仕事と学習の両立
Komaza Fellowship 2週目
Komaza Fellowship1週目
ケニアでの記念すべき最初の1週間目が終了して。エアコンなし、温水なし、ヤモリいっぱいの生活にも慣れてきたところで、今週の振り返り。
総括
キャッチアップは順調、仕事の方向性もつかめてきたので、きちんと時間内に成果を出していくことに注力する方針。ケニア国内外 からこんな僻地に驚くほど優秀な人が集まっているのはグッドサプライズ。前職のプロジェクト経験がほぼそのまま仕事に役立つことも多く、専門用語での議論で全く困らなかったのは奇跡だと思う(とはいえ前職の経験というのは与えてもらったもので、もう増えることもないので、そこから何をするかの方がはるかに大切)。今回の転職で、立ち位置がアナリストからオフィサー的な感じになっているのに早く慣れて、仕事のペースを作りたい。
オフィス内の様子。手前が筆者の席。
生々しい記述もあるのだが、せっかくなので今週書きためていた日々の感想を載せておきたい。
先週末:
金曜の夜に到着して倒れこむようにベットに飛び込んだのが2日前。ビーチで気休めをしつつも、正直心が落ち着かない。体が強いわけでもないのを、いろいろ心配してギフトを送ってくれた前の会社のチームや上司に安着の報告をしながら、冷静に自分はやっていけるのだろうかと不安になる。このやばい感じ、留学に向かう直前に似ているかもしれない。スキルセットもさることながら、一から人間関係をつくっていくプロセスにプレッシャーを感じる。
月曜日:
Onboarding初日。どうやら会社は自分の採用後も急成長しており、オフィスだけで50人強、フィールド合わせると300人強の陣容に拡大していることが判明。
ファンドレイズもSeries Aで10百万ドル以上レイズしており、次シリーズに向けた準備も始まりつつあるということで、事業は想像以上に順調のように見える。
あまり良く分かっていなかったのだが、自分のいるSenior Fellowというポジション自体、今回新設されたものらしく、しかもどこの部門にも属さずCEO直轄案件を担当するというのも、初めてのことらしい。「期待しているからね〜」という言葉が地味に突き刺さるのを忘れようと、淡々と仕事に向かう(というかやっぱり業務要件定義されていない!!!)。東京やアメリカで仕事をするなら、思いっきりダッシュをかけるところだが、今回ばかりはCEOのアドバイスに従い、最初の一ヶ月は緩く仕事をして慣れることに注力しよう。
火曜日:
午前中は人事による会社案内。各部門を巡って挨拶しまくる。名前を覚えるのがきつくなってきたけど夜も復習していち早く覚えたい。
水曜日:
ようやくCEOからデータルームへのアクセスコードが届く。ついに、ということで久しぶりにアナリスト魂が疼く。経営メンバーとの面談も着々と進め、いち早く信頼を得たい。全部門の横断でバリューを出せるのか、領空侵犯で撃墜されるのかは、信頼の有無にかかっている。これまで会社を作ってきた先人への尊敬を忘れずに、誠実に仕事に向き合いたい。
余談だが、投資する側より投資される側の方が百倍楽しいのではないかという感覚が日に日に強まっている。みんな応援する側に立ちたがるけど、中で手を動かす充足感というのは全く別の性質。それだけを頼りに10年かけて会社を作ってきたCEOへの畏敬の念も同時に強まっていく。そして、初めての断水。風呂は入れるうちに入っておくべきという教訓を体得した。
木曜日:
引き続き、断水が続き、貯水槽から水を汲んでシャワーを浴びる生活。当たり前の生活のありがたさを思い知る。仕事は順調にキックオフしつつあり、月曜日はかなり曖昧模糊としていた仕事内容も、輪郭が見えて来る。とにかくは会社全体の事業の把握とキーパーソンとの関係づくりということで、ひたすら主だった人にアポ入れしつつ、フェロー仲間とのランチ中も彼らの仕事について質問攻めにする。初めてのスワヒリ語の授業。会議と仕事で頭が過熱している状態だと、先生の問いにおうむ返しで答えることさえ辛い。
金曜日:
自分のデスクがついに確定したので、ようやく文字通り腰を落ち着けて仕事に取り掛かる。 CEOの部屋の真向かいで農家向けのアプリ開発をする部門と同居。ドイツ人のリーダーと早くも気が合い仲良くなる。アプリ・システム開発はこれまでなんとなくしか触れていなかった世界なので、これを機にしっかり勉強したいし、今後会社の中期経営戦略を立てるための重要指標を測定するのは彼らなので、今からブレストに入れてもらって、がっちりSpec-Inすることにした。夜は海辺にあるゲストハウスでピザ・パーティー。毎週金曜日の恒例行事らしい。久しぶりに夜中までビールを飲みながら、ハウスメートとビリヤードをする。
オフィス敷地の一角に山積みされた木材。農家から買い付けた木材を一旦保管し、電柱やポール用材として販売する。
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転職のご報告:アフリカに移住します
