのとで、一番やりにくい部分。
「ああ、緊張しているな」とわかってしまう早口だった。
一方、話していることは自己紹介なので一番簡単な内容。
意識的にゆっくり話すようにする。
 

Placeholders

日本語でいう「えーっと」みたいなつなぎ言葉。
話す本人は無意識でも聴いている方は結構気になる。
自分の場合は、“ah”と“so”のふたつが目立つ。
一文が長いときや、間が持たないときに無意識に挿入してしまっている。
文章と文章の間、節と節の間でしっかりブレスをとれるように意識する。
 

Upspeak

文章の後半が上ずって、疑問文のようになる現象。
特に後ろが節やAndなどになっていて一文が長いとき、考えながら話しているときに出てきている。
ここで語尾を落ち着けてしっかり間を取るだけで、説得力が全然違ってくる。
現に、今回のプレゼンでも一番反応が良かったのは間合いを取って、しっかり一文を着地できたところだったと録音を聴き返して気付いた。
 

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Komaza 21週目:

今週の振り返り。
月曜日から火曜日までは、キリキリ舞いで仕事をする。
なんでこんなに忙しいのかわからないくらい、慌ただしい。
 
いくつか仕込んでいた案件が同時に動いてしまい作業をこなすだけで、あっというまに時間が過ぎていた。
なおかつ水曜日からはインドの有力VC Aavishkaarが主催するアフリカ投資カンファレンスのSankalp Africa Summit@ナイロビにCEOと出張。
ファンドとの面談もそこそこに、CEOとビジネスのアイデアや今後のビジョンについて、語り合う。
普段のアジェンダに縛られた議論ではない、思いのままの会話は新鮮で、学ぶことも多い。
 
カンファレンスの成果は上々で、ファンドマネージャーとの会話も進み、CEOはパネルにも出ることができたので、アレンジとしてはひとまず成功というべき。
前回のインドでのカンファレンスとはまた違った熱気のある会場で、インパクト寄りの投資家サイドと、ビジネスゴリゴリの起業家サイドの業界観の違いが鮮明に出ていた。
欧米を中心とするインパクト投資家のお公家様っぽい議論と、目の前のビジネスを掴んで、それがたまたまBOPやコミュニティの利益になれば良いと考えるローカルの起業家との世界観の乖離は、この数年で決定的になるんだと直感する。
インド以上に、アフリカのアグレッシブな議論は刺激的だった。
他にも、面白いビジネスやアイデアにたくさん出会ったので、これはまた後日記事にしたいと思う。
 
あと、思いつきでつぶやいたツイートに反響があったので、来週あたり発表できるように書いています。
正直言って、日本の就活マーケットはぶっ壊れているので、そういう出来の悪い制度をハックするコツに焦点をあてるつもりです。
出来の悪い制度に、出来のいい人々が苦しむことが少しでも減ればと思います。

 

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Komaza 20週目:

今週はなかなかシビアな一週間。
 
長期で取り組んでいたプロジェクトでどんでん返しが起こったり、相手に投げていたタスクが思いがけない形で返ってきたり、新しく進行中の森林ファンドプロジェクトのキックオフがあったり、と前向きなことも後ろ向きなことも目白押しの一週間だった。
 
会社員時代はなんだかんだ上司がいるので、矢面に立つ機会が少なかったけれど、プロジェクト自体の総責任者として全案件を抱えることになるとプレッシャーの痛みがぜんぜん違う。
ポジションが変わると景色が変わるというけれど、景色自体は自分が目線を先に上げれば良い話だと思っていた(実際、ポジションが人を育てるという考え方は日本企業的で、次のポジションで求められる水準まで仕事ができるようになって初めて昇進するのがグローバルでは一般的だ)。
なので、今回のプレッシャーというのは想定外で、痛みほど本当にそこに立ってみるまでわからないものはないのかもしれない。
きっと経営者が仕事のことを考えて眠れなくなるというのはこれが何十倍にもなった状態なんだろう。
 