9月15日をもって、新卒からお世話になっていた丸の内にある総合商社を退職しました。
伝説的な上司たちや、志も能力も日本トップクラスのチーム、大学のサークルとしか思えないくらい仲の良い同期たちに囲まれて、恵まれた2年2ヶ月でした。
仕事の方は、オルタナティブ投資商品全般の開発という壮大なテーマを与えられ、PE(バイアウト、ファンド・オブ・ファンズ)、VC、海外不動産、森林・農地投資、再エネ投資など、多種多様なプロジェクトに関わった経験は、インパクト投資という黎明期の業界に飛び込む自分にとってこの上ないアセットです。
「どうして商社で金融?」とよく聞かれますが、事業作りを通じて、日本に新しい産業を作るという使命感を帯びた金融ビジネス観は総合商社という世界的に見ても稀有な業界でしか得られないものだったと実感しています。
日の丸を背中に世界を代表するファンドマネージャーと直接やりとりする中で、どうやってアセットクラスとしてのインパクト投資を作るべきかを考え続けた2年間でした。
「従順ならざる新入社員」だった自分を信じて応援して下さった、上司、同僚、同期、そして熱意と好奇心しかないインパクト投資オタクの自分に様々な機会を下さったソーシャルセクターの皆様に改めて御礼申し上げる次第です。
10月からは、ケニアの農業系スタートアップKomazaで働きます。というか、実はこのブログもケニアの新居から投稿しています。
インパクト投資をはじめ、ビジネスと金融の力で社会課題の解決をするプロフェッショナルになるための第一歩として、NGOとして10年以上の実績ある組織をビジネスベースの事業として再構築していくエキサイティングな現場に入っていく予定です。
大学時代から面白いと思っていたインパクト投資はその後も急成長を続けており、昨年だけでも1000億ドル(約10兆円)以上が投下されたと言われています。
一方、実際に個別の事業に対してハンズオンで投資をして、かつ経済的・社会的リターンを両立している事例はごく一握り。
こうしたファンドのマネージャー達にヒアリングし続けた結果、今の僕が出した結論は、「インパクト投資の答えは投資家サイドではなく投資される側にある」というものでした。
資金の流入は順調ですが、投資可能な(Investable)な事業を作れることが、今後の業界をリードする上で重要と判断して、今回思い切って現場の事業に飛び込むことになりました。
とはいえ、こうした考え方はマクロ観でしかなく、実際には泥臭い日々の仕事に向き合いながら、地道に成果を積み上げていく毎日になります。
しっかり結果を出せるよう、World’s First and Best Practiceの実現に向けて仕込んでいきます!
ブログでは、これまで同様面白いと思った事業やプロジェクトに加え、バックパック以外途上国経験ゼロ・開発バックグラウンドゼロの金融系日本人の悪戦苦闘を生中継していきたいと思いますので、読者の皆さま、これからも、よろしくお願いいたします!!!
(職場があるモンバサ郊外の 町キリフィのビーチ、真っ白な砂浜と真っ青なインド洋が圧巻)
開発の世界への第一歩(終)
すっかり間が空いてしまったものの、ようやくプロジェクトがほぼ完結したので、その後の経過をご報告。
・木・金:水曜日のコンサルテーションが無事終了したことを受けて、残りの論点を潰しにかかる。追加のレポート読み込みや論点だし、消化しきれていないミーティングなどを行う。リーダー以外は週末に帰国予定ということもあり、どちらかというと今回のミッションの成果物となるAide Memoirのドラフトに注力する形となる。同僚の一人は2週間後にはアフリカでのプロジェクトが控えており、いわゆるBack to Backに近い形で大変そうな印象。彼はRED+という気候変動をテーマとした林業系の案件を担当することが多いらしく、ミッションも単独で行くことが多いらしい。今回もその事前打ち合わせの電話会議が何件も入っていた。
・チーム帰投後:フォローアップの為に現地に残ったチームリーダーを残して、僕は日本、もう一人の同僚はカナダへ帰国。最終日前後に分担した内容を元に、Aide Memoirというミッションの概要とコンサルテーション内容をまとめた報告書を作成する。2週間近く連日ミーティングを繰り返したこともあり、方向性は定まっていたが、関係者との会話で出てきた相場観や政策について具体名ベースで裏取りしながらレポートにするのは相応に骨が折れる。2週間ほど行ったり来たり、コメントを繰り返して最終系に仕上げた。
ちょうど本職の方も転換期ということで、慌ただしかったものの、なんとか走りきった。
ソーシャルセクターやビジネスの世界とは全く違う考え方や、高度な専門性に触れる貴重な経験が出来て、このような機会をもらえたことに本当に感謝。
学んだことなどについては、またの機会にまとめていきたい。
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