そう考えると、学問にしてもビジネスにしても、いわゆる王道のシステムには階段がきちんと敷いてあって、下から一段ずつ登っていけるようになっているというのは実はすごいことなのだ。
作業のスピードや完成度だけではない、想像していないスキルをいきなり求められる状況に放り込まれて、それを身につけながら乗り越えていくというスタートアップの非線形的な成長とは一味もふた味も違う。
とりわけ今は、タスクを効率的に完璧にこなすのに加えて、仕組みを作り、(毎日優先順位が変動するなかで)計画を立て、最後は自分が担当者として実行するという一連のフローをマスターするのに必死になっている。
まさにマネージャー兼アソシエイト。両方でパフォームするのは、それぞれでうまくやるのとは別次元の苦労がある気がする。
 
 
全てこの数ヶ月の仕事がうまく成果につながっているせいなので、文句は言えない。
そんな中、新しいプロジェクトとして頑張っているのが、採用活動。
コマザは3年前の100人弱から、450人ほどまで急成長しているベンチャー企業。
田舎で木を植えているだけに見えて、フィールドのスタッフは自社開発したアンドロイドのアプリを使っているし、ファイナンスはVCのみならず開発銀行などからも10億円あまりを調達している。
なので、そうしたプロジェクトをリードできる専門家を絶賛大募集中なので、英語でのビジネス経験があって、大学院進学に向けて新興国で経験したい方、アフリカでのビジネスに興味がある方、バシバシご応募ください!
 
僕個人も、これまではCEOの直轄で事業戦略やファンドレイズ、森林ファンドの組成、事業開発などまで複合的に取り組んでいくチームを作ろうとしています。
Corporate Finance Associateというポジションで募集していますので、投資銀行・戦略コンサル・開発などのバックグラウンドがあり気候変動やインパクト系のストラクチャード・ファイナンスに興味のある方はぜひtomonobu.kumahira[at]komaza.orgまでご連絡ください!
 
 
週末の気分転換に、朝5時に起きて街をスナップしてきたので、キリフィの紹介もかねてお届けします。

レストランやガソリンスタンドが立ち並ぶ街の中心部

 

コカコーラのブランディングはケニアの田舎町にもしっかり届いている

 

 

子猫かわいい!

 

朝7時にしてすでに混み始めるマーケット

 

キリフィ湾内には中国の建設会社の土砂採集場があり、毎日何隻もの運搬船が行き交う
 

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Komaza 19週目:

フラフラになりながら乗り越えた先週に続き、今週はナイロビ出張。
JICAが主催するABEイニシアチブ修了生の発表会や、投資家との面談、以前から興味を持っていたAmoebaXの河野さんのオフィス訪問など、目白押しの日程となった。
 
ケニアの田舎町で仕事するメリットは、付き合いのつまらない飲み会や、余計なイベントを無視して事業だけに専念できることだけれど、同じビジネスモデルのことばかり考えているとどうしても思考が滞ってしまう。
自分が尊敬できる事業家や投資家にアイデアをぶつけて議論したり、他社の面白い事業を分析したりする機会は、大都市の方がはるかに多いように感じる。
 
事業計画書の作成を任されて、ベンチャーかつ林業という、例えようもないビジネスモデルに頭を抱えていたのが、いろいろな人と話す中で霧が晴れたように見通しが良くなった。
 
余談だけれど、自分は再生エネルギーのようなインカム型アセットやEBITDA重視のバイアウト型の投資に慣れているせいか、直近のキャッシュフローを見てしまう癖が強いと、メンターのVCの方からフィードバックを受けた。
事業の安定性やサステナビリティも重要だけれど、ベンチャーとして世界の未来にインパクトのあるビジョンを打ち出して、キャッシュフロー以上の価値を評価してもらえるように考えねばならないと改めて実感した。
 
ファイナンスは、夢やビジョンを売る職業である一方、オペレーションの裏付けや実現にこじつけるまでの実務まで担保できることは少ない。
自分が売るストーリーが徒夢にならないようにしたいという誠実な願いがなければ、プロフェッショナルとしてのインテグリティを欠いているのだと僕は思う。
高すぎる理想ではデリバリーできないのではという恐怖と、より多くの資金をより高いバリュエーションで調達することが、事業成長につながるということのトレードオフをひりひりと感じながら、仕事をしていきたい。
 

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